雨と猫
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あの後、皆んなに着替えを手伝ってもらったり荷物を纏めてもらったりした。
荷物といっても課外授業で持ってきた鞄と制服くらいだから少ないものだけど。
そしてありがたいことに、五条先生と補助監督の人が車で自宅まで送ってくれると申し出た。
五条先生は特級術師だから暇じゃないだろうに、夏油からの接触を警戒して付いてきてくれるらしい。
「それじゃあ紫苑君、また高専で会おうね!」
「無理はすんなよ。これから長い付き合いになるかもしんねぇからな」
「猫ちゃん元気だったら俺たちにも報告してくれよなー!ま、パンダの方が可愛いけど!」
「すじこ〜!」
これからまた会うことになるであろう高専一年に見送られながら黒い車に乗り込む。
個性豊かだけど皆んな信頼できそうな人達だったな。
今のところは原作との違いもあまり無いだろうし、警戒はしなくて良さそう。
走行中の車の中でそんな風に思い返していると、隣で長い足を器用に組んだ五条先生が僕に質問してきた。
「念の為に聞くけど、夏油とは他に何か話したかい?例えば……今後の計画に協力しろとか」
「いえ。ただ大義の為に自分たちの一派に加わるよう言われただけです。前からずっと断っていたんですがしつこくて……」
「大義ねぇ。あいつの言いそうなことだな。とりあえず家まで送るけど、もし怪しい人物や不審な点を見つけたらすぐに言ってね」
出来るだけ真人の存在に気づかれないよう嘘の供述をする。
僕にとって真人は大事な飼い猫だから、高専側にその存在を知られるわけにはいかなかった。
この嘘の証言も傍から見たら筋が通っているように思う。
夏油が真人の存在を仄めかしているという可能性もあったけど、医務室での五条先生の話から推測するに、夏油は僕を襲った理由を話していないだろうと確信していた。
それでも嘘を見破られないかハラハラしていると、運転している補助監督の人が声をかけてくる。
「ご自宅はこの辺りですかね?エントランスの前に停めますがいいですか?」
「あっ、はい!ここで間違いないです」
五条先生と話しているうちに、いつの間にか自宅マンションまでやって来ていた。
補助監督の人に車をエントランスの側まで寄せてもらい車から降りる。
先生も僕に続いて後ろから降りてきた。
「へぇ、ここが紫苑の家か。一人暮らしにしてはずいぶんと大きなマンションだね?」
「元々は家族三人で住んでいたんです。両親はよく海外出張で留守にしてるので……今は飼い猫と暮らしてます。
それでは、送ってくれてありがとうございました」
ぺこりと頭を下げて、まだ何か言いたげな五条先生を残してさっさとエントランスに入ろうとしたら。
先生は急に僕の腕を掴んできた。
びっくりして思わずその手を振り払おうとしたけど、相手はあの"最強"の術師である五条 悟で。
僕の力で振り払えるわけがなかった。
「待ちなよ。そう急いで帰ることはないんじゃない?家に夏油一派が待ち構えてないとも限らないし、僕も部屋までついて行くよ」
「っ!すみませんが、家にいる飼い猫が心配だし……その、うちの子は人嫌いなので」
「あぁそっか、猫がいるんだったね。それじゃあ気をつけて帰るんだよ」
五条先生はそう言ってようやく掴んでいた腕を離してくれる。
何か不審に思われたかもしれないけど、僕は今度こそエントランスに入った。
エレベーターに乗る時も先生がついてきてないかそっと確認する。
もしついてこられて部屋を見られたら、真人の存在がバレるかも知れないから内心ひやひやしていた。
「さすがにここまで来たら大丈夫か。真人も無事だといいけど……」
一応、そうやって警戒はしながらも自宅のドア前までやってくる。
見慣れた扉だけど開けるのが少し怖かった。
もし扉を開いて誰もいなければ、僕はまた以前のようなひとりぼっちの生活に戻るんだろうか。
「……孤独には慣れっこだと思ってたのに。大丈夫、きっとあの子も無事だろうから」
