雨と猫
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真人と無事に再会したあの日以降____
特に変わったこともなく普段通りの日常が戻ってきた。
あれから夏油の姿も見ていないし、五条先生の後ろ盾を得たから手を出されることはもうないと思う。
変わったことといえばたまに呪術高専に通ったりするようになったのと、あとは。
「ねぇ、今日はずっと家にいるよね?」
真人が前より甘えるようになったくらいかな?
「うん。今日は特に用事もないしずっと真人といるよ」
「あはっ、君にならこうやって可愛がられるのも悪くないかも♪」
夏油の襲撃にあってから、真人は前にもまして僕にくっつくようになった。
よっぽど僕がいないのが堪えたんだろう。
今だって僕の膝を枕にしながら猫のように甘えてきている。
猫耳と尻尾だけを生やした人の姿だけど、猫耳を優しく撫でれば嬉しそうに喉を鳴らした。
と、そんな昼下がりの部屋に突如スマホの着信音が響き渡った。
「あ、五条先生からの電話だ。多分、あの話だと思うから……少し静かにしててくれる?」
「えー?」
真人が不満げな声を上げるけど、その唇に指を当てて『静かにしててね』と言った。
ふにと形のいい唇に触れてしまうも気にしないフリをする。
電話に出れば五条先生の声が聞こえてきた。
「もしもし紫苑?今いいかな?前に話してた"百鬼夜行"参加の返事を聞きたいんだけど……」
「……」
「五条先生、僕は参加……あっ、すみません飼い猫が……!
後でかけ直しますねっ!」
「えっ、ちょ紫苑……!?猫って」
返事をしようとしたら真人に服の下から脇腹をまさぐられた。
電話中だというのにくすぐったくて声が思わず声が上擦ってしまう。
そんな声を五条先生に聞かせるわけにもいかず、すぐに電話を切ってしまった。
「ちょっと真人、邪魔しちゃダメだよ?大事な話なんだから」
「……行かないでよ。その百鬼夜行とやらには紫苑を襲った奴が来るんだろ?
ねぇ、その日は俺と一緒にいて?俺が側で守ってあげるから」
注意しようと真人を見れば、上目遣いで必死に『行かないで』と訴えかけていた。
青と灰の瞳で懇願されれば僕の決意も揺らぐ。
呪術師として本当は僕も"百鬼夜行"に参加するべきなんだろうけど。
飼い猫に甘い僕はそっと真人のふわふわな髪を撫でて頷いた。
「……はぁ、分かった。五条先生には後で断りの電話入れとく」
「……!やったー!これでクリスマスも一緒にいられるね♪」
真人の押しに弱い僕はまたお願いを受け入れてしまう。
クリスマス、といったって百鬼夜行で危険だからどこにも出かけられないけど。
せめて家でささやかなパーティーくらいはしてもいいかな。
「(棘やパンダ、真希さん達には悪いけど、本編通り憂太だっているし……きっと大丈夫だよね)」
__________
迎えた百鬼夜行当日、クリスマスイブの日。
東京には厳重な交通規制がなされ、世間はいつものクリスマスの様相とは異なっていた。
テレビのニュースですらどこか物々しい雰囲気で交通網について説明している。
一般人には何も知らされていないものの、都内には夏油の放った呪霊達が暴れ回っている。
それを止めようと全国各地から呪術師達が呼び集められていた。
「そろそろ寝ようか」
「ん、外も特に異常はなさそうだし……そうだね」
今朝からずっと窓の外を見張ってくれていた真人を連れ、寝室に行く。
たくさんの呪いの気配に真人も神経を尖らせていたみたい。
落ち着かせるように背中を撫で、先にベッドに入るよう促した。
二人でいつものようにベッドに入れば、真人は何か言いたそうにもじもじと尻尾を動かした。
「……あのさ、紫苑にお願いがあるんだけど」
「ん、なぁに?」
「俺……紫苑を抱きたい」
唐突に、いつもと違う真剣で熱のこもった瞳で見つめられる。
抱きたいって、どういう意味なんだろう。
一瞬そう疑問に思うも真人の瞳には仄かな情欲の炎が垣間見えた。
そんな青と灰の瞳から逃れようとすればツギハギの手が僕の手に重ねられる。
続けて耳元に熱っぽい声で囁いてきた。
「冗談じゃない、本気なんだ。紫苑のこと……俺のものにしたい」
ツギハギの手にぎゅっと力が込められる。
僕よりも一回り以上大きな掌だけど、まるで哀願するような手つきだった。
もう言葉の意味を考えなくても真人のしたいことが分かる。
この一線を超えてしまったら、ただの飼い主と飼い猫の関係には戻れないだろう。
今なら断ることだってできる。
人と呪いが愛し合うなんてありえない、ただの気の迷いだよって。
だけど____僕も真人の想いに応えたい。
「……いいよ。真人のこと……受け入れるよ。ほら、おいで」
日付がクリスマスへと変わったその夜。
そっと唇を触れ合わせ、僕達は体を重ねた。
特に変わったこともなく普段通りの日常が戻ってきた。
あれから夏油の姿も見ていないし、五条先生の後ろ盾を得たから手を出されることはもうないと思う。
変わったことといえばたまに呪術高専に通ったりするようになったのと、あとは。
「ねぇ、今日はずっと家にいるよね?」
真人が前より甘えるようになったくらいかな?
