雨と猫
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了承の返事に周囲で見守っていた生徒達の表情が明るくなる。
さっきまで僕を無理やり高専に通わせるのは反対だと言っていた真希も、どこか嬉しそうな顔をしている。
そのことをパンダに指摘され、悪態をつきながらも照れ隠しのように眼鏡の縁を上げた。
「いよっし!それじゃ、ちょうど1年ズも揃ってる事だし挨拶しよっか!」
「僕は猫宮 紫苑だよ。皆んなよろしく」
「わぁ〜!僕も転校生だから仲間が増えるの嬉しいよ。よろしくね、紫苑君!」
「ツナマヨ!」
憂太が手を差し出してきたので握手する。
すると突然、部屋が重苦しい呪力に包まれた。
特級呪霊に遭遇してしまったかのような圧迫感と寒気を感じ、思わず身震いしてしまう。
ここには呪霊なんて居ないはずなのに。
憂太から漏れ出ている気配に気づいた僕は、とっさに握手していた手を引っ込めた。
「ゆうたぁ〜……!!この子ぉ……だぁれ?」
「あっ、里香ちゃん!こっちは紫苑君、僕の友達だから襲っちゃダメだよ?」
「っ!?呪霊……?」
憂太の背後から白く巨大な手が現れる。
『里香』と呼ばれた呪霊は全身を現すと、興味深そうに僕を観察してきた。
一応、憂太が間に入って里香ちゃんを止めてくれるけど、特級過呪怨霊にジロジロと見つめられるのはあまり居心地が良くない。
刺激しないようそろ〜っと、ベッドの上で後ずされば。
里香ちゃんはその長い手を僕に向かって伸ばし、頭を鷲掴みにしてきた。
「りかぁ、ねこちゃん好きぃ……!!」
「わっ!?な、何……!?」
「里香ちゃん!?」
里香ちゃんはそのまま僕の髪を無造作に撫ではじめた。
敵意は感じず、ただ楽しそうに撫でる感触を楽しんでいるように見える。
そのせいで、寝起きで寝癖がついていた僕の髪は余計に乱れた。
「おい憂太!早く止めてやれよ」
「そ、そんなこと言ったって……!里香ちゃん、急にどうしたの」
真希がもみくちゃにされている僕の代わりに憂太へ止めるよう言うけど、里香ちゃんはなかなか僕から手を離そうとしない。
どうしようもなくなったのか、憂太は五条先生に助けを求めた。
「ふふっ、確かに紫苑の髪はふわふわな猫っ毛だし猫っぽいかもね」
「先生!そんなこと言ってないで早くどうにかしてくださいよ……!」
「はいはい。ほら、里香ちゃん。猫を撫でる時はこうやって優しく撫でてあげるんだよ?」
五条先生が僕に触れれば、里香ちゃんは僕に触れなくなった。
これは先生の術式なのかな。
とりあえず、里香ちゃんのなでなでから助け出してくれたことにお礼を言おうとしたら、今度は五条先生に頭を撫でられる。
「猫ちゃんは繊細な生き物だからね。乱暴に扱っちゃ駄目だよ。撫でる時は気持ちよくなるように……」
「んっ……、先生?」
先生の撫でる手つきが優しくて思わず声が上擦った。
その声を聞いて五条先生の口元が緩む。
里香ちゃんも五条先生を真似して、今度は恐る恐るといった感じで僕の頭に触れてきた。
「こーお?」
「そうそう、上手いよ。ほら、猫ちゃんも気持ちよさそうな顔してる」
「あの、この状況はいったい……」
里香ちゃんにも撫でられていると大分落ち着いてきたようで、目を細めてその手を受けいれた。
こうしていると最初は恐ろしく見えた里香ちゃんが可愛く見えてくる。
まぁ、僕も真人という呪霊の飼い猫がいるし憂太とは似たものを感じるな。
そして、当の本人は申し訳なさそうに僕に謝ってきた。
「ごっ、ごめんね紫苑君っ!!
