晴れと猫
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高専入学から数週間後、一年の教室____
クラスメイトは二人しかいないけど、僕と恵は友達兼、仲間として普通に話せる仲にはなっていた。
恵は無口なタイプだけどこちらが話しかければ応えてくれるし、二人きりの休み時間でもそんなに退屈はしない。
いつもは僕から話すことが多いのに、今日は恵の方から話しかけてきた。
「紫苑は乙骨先輩とも面識があるんだよな。先輩らとはいつ知り合ったんだ?」
「去年の秋頃かな。
ある呪詛師に襲われて……五条先生に助けられて高専に連れてこられたのが、皆んなとの出会いなんだ」
「そうか。呪詛師に襲われるなんてお前も大変だったんだな」
それから恵は口を閉ざしてしまった。
色々と気になることもあるだろうに、それ以上は深く聞いてこようとしない。
僕としては別に聞いてもらってもいいのだけれど。
「……どうして呪詛師に狙われたのかとか、聞かないの?」
「いや、そこまで聞くのは悪いだろ。紫苑にとってもいい思い出ではないだろうし」
「そう」
友達といえど、知り合ったばかりの僕らにはまだ少し壁があった。
恵とは高専での生活を通じてこれから仲良くなっていければいいなと、僕は思っている。
単純に一人は寂しいしせっかく同級生になったんだから。
二年生の真希達とも話すけど、学年が違うと任務の関係で会う機会が減っていた。
そういうわけで、恵とどう仲良くなっていこうか考えていると教室の扉が勢いよく開いた。
「おっ、いたいた。恵に紫苑!」
「五条先生?僕たちに何か用ですか?」
扉から入ってきたのは僕たちの担任である五条先生だった。
次の授業は先生の担当だっけと、考えていると先生が話し始める。
「今のうちに伝えとこうと思ってね。今日は午後から一年二人での初任務が入ってるんだ。だから、昼までに準備しておいて」
「等級はいくつなんですか?」
「相性を見たいから2級相当の任務だよ。
一年への初任務としてはけっこうキツいかもしれないけど……二人は等級が高めだからね。このくらい大丈夫でしょ」
「分かりました。恵、今日の任務はよろしくね」
例え高専側の予測が外れて1級の呪霊が出ようと、僕の術式ならすぐに祓える。
恵は2級術師だし、二人なら今回はそこまで危険な任務ではなさそうだ。
それでも、久々の任務に少し緊張してくる。
恵はというと、僕の言葉にいつもの素っ気ない感じで短く『あぁ』と返事をした。
「五条先生は僕たちの相性を見たいって言ってたし……今回は恵が主体で、僕がサポート役に回ればいいのかな?」
「あぁ、だろうな。特級のお前ならすぐに祓っちまえるだろうから、俺の援護を頼む。それじゃあ作戦を立てるか」
渡された任務の資料を元に恵と作戦を立てた後、待ち合わせ場所へ行く。
校門を出て道路に出ればそこには一台の黒い車が脇に停まっていた。
「……今日は伊地知さんか」
「伏黒君に猫宮君、今日は私が現場まで送ります」
「伊地知さん、お久しぶりです。今日はよろしくお願いしますね」
黒い車の前では補助監督の伊地知さんが僕達を待ってくれていた。
僕も前の任務でお世話になったりしているので、軽く挨拶をする。
「おっ、皆んな揃ってるね!それじゃ出発しようか」
最後に五条先生を車に乗せ、僕達は任務先へと向かった。
__________
一時間ほど車に揺られていると山奥にある、とある廃村へとたどり着く。
遠目から見ても既に打ち捨てられた村だって分かるけど、昼間だというのに鬱蒼としていて不気味だった。
「現場に到着しました。それでは、調査報告書を渡しますね」
車から降りれば伊地知さんがダブレット型の端末を渡してくる。
それを恵と読んでいると、後ろから五条先生も覗き込んできた。
「2級の呪霊といえど侮っちゃダメだよ。
過去に高専側の等級調査が間違ってて生徒が死んでしまったこともあるんだから……。
格上の呪霊と遭遇した場合は大人しく逃げること、いいね?」
「はい、分かってますよ」
「特に紫苑。君は特級だけど、まだまだ実戦経験が足りないんだから油断は禁物だよ」
そう話す五条先生はどこか寂しげな表情をしていて。
口には出さないけど、きっと昔の後輩のことを言ってるんだろう。
先生になんて声をかければいいのか分からない僕はタブレットの画面に視線を落とした。
「ま、今回は僕が見守ってるから誰も死なせないけどね」
「最善を尽くします。紫苑、それ読んだらさっさと行くぞ」
「五条先生と伊地知さん、行ってきますね」
「二人ともどうかお気をつけて……帳はこちらで下ろしておくので」
伊地知さんが手で印を作ると上空から帳が下ろされていく。