「うん。今日は特に用事もないしずっと真人といるよ」
「あはっ、君にならこうやって可愛がられるのも悪くないかも♪」
夏油の襲撃にあってから、真人は前にもまして僕にくっつくようになった。
よっぽど僕がいないのが堪えたんだろう。
今だって僕の膝を枕にしながら猫のように甘えてきている。
猫耳と尻尾だけを生やした人の姿だけど、猫耳を優しく撫でれば嬉しそうに喉を鳴らした。
と、そんな昼下がりの部屋に突如スマホの着信音が響き渡った。
「あ、五条先生からの電話だ。多分、あの話だと思うから……少し静かにしててくれる?」
「えー?」
真人が不満げな声を上げるけど、その唇に指を当てて『静かにしててね』と言った。
ふにと形のいい唇に触れてしまうも気にしないフリをする。
電話に出れば五条先生の声が聞こえてきた。
「もしもし紫苑?今いいかな?前に話してた"百鬼夜行"参加の返事を聞きたいんだけど……」
「……」
「五条先生、僕は参加……あっ、すみません飼い猫が……!
後でかけ直しますねっ!」
「えっ、ちょ紫苑……!?猫って」
返事をしようとしたら真人に服の下から脇腹をまさぐられた。
電話中だというのにくすぐったくて声が思わず声が上擦ってしまう。
そんな声を五条先生に聞かせるわけにもいかず、すぐに電話を切ってしまった。
「ちょっと真人、邪魔しちゃダメだよ?大事な話なんだから」
「……行かないでよ。その百鬼夜行とやらには紫苑を襲った奴が来るんだろ?
ねぇ、その日は俺と一緒にいて?俺が側で守ってあげるから」
注意しようと真人を見れば、上目遣いで必死に『行かないで』と訴えかけていた。
青と灰の瞳で懇願されれば僕の決意も揺らぐ。
呪術師として本当は僕も"百鬼夜行"に参加するべきなんだろうけど。
飼い猫に甘い僕はそっと真人のふわふわな髪を撫でて頷いた。
「……はぁ、分かった。五条先生には後で断りの電話入れとく」
「……!やったー!これでクリスマスも一緒にいられるね♪」
真人の押しに弱い僕はまたお願いを受け入れてしまう。
クリスマス、といったって百鬼夜行で危険だからどこにも出かけられないけど。
せめて家でささやかなパーティーくらいはしてもいいかな。
「(棘やパンダ、真希さん達には悪いけど、本編通り憂太だっているし……きっと大丈夫だよね)」
__________
迎えた百鬼夜行当日、クリスマスイブの日。
東京には厳重な交通規制がなされ、世間はいつものクリスマスの様相とは異なっていた。
テレビのニュースですらどこか物々しい雰囲気で交通網について説明している。
一般人には何も知らされていないものの、都内には夏油の放った呪霊達が暴れ回っている。
それを止めようと全国各地から呪術師達が呼び集められていた。
「そろそろ寝ようか」
「ん、外も特に異常はなさそうだし……そうだね」
今朝からずっと窓の外を見張ってくれていた真人を連れ、寝室に行く。
たくさんの呪いの気配に真人も神経を尖らせていたみたい。
落ち着かせるように背中を撫で、先にベッドに入るよう促した。
二人でいつものようにベッドに入れば、真人は何か言いたそうにもじもじと尻尾を動かした。
「……あのさ、紫苑にお願いがあるんだけど」
「ん、なぁに?」
「俺……紫苑を抱きたい」
唐突に、いつもと違う真剣で熱のこもった瞳で見つめられる。
抱きたいって、どういう意味なんだろう。
一瞬そう疑問に思うも真人の瞳には仄かな情欲の炎が垣間見えた。
そんな青と灰の瞳から逃れようとすればツギハギの手が僕の手に重ねられる。
続けて耳元に熱っぽい声で囁いてきた。
「冗談じゃない、本気なんだ。紫苑のこと……俺のものにしたい」
ツギハギの手にぎゅっと力が込められる。
僕よりも一回り以上大きな掌だけど、まるで哀願するような手つきだった。
もう言葉の意味を考えなくても真人のしたいことが分かる。
この一線を超えてしまったら、ただの飼い主と飼い猫の関係には戻れないだろう。
今なら断ることだってできる。
人と呪いが愛し合うなんてありえない、ただの気の迷いだよって。
だけど____僕も真人の想いに応えたい。
「……いいよ。真人のこと……受け入れるよ。ほら、おいで」
日付がクリスマスへと変わったその夜。
そっと唇を触れ合わせ、僕達は体を重ねた。
