雨と猫
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風呂から上がれば猫は水気を飛ばすように体を震わせた。
飛び散る水飛沫をタオルでガードしつつ、濡れて細くなった猫の体をタオルドライしていく。
念の為、ツギハギがあるところはより優しく拭いてあげた。
「ドライヤーの音を怖がらないといいけど……。とりあえず乾かそうか」
「にゃん」
ドライヤーのコンセントを指せば機械の駆動音が脱衣所に響き渡る。
大きな音にビックリしないか心配していたけど、猫は動じることなくドライヤーの風に当たっていた。
「怖がる素振りを見せないのはやっぱり呪霊だから?」
改めてこの可愛い猫が呪霊だと思い出すも、あまりの大人しさに拍子抜けしていた。
これまで見てきた低級呪霊とは違い瞳の奥には理性が垣間見える。
もしかしたら、普通の呪霊より賢い子なのかもしれない。
僕も気が抜けてきたところで自分の髪にドライヤーを当てる。
イギリス人の父親譲りのミルクティーベージュの髪は細く、よく猫っ毛だねと言われていた。
毛先にも少し癖がついていて父の血を感じる。
「ふふ。こうして見ると僕の髪の毛って本当に猫みたいにふわふわしてる」
「にゃう?」
鏡の中の自分と猫を見比べてみれば、猫っ毛だと言われたことに納得した。
僕が髪を乾かしている間、猫は僕の足元にまとわりついてじゃれついてきていた。
ドライヤーの音が止んだと分かれば嬉しそうに『にゃあ』と鳴いてみせる。
パジャマに着替えた後は一緒にリビングに向かった。
「にゃん」
「お風呂お疲れ様。触っていい?……わぁ!すごくもふもふだ〜!」
おそるおそる手を伸ばしてみれば、そこには最高級のもふもふが存在していた。
初めて見た時から綺麗な子だと思っていたけど、今は愛くるしいぬいぐるみみたいにふわふわしてる。
柔らかい毛を堪能していると猫はゴロンと仰向けに寝転がる。
そして、まるで触ってくれとでも言うように僕にお腹をさらけ出した。
「お腹まで触らせてくれるなんていい子だね〜」
「にゃーう、ゴロゴロ……」
ふわふわなお腹をゆっくり撫でれば猫は幸せそうに目を細めた。
いつの間にか喉を鳴らして尻尾もゆっくり振っているし、きっとこの子も喜んでくれているんだろう。
しばらくじゃれ合ったあと、軽い夕食を食べてから寝室へと向かった。
猫も当然のようについてきてベッドの上に飛び乗る。
僕は猫のスペースを避けるように体を毛布に潜り込ませ、寝る場所を確保した。
「一緒に寝たいの?いいけど、僕に潰されないようにね。おやすみなさい」
「にゃぅ……」
言葉の意味を知ってか知らずしてか、猫は一緒に布団の中に潜り込む。
僕の隣で丸くなって心地よさそうにオッドアイの瞳を閉じた。
もう警戒心なんてのは忘れてしまったかのようにくつろぐ姿に、思わず笑みがこぼれる。
最初から警戒はされていなかったけど少しは信頼してくれてたらいいな。
すやすやと眠る猫に愛しさを覚えながら僕も眠りについた。
__________
翌朝____
「う〜ん……。ねこちゃ……どこ……」
カーテンの隙間から射し込む朝日に目を開けられず、寝ぼけ眼で癒しのもふもふを探す。
だけど、猫を探す手のひらに感じたのは硬い筋肉のような感触で。
「……え?」
予想外の感触に思わず目を開けると、隣には知らない全裸のツギハギ男が寝ていた。
さらに混乱した僕が硬直していると、ツギハギの男のまぶたがぴくりと動く。
「ん〜……おはよう。いい朝だね〜!」
男もちょうど起きたのか、朝日より眩しい笑顔を向けられる。
知らない男が全裸で隣に寝ていた恐怖。
それよりもとんでもない事実に気づき、息することさえ忘れて目を見開いた。
「だ、だれ……ですか?」
「え〜?酷いなぁ。昨日あんなに熱い夜を過ごしたのに、もう忘れちゃったの?」
そして僕はようやく思い出す。
目の前にいる男は一体誰なのか、無邪気に笑うこの存在はいったい何なのか。
くすんだ水色の長い髪、ツギハギだらけの青白い体。
青と灰のオッドアイの瞳で僕を愉しげに、かつ見定めるかのように見つめる人の形をした呪いは。
