晴れと猫
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鬱蒼とした不気味な廃村の中、僕はなるべく恵にくっついて歩いていた。
そんな僕の様子が気になったのか恵が声をかけてくる。
「紫苑、大丈夫か?」
「……こういう雰囲気って苦手でさ。ごめん、邪魔にならないようにするから近くにいてもいい?」
「別に構わないけど……お前にも苦手なものってあったんだな」
まだ昼間だというのに、廃村の中は今にも幽霊が出そうなほど不気味な雰囲気を醸し出していた。
呪術師ならこういう現場にも慣れないとダメなんだろうけど、怖いものは怖い。
呪霊のことは恐ろしいと思わないのに。
「……なぁ、呪霊は平気なのか?」
「うん。呪霊は大丈夫なんだよね……何でだろう?まだこっちの攻撃が通るからかな」
「呪霊も幽霊もそんなに変わんないだろ」
「うぅ……そんなこと言われると意識しちゃうからやめてよ。でも、戦闘になった時はちゃんと戦うから安心して」
恵は僕がちゃんと呪霊と戦えるか不安に思ったらしい。
呪霊にはおぞましい見た目のものも多いけど、真人や漏瑚といった知性を持った存在もいると知っているからか、そんなに怖いとは思わなかった。
もちろん、殺意を向けられたり命の危険を感じたら怖いとは思う。
「そうか、ならいい。そろそろ出すか____"玉犬 "!」
「「ワォーーン!」」
恵が両手で犬の影絵を作ると、恵の術式である"十種影法術 "が発動する。
そして、影の中から式神である二匹の玉犬を召喚した。
白と黒の玉犬はその場に顕現すると、僕たちを守るように側に寄ってくる。
「わぁ……!大きいわんちゃんだ……!よしよし、白も黒もいい子だね〜」
「クゥーン」
「紫苑はその、犬が好きなのか?」
そっと玉犬に触れてみれば凄くもふもふで、気がついたら白と黒の二匹を撫で回していた。
二匹は急に撫でられても嫌がることなく尻尾を振って僕の手を歓迎してくれている。
そんな癒しの存在に僕は思わず頬が緩んだ。
「うん。動物は好きだよ、一番は猫だけど」
「そういや、前に猫を飼ってるって言ってたな。……癒されたんならいい」
恵はそんな僕の様子を見てふと笑ってみせる。
あまり笑わない恵だけど、自然に笑っているところは初めて見たかもしれない。
貴重な恵の笑顔にも癒されつつ、僕たちは新たに玉犬を連れ呪霊を探し始めた。
僕たちの前を呪力探知に優れた玉犬白が先行していると。
「……止まれ、玉犬が何か見つけたみたいだ」
「僕も感じる、この祠かな」
玉犬白は僕たちを村の最奥部にある、古びた大きな祠へと導いていた。
一見、ただの朽ち果てた祠に見えるけど、その祠からは禍々しい呪力の漏出を感じる。
近くに呪霊の姿は見えない。
でも、この周囲のどこかにいるのは間違いなかった。
「……俺が祠を確認してみる。紫苑は周りを警戒しててくれ」
「分かった。背中は任せて」
作戦通り、僕が恵の背後を守るような配置につく。
玉犬二匹と僕に見守られながら恵は祠の錆びた扉を開き____
「……ッ!!恵、危ないっ……"崩壊"ッ!!」
「……!?上かっ____!!」
扉を開くと____
祠の上からワニのような見た目をした呪霊が、牙の生え揃った大口を開け恵に飛びかかってきた。
とっさに僕は"崩壊"で呪霊のあご部分を消し飛ばし、軌道を逸らせる。
「チッ、不意打ちか!玉犬、喰らいつけッ……!!」
「ガルゥッ……!!」
僕の術式をくらって地面をのたうち回っている呪霊。
そこへ牙をむき出しにした玉犬黒が喰らいつく。
黒は呪霊の片目をえぐりとり、なおも攻撃の手を緩めない。