辺りが夜へと変わっていく中、僕も恵を追って不気味な廃村へと入っていった。
クラスメイトは二人しかいないけど、僕と恵は友達兼、仲間として普通に話せる仲にはなっていた。
恵は無口なタイプだけどこちらが話しかければ応えてくれるし、二人きりの休み時間でもそんなに退屈はしない。
いつもは僕から話すことが多いのに、今日は恵の方から話しかけてきた。
「紫苑は乙骨先輩とも面識があるんだよな。先輩らとはいつ知り合ったんだ?」
「去年の秋頃かな。
ある呪詛師に襲われて……五条先生に助けられて高専に連れてこられたのが、皆んなとの出会いなんだ」
「そうか。呪詛師に襲われるなんてお前も大変だったんだな」
それから恵は口を閉ざしてしまった。
色々と気になることもあるだろうに、それ以上は深く聞いてこようとしない。
僕としては別に聞いてもらってもいいのだけれど。
「……どうして呪詛師に狙われたのかとか、聞かないの?」
「いや、そこまで聞くのは悪いだろ。紫苑にとってもいい思い出ではないだろうし」
「そう」
友達といえど、知り合ったばかりの僕らにはまだ少し壁があった。
恵とは高専での生活を通じてこれから仲良くなっていければいいなと、僕は思っている。
単純に一人は寂しいしせっかく同級生になったんだから。
二年生の真希達とも話すけど、学年が違うと任務の関係で会う機会が減っていた。
そういうわけで、恵とどう仲良くなっていこうか考えていると教室の扉が勢いよく開いた。
「おっ、いたいた。恵に紫苑!」
「五条先生?僕たちに何か用ですか?」
扉から入ってきたのは僕たちの担任である五条先生だった。
次の授業は先生の担当だっけと、考えていると先生が話し始める。
「今のうちに伝えとこうと思ってね。今日は午後から一年二人での初任務が入ってるんだ。だから、昼までに準備しておいて」
「等級はいくつなんですか?」
「相性を見たいから2級相当の任務だよ。
一年への初任務としてはけっこうキツいかもしれないけど……二人は等級が高めだからね。このくらい大丈夫でしょ」
「分かりました。恵、今日の任務はよろしくね」
例え高専側の予測が外れて1級の呪霊が出ようと、僕の術式ならすぐに祓える。
恵は2級術師だし、二人なら今回はそこまで危険な任務ではなさそうだ。
それでも、久々の任務に少し緊張してくる。
恵はというと、僕の言葉にいつもの素っ気ない感じで短く『あぁ』と返事をした。
「五条先生は僕たちの相性を見たいって言ってたし……今回は恵が主体で、僕がサポート役に回ればいいのかな?」
「あぁ、だろうな。特級のお前ならすぐに祓っちまえるだろうから、俺の援護を頼む。それじゃあ作戦を立てるか」
渡された任務の資料を元に恵と作戦を立てた後、待ち合わせ場所へ行く。
校門を出て道路に出ればそこには一台の黒い車が脇に停まっていた。
「……今日は伊地知さんか」
「伏黒君に猫宮君、今日は私が現場まで送ります」
「伊地知さん、お久しぶりです。今日はよろしくお願いしますね」
黒い車の前では補助監督の伊地知さんが僕達を待ってくれていた。
僕も前の任務でお世話になったりしているので、軽く挨拶をする。
「おっ、皆んな揃ってるね!それじゃ出発しようか」
最後に五条先生を車に乗せ、僕達は任務先へと向かった。
__________
一時間ほど車に揺られていると山奥にある、とある廃村へとたどり着く。
遠目から見ても既に打ち捨てられた村だって分かるけど、昼間だというのに鬱蒼としていて不気味だった。
「現場に到着しました。それでは、調査報告書を渡しますね」
車から降りれば伊地知さんがダブレット型の端末を渡してくる。
それを恵と読んでいると、後ろから五条先生も覗き込んできた。
「2級の呪霊といえど侮っちゃダメだよ。
過去に高専側の等級調査が間違ってて生徒が死んでしまったこともあるんだから……。
格上の呪霊と遭遇した場合は大人しく逃げること、いいね?」
「はい、分かってますよ」
「特に紫苑。君は特級だけど、まだまだ実戦経験が足りないんだから油断は禁物だよ」
そう話す五条先生はどこか寂しげな表情をしていて。
口には出さないけど、きっと昔の後輩のことを言ってるんだろう。
先生になんて声をかければいいのか分からない僕はタブレットの画面に視線を落とした。
「ま、今回は僕が見守ってるから誰も死なせないけどね」
「最善を尽くします。紫苑、それ読んだらさっさと行くぞ」
「五条先生と伊地知さん、行ってきますね」
「二人ともどうかお気をつけて……帳はこちらで下ろしておくので」
伊地知さんが手で印を作ると上空から帳が下ろされていく。
辺りが夜へと変わっていく中、僕も恵を追って不気味な廃村へと入っていった。