「__俺は真人、人が人を憎み恐れた腹から生まれた呪いさ。
そして、君に拾われた猫だよ」
飛び散る水飛沫をタオルでガードしつつ、濡れて細くなった猫の体をタオルドライしていく。
念の為、ツギハギがあるところはより優しく拭いてあげた。
「ドライヤーの音を怖がらないといいけど……。とりあえず乾かそうか」
「にゃん」
ドライヤーのコンセントを指せば機械の駆動音が脱衣所に響き渡る。
大きな音にビックリしないか心配していたけど、猫は動じることなくドライヤーの風に当たっていた。
「怖がる素振りを見せないのはやっぱり呪霊だから?」
改めてこの可愛い猫が呪霊だと思い出すも、あまりの大人しさに拍子抜けしていた。
これまで見てきた低級呪霊とは違い瞳の奥には理性が垣間見える。
もしかしたら、普通の呪霊より賢い子なのかもしれない。
僕も気が抜けてきたところで自分の髪にドライヤーを当てる。
イギリス人の父親譲りのミルクティーベージュの髪は細く、よく猫っ毛だねと言われていた。
毛先にも少し癖がついていて父の血を感じる。
「ふふ。こうして見ると僕の髪の毛って本当に猫みたいにふわふわしてる」
「にゃう?」
鏡の中の自分と猫を見比べてみれば、猫っ毛だと言われたことに納得した。
僕が髪を乾かしている間、猫は僕の足元にまとわりついてじゃれついてきていた。
ドライヤーの音が止んだと分かれば嬉しそうに『にゃあ』と鳴いてみせる。
パジャマに着替えた後は一緒にリビングに向かった。
「にゃん」
「お風呂お疲れ様。触っていい?……わぁ!すごくもふもふだ〜!」
おそるおそる手を伸ばしてみれば、そこには最高級のもふもふが存在していた。
初めて見た時から綺麗な子だと思っていたけど、今は愛くるしいぬいぐるみみたいにふわふわしてる。
柔らかい毛を堪能していると猫はゴロンと仰向けに寝転がる。
そして、まるで触ってくれとでも言うように僕にお腹をさらけ出した。
「お腹まで触らせてくれるなんていい子だね〜」
「にゃーう、ゴロゴロ……」
ふわふわなお腹をゆっくり撫でれば猫は幸せそうに目を細めた。
いつの間にか喉を鳴らして尻尾もゆっくり振っているし、きっとこの子も喜んでくれているんだろう。
しばらくじゃれ合ったあと、軽い夕食を食べてから寝室へと向かった。
猫も当然のようについてきてベッドの上に飛び乗る。
僕は猫のスペースを避けるように体を毛布に潜り込ませ、寝る場所を確保した。
「一緒に寝たいの?いいけど、僕に潰されないようにね。おやすみなさい」
「にゃぅ……」
言葉の意味を知ってか知らずしてか、猫は一緒に布団の中に潜り込む。
僕の隣で丸くなって心地よさそうにオッドアイの瞳を閉じた。
もう警戒心なんてのは忘れてしまったかのようにくつろぐ姿に、思わず笑みがこぼれる。
最初から警戒はされていなかったけど少しは信頼してくれてたらいいな。
すやすやと眠る猫に愛しさを覚えながら僕も眠りについた。
__________
翌朝____
「う〜ん……。ねこちゃ……どこ……」
カーテンの隙間から射し込む朝日に目を開けられず、寝ぼけ眼で癒しのもふもふを探す。
だけど、猫を探す手のひらに感じたのは硬い筋肉のような感触で。
「……え?」
予想外の感触に思わず目を開けると、隣には知らない全裸のツギハギ男が寝ていた。
さらに混乱した僕が硬直していると、ツギハギの男のまぶたがぴくりと動く。
「ん〜……おはよう。いい朝だね〜!」
男もちょうど起きたのか、朝日より眩しい笑顔を向けられる。
知らない男が全裸で隣に寝ていた恐怖。
それよりもとんでもない事実に気づき、息することさえ忘れて目を見開いた。
「だ、だれ……ですか?」
「え〜?酷いなぁ。昨日あんなに熱い夜を過ごしたのに、もう忘れちゃったの?」
そして僕はようやく思い出す。
目の前にいる男は一体誰なのか、無邪気に笑うこの存在はいったい何なのか。
くすんだ水色の長い髪、ツギハギだらけの青白い体。
青と灰のオッドアイの瞳で僕を愉しげに、かつ見定めるかのように見つめる人の形をした呪いは。
「__俺は真人、人が人を憎み恐れた腹から生まれた呪いさ。
そして、君に拾われた猫だよ」
