雨と猫
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かの有名なミケランジェロの彫刻のように整った肉体。
そして、それらを繋ぎ合わすかの如く刻まれたツギハギの線。
男の自分から見ても惚れ惚れとするほどの筋肉美に圧倒されてしまう。
真人は僕が黙ったまま見つめてくるのが気に触ったのか、少し眉をひそめた。
「何、俺の体がそんなに気になる?」
真人は全裸であることを微塵も気にする様子もなく僕を見つめ返す。
見た目的には男性ぽいし羞恥心、なんてものはないのかな。
僕も同じ男なんだから恥ずかしがる必要は無いけど、こうもたくましい体を見せつけられると目のやり場に困る。
「そういえば、猫の姿の時もツギハギを気にしてたね」
「そのツギハギって……痛く、ないの?」
カーテンから射す陽の光で部屋は少しずつ明るくなっていた。
ほんのり照らされた青白い肌の上を走るツギハギが痛々しく見える。
真人から何とか視線を逸らすけど、全裸ともいえる姿は僕にとっていささか刺激的だった。
それを悟られないようツギハギのことへ話をすり替えた。
「ツギハギ?あぁこれね、生まれた時からついてたし怪我したわけじゃないから全然痛くないよ」
「そう。ならいいんだ」
痛くないと聞いて少しほっとした。
昨日、お風呂に入れた時にしみてないか不安だったから。
でもこのままだと顔を合わせて話すことすら難しい。
もうどうにでもなれと、半ばヤケクソの精神で服を着るようお願いしてみる。
「あの、とりあえず服を着てほしいかな……」
「えー?猫なんだから服なんていらないでしょ?それに俺、服一着も持ってないし」
僕のお願いはすぐさま不満げな声にかき消されてしまう。
そういえば、呪術廻戦の原作では真人の服は偽夏油が用意していたんだっけ?
今は2017年の10月。
原作通りなら今年の12月には特級呪詛師 夏油 傑による呪術テロ"百鬼夜行"が行われるはずだ。
本物の夏油はまだ死んでいないのだから、偽の夏油とは会ってないのかも。
この世界が原作通りに進んでいるという確証はもちろんない。
でも真人が存在している以上、他のキャラクターも存在しているという体で考えた方がいいな。
「ねぇ、真人は呪霊の仲間とかいないの?例えば……頭が富士山とか、花の精霊とか赤い蛸とか」
「あはは、何それ!俺は生まれたばかりで仲間とかいないよ」
「……そっか。じゃあ、真人もひとりぼっちなんだ……」
いずれ出会うことになるであろう呪霊達の姿を遠回しに伝えてみる。
思い当たる呪いはいなかったらしく、僕の言葉に真人はきょとんと首をかしげた。
呪霊である真人に寂しいという感情があるのか分からない。
呪いと人は生態も成り立ちも全然違うし、そもそも凶悪な呪霊達が感情を持ち合わせていること自体僕には懐疑的だったから。
それでも、僕は今の真人に自分を重ねてしまっていた。
前世の記憶があるせいで皆んなと馴染めず、どこにいても孤独を感じてしまう。
この世界にひとりぼっちの僕____
「……仲間が見つかるまでならここにいていいよ。でも、その代わりちゃんと言うこと聞いてね?」
「……!紫苑と過ごせるってこと?それなら君の言うことだって聞いてあげるよ!」
真人は大げさに喜んでみせると裸のまま抱きついてくる。
久しぶりに感じた自分以外の体温に心を許しそうになるけど、そっとたくましい胸を押し返した。
相手は呪いなんだしこの温もりに絆されないようにしないと。
真人の態度や発言から察するに本当に生まれたばかりの子どもなんだろう。
だけど、危険な呪いであることに変わりはないのだから。
「とりあえず服を着ようか。父さんのがあるから僕についてきて」
「うん!」
にこにこと無邪気な笑みを浮かべる真人を連れ、両親の部屋に入る。
両親は数ヶ月帰ってきていない。
でも、いつもかかさず掃除をしていたからどこに何があるのかはだいたい把握していた。
クローゼットを開け、その中から真人に合いそうな服を探して渡す。
手に取ったのは父さんが着ていた白い秋服のセーターだ。
柔らかい繊維に触れれば、懐かしくも優しい父の香りがした。
「この服とかどう?」
「うーん、俺はもうちょっと緩いのがいいな〜。着れないことはないんだけどね」
「そっか、とりあえずそれ着てて」
どうやら父の服は真人にとっては窮屈だったらしい。
父も真人くらいの身長はあるけど筋肉の厚みを考慮したら真人の方が体格がいいんだと思う。
生まれたばかりの呪霊なのにもうこんなに逞しいんだ。
他にも一通り服を選んだ後、近いうちに真人用の服も買ってあげないとと思案する。
そして、ちゃんと服を着た真人と向かい合った。
「それで、一緒に暮らすなら守ってほしいことがあるんだ」
「なに?」
「まず、僕の家族や友達は殺さないで。……飼い猫が人を傷つけるなんて嫌だから」
機嫌がいいうちに守って欲しいことを伝える。
呪霊だから人を襲うな、なんてのは無理だろうし、まずは身近な人を殺させないようにしないと。
ちらりと真人の顔色を伺えば、特に不機嫌になる様子もなく僕に軽く返してきた。
「分かった。飼い主の君はもちろん君の大切な人には手を出さないよ」
「……ありがとう」
本当は『縛り』とかをした方がいいんだろうけど。
呪いとして生まれたばかりの真人は縛りを知らないだろうし、僕も呪術を扱えるわけじゃないからやり方が分からない。
