雨と猫
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家のコタツでくつろいでいた二月のある日。
猫はコタツで丸くなるっていうけど、それは僕の飼い猫も同様だった。
真人はコタツがだいぶ気に入ったのか、寒い日はだいたいコタツに入って微睡んでいる。
「うにゃ……紫苑も入るの?どいてあげたいけど……これは抜け出せないにゃ」
「今日は特に冷え込んでいるからね。でも、ずっと入ってると乾燥するよ?」
「俺は呪霊だから平気なの!……うわぁー」
僕もコタツに入ろうと布団をめくれば中には既に先客がいて。
猫の姿となった真人が伸びきっていた。
いや、もはや溶けているといってもいい。
ずっとコタツに入っているのは心配だから、何とか引っ張り出して膝の上に乗せる。
真人は気の抜けた声で抵抗していた。
「うぅ……コタツから追い出すなんて酷い!」
「今朝から入ってたでしょ?そろそろ出た方がいいよ。ほら、撫でてあげるから」
「にゃー……ゴロゴロ」
コタツから引っ張り出され怒る真人を撫でてあげる。
呪霊だから平気といっても関係ない。
なぜなら、飼い猫がコタツに入り浸っているせいで僕は猫不足を感じていたから。
不足していた癒しを補うように撫で回す。
真人は抵抗を諦めたのか、目を細めながら僕にされるがままになっていた。
「もう、しょうがないなぁ。紫苑ってば本当は俺に触りたくて仕方なかったんじゃないの?」
「うっ……それは、そうだけど。僕もコタツに入りたかったし……」
「あっ!それならこれはどう?」
何か思いついたのか、真人は猫耳と尻尾を残したまま人の姿に変わってみせる。
そして、僕を後ろから抱きしめるような態勢でコタツに足を入れた。
「ほら、これなら俺に触りながらコタツに入れるよ」
「猫要素が減ってるんだけど?」
「それは尻尾で我慢してよ。こっちももふもふだよ?」
するりと長いふわふわな尻尾が僕の前で揺らめく。
猫要素はだいぶ減ったものの、目の前の尻尾に惹かれた僕は大人しく撫ではじめた。
「紫苑はほんと猫好きだよねぇ。それじゃあ、君が俺の尻尾を触っている間、俺も紫苑を愛でてるね♡」
「えっ?それは聞いてないって……んっ」
「ふふ、そんなに俺の手気持ちいい?顔がすぐ蕩けてるよ」
尻尾に夢中になっていれば服の中に手を突っ込まれる。
呪霊には体温が感じられないけど、ずっとコタツに入っていたせいか真人の手は温かくなっていて。
いつもの冷たい感触とは違い、人肌のような体温を感じた僕は思わず声が上擦った。
真人はそんな僕の様子を楽しそうに観察している。
だけど、怪訝な顔をしたあとふと手を止めた。
「……ねぇ、紫苑の魂の中に何か増えてんだけど……」
「はぁ……どういうこと?」
「なんていうか、前は感じられなかった異物?が君の魂の中に入り込んでる」
真人は僕の体を確かめるようにまたまさぐる。
付き合い出してからはこうしたスキンシップが増えていた。
でも、遠慮なしに触れてくる熱を帯びた手は今の僕にとって刺激が強すぎる。
「んっ……心当たりならある、けど」
与えられる刺激に声を抑えながら思い出す。
それは去年の十一月、夏油に襲われ領域を展開した時。
自分の中に"何か"が入ってくる感触を覚えた。
最近では、その何かが出てきたそうにうずうずしているのを感じる。
このまま放っておくのもあれだし、何かを呼び出してみようと僕は術式に反転の力を流し込んだ。
「____"再生"」
術式反転の"再生"を使用する。
すると、以前に特級仮想怨霊"八岐大蛇 "を祓った時に使った剣が目の前に飛び出してきた。
「うわっ、剣が出てきた……!?」
「前に夏油に襲われた時……八岐大蛇を"再生"でこの剣に変えたんだ。
まだ残ってるとは思わなかったけど……」
急に出てきた剣に真人は驚く。
剣は静かな金色の光を帯びていて、八岐大蛇のような荒々しい呪力ではなく、洗練された雰囲気を感じる。
もしかしたら、夏油に操られていただけで本来の八岐大蛇はあそこまで凶暴ではなかったのかもしれない。
その金色の剣を拾いあげてみれば不思議と暖かい感じがした。
「"再生"で呪霊を丸ごと呪具に変えたのか。
うーん、それにしても……こいつからはまだ生きてる感じがするよ?」
「えっ、それって祓えてないってこと?」
「……俺にもよく分かんないや。夏油に見せに行こっか」
考えても僕達だけじゃ答えが出なかったので、呪術に詳しいであろう夏油に聞きに行くことにした。
