雨と猫
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先程出会った猫をカバンに入れ帰路を急ぐ。
猫の呪霊といえど呪術師に見つかれば面倒なことになるだろうし。
仕方ない運び方だった。
嫌がると思ったけど、猫の方からすんなり入ってきてくれたから助かった。
「まぁ、猫は狭い所とか好きだもんね」
時折もぞもぞとカバンの中で動く猫に思わず笑みがこぼれる。
新たな同居人を愛しく思いつつ我が家に帰った。
__________
東京近郊のマンションの一室____
「ただいま〜」
ドアを開け、誰もいない空間に帰宅を知らせる。
両親には高校に入ってから会っていない。
2人とも海外出張に行っているから、ずっと一人暮らしだった。
僕の両親がいったいなんの職に就いているか聞いても教えてくれなかったけど、2人ともいつも忙しそうにしていたことは覚えている。
海外と比べて日本には呪霊が多くいるし、本当は僕も両親について行きたかったのだけれど。
まだ当分帰ってこないだろうし猫を連れ帰るのに好都合だった。
でも、1人で過ごすのはやっぱり少し寂しい。
「もう出ていいよ。今日からここが君のうちだからね」
「__にゃん」
猫はするりとカバンから出てくると、ぴょいと玄関マットの上に降り立つ。
廊下の電気をつけてあげればさっそく部屋の中を探検しはじめた。
僕はキッチンに行って戸棚に置かれていた猫缶の中身と水を皿に移す。
よく野良猫とかにもあげたりするから常備してある物だ。
「呪霊に餌が必要なのか分からないけど……とりあえず、置いとくから。
お腹が空いたらちゃんと食べるんだよ」
そう声をかけるとリビングの方まで探検してた猫が駆け寄ってくる。
だけど、餌には見向きもせず僕の手に顔を押し付けてきた。
ふわふわな毛とピンとはったヒゲが掌に当たってくすぐったい。
「にゃーお、ゴロゴロ……」
「ふふ、ひげが当たってくすぐったいよ。
……餌はいらないのかな?それなら、先にお風呂に入ろうか」
甘える猫を優しく抱き上げ脱衣所に向かう。
猫は水が苦手だけど外にいた以上1回洗っておいた方がいいと思った。
この子は本物の猫じゃなくて呪霊なんだけどね。
ついでに自分も入ろうと制服を脱げば下から視線を感じる。
「ん、どうしたの……?人間の裸なんて見ても面白くないよ?」
視線の正体は猫で。
何が興味を引いたのか分からないけどじーっと熱心に見つめられる。
自分の裸体を凝視されていることに気づけば、猫といえどなんだか恥ずかしくなってきた。
猫を気にするなんて自意識過剰すぎると思うけど、タオルを腰に巻いて風呂場への扉を開けた。
基本、猫は濡れることを嫌う。
呪霊といえど猫の姿をしているので暴れるかもと身構えていたけど。
猫は大人しく僕に洗われていた。
「いい子だね。ほら、シャンプーを洗い流すよ」
風呂から上がり、毛をドライヤーで丁寧に乾かしてあげた後、僕も自分の髪も乾かす。
その間、猫は僕の足元にまとわりついたりしていた。
パジャマに着替えて2人でリビングに向かえば。
「にゃん」
「触っていい?……わぁ!すごくもふもふだ〜!」
そこには最高級のもふもふが存在していた。
初めて見た時から綺麗な子だと思っていたけど、今は愛くるしいぬいぐるみみたいにふわふわしてる。
柔らかい毛を堪能していると猫はゴロンと転がる。
そして、まるで触ってくれとでも言うように僕にお腹をさらけ出した。
「お腹まで触らせてくれるなんていい子だね〜」
「にゃーう、ゴロゴロ……」
しばらくじゃれ合ったあと、軽い夕食を食べてから寝室へと向かった。
猫も当然のようについてきてベッドの上に飛び乗る。
「一緒に寝たいの?いいけど、僕に潰されないようにね」
「にゃぅ……」
言葉の意味を知ってか知らずしてか、一緒に布団の中に潜り込む。
そんな猫に愛しさを覚えながら僕は眠りについた。
__________
翌朝____
「う〜ん……ねこ、ちゃ……どこ……」
カーテンの隙間から射し込む朝日に目を開けられず。
寝ぼけ眼で癒しのもふもふを探す。
だけど、猫を探す手のひらに感じたのは硬い筋肉のような感触で。
「……え?」
予想外の感触に思わず目を開けると、隣には知らない全裸のツギハギ男が寝ていた。
混乱する僕をよそにツギハギの男のまぶたがぴくりと動く。
「ん〜……おはよう。いい朝だね〜!」
男もちょうど起きたのか、朝日より眩しい笑顔を向けられた。
「だ、だれ……ですか?」
「え〜?酷いなぁ。
昨日あんなに熱い夜を過ごしたのに、もう忘れちゃったの?」
そして僕は思い出す。
目の前にいる男は一体誰なのか、無邪気に笑うこの存在は何なのか。
長い水色の髪、ツギハギだらけの体。
青と灰の瞳で楽しげに僕を見つめる、この呪いは____
「俺は真人、人が人を憎み恐れた腹から生まれた呪いさ。
そして、君に拾われた猫だよ____」
__________
猫の呪霊といえど呪術師に見つかれば面倒なことになるだろうし。