このまま勝敗が決するかと思いきや____
「っ!恵……!玉犬を下がらせてッ……!!」
「何っ……!?黒、戻れ!」
そんな僕の様子が気になったのか恵が声をかけてくる。
「紫苑、大丈夫か?」
「……こういう雰囲気って苦手でさ。ごめん、邪魔にならないようにするから近くにいてもいい?」
「別に構わないけど……お前にも苦手なものってあったんだな」
まだ昼間だというのに、廃村の中は今にも幽霊が出そうなほど不気味な雰囲気を醸し出していた。
呪術師ならこういう現場にも慣れないとダメなんだろうけど、怖いものは怖い。
呪霊のことは恐ろしいと思わないのに。
「……なぁ、呪霊は平気なのか?」
「うん。呪霊は大丈夫なんだよね……何でだろう?まだこっちの攻撃が通るからかな」
「呪霊も幽霊もそんなに変わんないだろ」
「うぅ……そんなこと言われると意識しちゃうからやめてよ。でも、戦闘になった時はちゃんと戦うから安心して」
恵は僕がちゃんと呪霊と戦えるか不安に思ったらしい。
呪霊にはおぞましい見た目のものも多いけど、真人や漏瑚といった知性を持った存在もいると知っているからか、そんなに怖いとは思わなかった。
もちろん、殺意を向けられたり命の危険を感じたら怖いとは思う。
「そうか、ならいい。そろそろ出すか____"
「「ワォーーン!」」
恵が両手で犬の影絵を作ると、恵の術式である"
そして、影の中から式神である二匹の玉犬を召喚した。
白と黒の玉犬はその場に顕現すると、僕たちを守るように側に寄ってくる。
「わぁ……!大きいわんちゃんだ……!よしよし、白も黒もいい子だね〜」
「クゥーン」
「紫苑はその、犬が好きなのか?」
そっと玉犬に触れてみれば凄くもふもふで、気がついたら白と黒の二匹を撫で回していた。
二匹は急に撫でられても嫌がることなく尻尾を振って僕の手を歓迎してくれている。
そんな癒しの存在に僕は思わず頬が緩んだ。
「うん。動物は好きだよ、一番は猫だけど」
「そういや、前に猫を飼ってるって言ってたな。……癒されたんならいい」
恵はそんな僕の様子を見てふと笑ってみせる。
あまり笑わない恵だけど、自然に笑っているところは初めて見たかもしれない。
貴重な恵の笑顔にも癒されつつ、僕たちは新たに玉犬を連れ呪霊を探し始めた。
僕たちの前を呪力探知に優れた玉犬白が先行していると。
「……止まれ、玉犬が何か見つけたみたいだ」
「僕も感じる、この祠かな」
玉犬白は僕たちを村の最奥部にある、古びた大きな祠へと導いていた。
一見、ただの朽ち果てた祠に見えるけど、その祠からは禍々しい呪力の漏出を感じる。
近くに呪霊の姿は見えない。
でも、この周囲のどこかにいるのは間違いなかった。
「……俺が祠を確認してみる。紫苑は周りを警戒しててくれ」
「分かった。背中は任せて」
作戦通り、僕が恵の背後を守るような配置につく。
玉犬二匹と僕に見守られながら恵は祠の錆びた扉を開き____
「……ッ!!恵、危ないっ……"崩壊"ッ!!」
「……!?上かっ____!!」
扉を開くと____
祠の上からワニのような見た目をした呪霊が、牙の生え揃った大口を開け恵に飛びかかってきた。
とっさに僕は"崩壊"で呪霊のあご部分を消し飛ばし、軌道を逸らせる。
「チッ、不意打ちか!玉犬、喰らいつけッ……!!」
「ガルゥッ……!!」
僕の術式をくらって地面をのたうち回っている呪霊。
そこへ牙をむき出しにした玉犬黒が喰らいつく。
黒は呪霊の片目をえぐりとり、なおも攻撃の手を緩めない。
このまま勝敗が決するかと思いきや____
「っ!恵……!玉犬を下がらせてッ……!!」
「何っ……!?黒、戻れ!」