そんな心配もあったけど、真人の無事を願いつつそっと扉に手をかけた。
荷物といっても課外授業で持ってきた鞄と制服くらいだから少ないものだけど。
そしてありがたいことに、五条先生と補助監督の人が車で自宅まで送ってくれると申し出た。
五条先生は特級術師だから暇じゃないだろうに、夏油からの接触を警戒して付いてきてくれるらしい。
「それじゃあ紫苑君、また高専で会おうね!」
「無理はすんなよ。これから長い付き合いになるかもしんねぇからな」
「猫ちゃん元気だったら俺たちにも報告してくれよなー!ま、パンダの方が可愛いけど!」
「すじこ〜!」
これからまた会うことになるであろう高専一年に見送られながら黒い車に乗り込む。
個性豊かだけど皆んな信頼できそうな人達だったな。
今のところは原作との違いもあまり無いだろうし、警戒はしなくて良さそう。
走行中の車の中でそんな風に思い返していると、隣で長い足を器用に組んだ五条先生が僕に質問してきた。
「念の為に聞くけど、夏油とは他に何か話したかい?例えば……今後の計画に協力しろとか」
「いえ。ただ大義の為に自分たちの一派に加わるよう言われただけです。前からずっと断っていたんですがしつこくて……」
「大義ねぇ。あいつの言いそうなことだな。とりあえず家まで送るけど、もし怪しい人物や不審な点を見つけたらすぐに言ってね」
出来るだけ真人の存在に気づかれないよう嘘の供述をする。
僕にとって真人は大事な飼い猫だから、高専側にその存在を知られるわけにはいかなかった。
この嘘の証言も傍から見たら筋が通っているように思う。
夏油が真人の存在を仄めかしているという可能性もあったけど、医務室での五条先生の話から推測するに、夏油は僕を襲った理由を話していないだろうと確信していた。
それでも嘘を見破られないかハラハラしていると、運転している補助監督の人が声をかけてくる。
「ご自宅はこの辺りですかね?エントランスの前に停めますがいいですか?」
「あっ、はい!ここで間違いないです」
五条先生と話しているうちに、いつの間にか自宅マンションまでやって来ていた。
補助監督の人に車をエントランスの側まで寄せてもらい車から降りる。
先生も僕に続いて後ろから降りてきた。
「へぇ、ここが紫苑の家か。一人暮らしにしてはずいぶんと大きなマンションだね?」
「元々は家族三人で住んでいたんです。両親はよく海外出張で留守にしてるので……今は飼い猫と暮らしてます。
それでは、送ってくれてありがとうございました」
ぺこりと頭を下げて、まだ何か言いたげな五条先生を残してさっさとエントランスに入ろうとしたら。
先生は急に僕の腕を掴んできた。
びっくりして思わずその手を振り払おうとしたけど、相手はあの"最強"の術師である五条 悟で。
僕の力で振り払えるわけがなかった。
「待ちなよ。そう急いで帰ることはないんじゃない?家に夏油一派が待ち構えてないとも限らないし、僕も部屋までついて行くよ」
「っ!すみませんが、家にいる飼い猫が心配だし……その、うちの子は人嫌いなので」
「あぁそっか、猫がいるんだったね。それじゃあ気をつけて帰るんだよ」
五条先生はそう言ってようやく掴んでいた腕を離してくれる。
何か不審に思われたかもしれないけど、僕は今度こそエントランスに入った。
エレベーターに乗る時も先生がついてきてないかそっと確認する。
もしついてこられて部屋を見られたら、真人の存在がバレるかも知れないから内心ひやひやしていた。
「さすがにここまで来たら大丈夫か。真人も無事だといいけど……」
一応、そうやって警戒はしながらも自宅のドア前までやってくる。
見慣れた扉だけど開けるのが少し怖かった。
もし扉を開いて誰もいなければ、僕はまた以前のようなひとりぼっちの生活に戻るんだろうか。
「……孤独には慣れっこだと思ってたのに。大丈夫、きっとあの子も無事だろうから」
そんな心配もあったけど、真人の無事を願いつつそっと扉に手をかけた。