仕方ない運び方だった。
嫌がると思ったけど、猫の方からすんなり入ってきてくれたから助かった。
「まぁ、猫は狭い所とか好きだもんね」
時折もぞもぞとカバンの中で動く猫に思わず笑みがこぼれる。
新たな同居人を愛しく思いつつ我が家に帰った。
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東京近郊のマンションの一室____
「ただいま〜」
ドアを開け、誰もいない空間に帰宅を知らせる。
両親には高校に入ってから会っていない。
2人とも海外出張に行っているから、ずっと一人暮らしだった。
僕の両親がいったいなんの職に就いているか聞いても教えてくれなかったけど、2人ともいつも忙しそうにしていたことは覚えている。
海外と比べて日本には呪霊が多くいるし、本当は僕も両親について行きたかったのだけれど。
まだ当分帰ってこないだろうし猫を連れ帰るのに好都合だった。
でも、1人で過ごすのはやっぱり少し寂しい。
「もう出ていいよ。今日からここが君のうちだからね」
「__にゃん」
猫はするりとカバンから出てくると、ぴょいと玄関マットの上に降り立つ。
廊下の電気をつけてあげればさっそく部屋の中を探検しはじめた。
僕はキッチンに行って戸棚に置かれていた猫缶の中身と水を皿に移す。
よく野良猫とかにもあげたりするから常備してある物だ。
「呪霊に餌が必要なのか分からないけど……とりあえず、置いとくから。
お腹が空いたらちゃんと食べるんだよ」
そう声をかけるとリビングの方まで探検してた猫が駆け寄ってくる。
だけど、餌には見向きもせず僕の手に顔を押し付けてきた。
ふわふわな毛とピンとはったヒゲが掌に当たってくすぐったい。
「にゃーお、ゴロゴロ……」
「ふふ、ひげが当たってくすぐったいよ。
……餌はいらないのかな?それなら、先にお風呂に入ろうか」
甘える猫を優しく抱き上げ脱衣所に向かう。
猫は水が苦手だけど外にいた以上1回洗っておいた方がいいと思った。
この子は本物の猫じゃなくて呪霊なんだけどね。
ついでに自分も入ろうと制服を脱げば下から視線を感じる。
「ん、どうしたの……?人間の裸なんて見ても面白くないよ?」
視線の正体は猫で。
何が興味を引いたのか分からないけどじーっと熱心に見つめられる。
自分の裸体を凝視されていることに気づけば、猫といえどなんだか恥ずかしくなってきた。
猫を気にするなんて自意識過剰すぎると思うけど、タオルを腰に巻いて風呂場への扉を開けた。
基本、猫は濡れることを嫌う。
呪霊といえど猫の姿をしているので暴れるかもと身構えていたけど。
猫は大人しく僕に洗われていた。
「いい子だね。ほら、シャンプーを洗い流すよ」
風呂から上がり、毛をドライヤーで丁寧に乾かしてあげた後、僕も自分の髪も乾かす。
その間、猫は僕の足元にまとわりついたりしていた。
パジャマに着替えて2人でリビングに向かえば。
「にゃん」
「触っていい?……わぁ!すごくもふもふだ〜!」
そこには最高級のもふもふが存在していた。
初めて見た時から綺麗な子だと思っていたけど、今は愛くるしいぬいぐるみみたいにふわふわしてる。
柔らかい毛を堪能していると猫はゴロンと転がる。
そして、まるで触ってくれとでも言うように僕にお腹をさらけ出した。
「お腹まで触らせてくれるなんていい子だね〜」
「にゃーう、ゴロゴロ……」
しばらくじゃれ合ったあと、軽い夕食を食べてから寝室へと向かった。
猫も当然のようについてきてベッドの上に飛び乗る。
「一緒に寝たいの?いいけど、僕に潰されないようにね」
「にゃぅ……」
言葉の意味を知ってか知らずしてか、一緒に布団の中に潜り込む。
そんな猫に愛しさを覚えながら僕は眠りについた。
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翌朝____
「う〜ん……ねこ、ちゃ……どこ……」
カーテンの隙間から射し込む朝日に目を開けられず。
寝ぼけ眼で癒しのもふもふを探す。
だけど、猫を探す手のひらに感じたのは硬い筋肉のような感触で。
「……え?」
予想外の感触に思わず目を開けると、隣には知らない全裸のツギハギ男が寝ていた。
混乱する僕をよそにツギハギの男のまぶたがぴくりと動く。
「ん〜……おはよう。いい朝だね〜!」
男もちょうど起きたのか、朝日より眩しい笑顔を向けられた。
「だ、だれ……ですか?」
「え〜?酷いなぁ。
昨日あんなに熱い夜を過ごしたのに、もう忘れちゃったの?」
そして僕は思い出す。
目の前にいる男は一体誰なのか、無邪気に笑うこの存在は何なのか。
長い水色の髪、ツギハギだらけの体。
青と灰の瞳で楽しげに僕を見つめる、この呪いは____
「俺は真人、人が人を憎み恐れた腹から生まれた呪いさ。
そして、君に拾われた猫だよ____」
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