いつ破られてもおかしくない約束でも、ひとまず胸を撫で下ろした。
そして、それらを繋ぎ合わすかの如く刻まれたツギハギの線。
男の自分から見ても惚れ惚れとするほどの筋肉美に圧倒されてしまう。
真人は僕が黙ったまま見つめてくるのが気に触ったのか、少し眉をひそめた。
「何、俺の体がそんなに気になる?」
真人は全裸であることを微塵も気にする様子もなく僕を見つめ返す。
見た目的には男性ぽいし羞恥心、なんてものはないのかな。
僕も同じ男なんだから恥ずかしがる必要は無いけど、こうもたくましい体を見せつけられると目のやり場に困る。
「そういえば、猫の姿の時もツギハギを気にしてたね」
「そのツギハギって……痛く、ないの?」
カーテンから射す陽の光で部屋は少しずつ明るくなっていた。
ほんのり照らされた青白い肌の上を走るツギハギが痛々しく見える。
真人から何とか視線を逸らすけど、全裸ともいえる姿は僕にとっていささか刺激的だった。
それを悟られないようツギハギのことへ話をすり替えた。
「ツギハギ?あぁこれね、生まれた時からついてたし怪我したわけじゃないから全然痛くないよ」
「そう。ならいいんだ」
痛くないと聞いて少しほっとした。
昨日、お風呂に入れた時にしみてないか不安だったから。
でもこのままだと顔を合わせて話すことすら難しい。
もうどうにでもなれと、半ばヤケクソの精神で服を着るようお願いしてみる。
「あの、とりあえず服を着てほしいかな……」
「えー?猫なんだから服なんていらないでしょ?それに俺、服一着も持ってないし」
僕のお願いはすぐさま不満げな声にかき消されてしまう。
そういえば、呪術廻戦の原作では真人の服は偽夏油が用意していたんだっけ?
今は2017年の10月。
原作通りなら今年の12月には特級呪詛師 夏油 傑による呪術テロ"百鬼夜行"が行われるはずだ。
本物の夏油はまだ死んでいないのだから、偽の夏油とは会ってないのかも。
この世界が原作通りに進んでいるという確証はもちろんない。
でも真人が存在している以上、他のキャラクターも存在しているという体で考えた方がいいな。
「ねぇ、真人は呪霊の仲間とかいないの?例えば……頭が富士山とか、花の精霊とか赤い蛸とか」
「あはは、何それ!俺は生まれたばかりで仲間とかいないよ」
「……そっか。じゃあ、真人もひとりぼっちなんだ……」
いずれ出会うことになるであろう呪霊達の姿を遠回しに伝えてみる。
思い当たる呪いはいなかったらしく、僕の言葉に真人はきょとんと首をかしげた。
呪霊である真人に寂しいという感情があるのか分からない。
呪いと人は生態も成り立ちも全然違うし、そもそも凶悪な呪霊達が感情を持ち合わせていること自体僕には懐疑的だったから。
それでも、僕は今の真人に自分を重ねてしまっていた。
前世の記憶があるせいで皆んなと馴染めず、どこにいても孤独を感じてしまう。
この世界にひとりぼっちの僕____
「……仲間が見つかるまでならここにいていいよ。でも、その代わりちゃんと言うこと聞いてね?」
「……!紫苑と過ごせるってこと?それなら君の言うことだって聞いてあげるよ!」
真人は大げさに喜んでみせると裸のまま抱きついてくる。
久しぶりに感じた自分以外の体温に心を許しそうになるけど、そっとたくましい胸を押し返した。
相手は呪いなんだしこの温もりに絆されないようにしないと。
真人の態度や発言から察するに本当に生まれたばかりの子どもなんだろう。
だけど、危険な呪いであることに変わりはないのだから。
「とりあえず服を着ようか。父さんのがあるから僕についてきて」
「うん!」
にこにこと無邪気な笑みを浮かべる真人を連れ、両親の部屋に入る。
両親は数ヶ月帰ってきていない。
でも、いつもかかさず掃除をしていたからどこに何があるのかはだいたい把握していた。
クローゼットを開け、その中から真人に合いそうな服を探して渡す。
手に取ったのは父さんが着ていた白い秋服のセーターだ。
柔らかい繊維に触れれば、懐かしくも優しい父の香りがした。
「この服とかどう?」
「うーん、俺はもうちょっと緩いのがいいな〜。着れないことはないんだけどね」
「そっか、とりあえずそれ着てて」
どうやら父の服は真人にとっては窮屈だったらしい。
父も真人くらいの身長はあるけど筋肉の厚みを考慮したら真人の方が体格がいいんだと思う。
生まれたばかりの呪霊なのにもうこんなに逞しいんだ。
他にも一通り服を選んだ後、近いうちに真人用の服も買ってあげないとと思案する。
そして、ちゃんと服を着た真人と向かい合った。
「それで、一緒に暮らすなら守ってほしいことがあるんだ」
「なに?」
「まず、僕の家族や友達は殺さないで。……飼い猫が人を傷つけるなんて嫌だから」
機嫌がいいうちに守って欲しいことを伝える。
呪霊だから人を襲うな、なんてのは無理だろうし、まずは身近な人を殺させないようにしないと。
ちらりと真人の顔色を伺えば、特に不機嫌になる様子もなく僕に軽く返してきた。
「分かった。飼い主の君はもちろん君の大切な人には手を出さないよ」
「……ありがとう」
本当は『縛り』とかをした方がいいんだろうけど。
呪いとして生まれたばかりの真人は縛りを知らないだろうし、僕も呪術を扱えるわけじゃないからやり方が分からない。
いつ破られてもおかしくない約束でも、ひとまず胸を撫で下ろした。