__________
猫はコタツで丸くなるっていうけど、それは僕の飼い猫も同様だった。
真人はコタツがだいぶ気に入ったのか、寒い日はだいたいコタツに入って微睡んでいる。
「うにゃ……紫苑も入るの?どいてあげたいけど……これは抜け出せないにゃ」
「今日は特に冷え込んでいるからね。でも、ずっと入ってると乾燥するよ?」
「俺は呪霊だから平気なの!……うわぁー」
僕もコタツに入ろうと布団をめくれば中には既に先客がいて。
猫の姿となった真人が伸びきっていた。
いや、もはや溶けているといってもいい。
ずっとコタツに入っているのは心配だから、何とか引っ張り出して膝の上に乗せる。
真人は気の抜けた声で抵抗していた。
「うぅ……コタツから追い出すなんて酷い!」
「今朝から入ってたでしょ?そろそろ出た方がいいよ。ほら、撫でてあげるから」
「にゃー……ゴロゴロ」
コタツから引っ張り出され怒る真人を撫でてあげる。
呪霊だから平気といっても関係ない。
なぜなら、飼い猫がコタツに入り浸っているせいで僕は猫不足を感じていたから。
不足していた癒しを補うように撫で回す。
真人は抵抗を諦めたのか、目を細めながら僕にされるがままになっていた。
「もう、しょうがないなぁ。紫苑ってば本当は俺に触りたくて仕方なかったんじゃないの?」
「うっ……それは、そうだけど。僕もコタツに入りたかったし……」
「あっ!それならこれはどう?」
何か思いついたのか、真人は猫耳と尻尾を残したまま人の姿に変わってみせる。
そして、僕を後ろから抱きしめるような態勢でコタツに足を入れた。
「ほら、これなら俺に触りながらコタツに入れるよ」
「猫要素が減ってるんだけど?」
「それは尻尾で我慢してよ。こっちももふもふだよ?」
するりと長いふわふわな尻尾が僕の前で揺らめく。
猫要素はだいぶ減ったものの、目の前の尻尾に惹かれた僕は大人しく撫ではじめた。
「紫苑はほんと猫好きだよねぇ。それじゃあ、君が俺の尻尾を触っている間、俺も紫苑を愛でてるね♡」
「えっ?それは聞いてないって……んっ」
「ふふ、そんなに俺の手気持ちいい?顔がすぐ蕩けてるよ」
尻尾に夢中になっていれば服の中に手を突っ込まれる。
呪霊には体温が感じられないけど、ずっとコタツに入っていたせいか真人の手は温かくなっていて。
いつもの冷たい感触とは違い、人肌のような体温を感じた僕は思わず声が上擦った。
真人はそんな僕の様子を楽しそうに観察している。
だけど、怪訝な顔をしたあとふと手を止めた。
「……ねぇ、紫苑の魂の中に何か増えてんだけど……」
「はぁ……どういうこと?」
「なんていうか、前は感じられなかった異物?が君の魂の中に入り込んでる」
真人は僕の体を確かめるようにまたまさぐる。
付き合い出してからはこうしたスキンシップが増えていた。
でも、遠慮なしに触れてくる熱を帯びた手は今の僕にとって刺激が強すぎる。
「んっ……心当たりならある、けど」
与えられる刺激に声を抑えながら思い出す。
それは去年の十一月、夏油に襲われ領域を展開した時。
自分の中に"何か"が入ってくる感触を覚えた。
最近では、その何かが出てきたそうにうずうずしているのを感じる。
このまま放っておくのもあれだし、何かを呼び出してみようと僕は術式に反転の力を流し込んだ。
「____"再生"」
術式反転の"再生"を使用する。
すると、以前に特級仮想怨霊"
「うわっ、剣が出てきた……!?」
「前に夏油に襲われた時……八岐大蛇を"再生"でこの剣に変えたんだ。
まだ残ってるとは思わなかったけど……」
急に出てきた剣に真人は驚く。
剣は静かな金色の光を帯びていて、八岐大蛇のような荒々しい呪力ではなく、洗練された雰囲気を感じる。
もしかしたら、夏油に操られていただけで本来の八岐大蛇はあそこまで凶暴ではなかったのかもしれない。
その金色の剣を拾いあげてみれば不思議と暖かい感じがした。
「"再生"で呪霊を丸ごと呪具に変えたのか。
うーん、それにしても……こいつからはまだ生きてる感じがするよ?」
「えっ、それって祓えてないってこと?」
「……俺にもよく分かんないや。夏油に見せに行こっか」
考えても僕達だけじゃ答えが出なかったので、呪術に詳しいであろう夏油に聞きに行くことにした。
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