まさか、里香ちゃんがこんなに君に興味を示すなんて思わなくて……あっ!この子は"里香"って言って僕に慿いているんだ」
「大丈夫だよ。猫を可愛がりたい気持ちは分かるし……でも、僕は猫じゃないんだけどね?」
「そうだよねっ!?ビックリさせちゃって本当にごめん」
憂太に声をかけられ、やっと満足したのか里香ちゃんは僕から手を離した。
どうして僕のことを猫だと思ったのかは分からないけど。
落ち着いた所で、特級過呪怨霊"祈本里香"についての説明を五条先生からしてもらう。
「__というわけで、憂太には里香ちゃんっていう呪いが慿いてるわけ。
これから高専に通うならまた会うことになるかもしれないけど、憂太に危害を加えない限り出てこないから!」
「僕は握手しただけなんですけどね……」
「まぁ、里香ちゃんも紫苑に挨拶したかったんだと思えばいいさ」
乱れた髪を整えていると、自分の飼い猫を思い出した。
「あの!そろそろ帰ってもいいですか?家にいる猫が心配で……」
そう言うと、賑やかだった雰囲気が固まった。
「おいバカ悟!!こんなとこに引き止めてる場合じゃねぇだろ!!」
「えっ、猫いるとか先生初耳なんだけど!?」
「猫ちゃん3日も放置って……大丈夫なの!?」
「ヤバいだろ、早く帰らせてやれよ〜!」
「おかか〜!?」
それまでより一層騒がしくなると、皆んな急いで帰宅準備を手伝ってくれた。
__________
さっきまで僕を無理やり高専に通わせるのは反対だと言っていた真希も、どこか嬉しそうな顔をしている。
そのことをパンダに指摘され、悪態をつきながらも照れ隠しのように眼鏡の縁を上げた。
「いよっし!それじゃ、ちょうど1年ズも揃ってる事だし挨拶しよっか!」
「僕は猫宮 紫苑だよ。皆んなよろしく」
「わぁ〜!僕も転校生だから仲間が増えるの嬉しいよ。よろしくね、紫苑君!」
「ツナマヨ!」
憂太が手を差し出してきたので握手する。
すると突然、部屋が重苦しい呪力に包まれた。
特級呪霊に遭遇してしまったかのような圧迫感と寒気を感じ、思わず身震いしてしまう。
ここには呪霊なんて居ないはずなのに。
憂太から漏れ出ている気配に気づいた僕は、とっさに握手していた手を引っ込めた。
「ゆうたぁ〜……!!この子ぉ……だぁれ?」
「あっ、里香ちゃん!こっちは紫苑君、僕の友達だから襲っちゃダメだよ?」
「っ!?呪霊……?」
憂太の背後から白く巨大な手が現れる。
『里香』と呼ばれた呪霊は全身を現すと、興味深そうに僕を観察してきた。
一応、憂太が間に入って里香ちゃんを止めてくれるけど、特級過呪怨霊にジロジロと見つめられるのはあまり居心地が良くない。
刺激しないようそろ〜っと、ベッドの上で後ずされば。
里香ちゃんはその長い手を僕に向かって伸ばし、頭を鷲掴みにしてきた。
「りかぁ、ねこちゃん好きぃ……!!」
「わっ!?な、何……!?」
「里香ちゃん!?」
里香ちゃんはそのまま僕の髪を無造作に撫ではじめた。
敵意は感じず、ただ楽しそうに撫でる感触を楽しんでいるように見える。
そのせいで、寝起きで寝癖がついていた僕の髪は余計に乱れた。
「おい憂太!早く止めてやれよ」
「そ、そんなこと言ったって……!里香ちゃん、急にどうしたの」
真希がもみくちゃにされている僕の代わりに憂太へ止めるよう言うけど、里香ちゃんはなかなか僕から手を離そうとしない。
どうしようもなくなったのか、憂太は五条先生に助けを求めた。
「ふふっ、確かに紫苑の髪はふわふわな猫っ毛だし猫っぽいかもね」
「先生!そんなこと言ってないで早くどうにかしてくださいよ……!」
「はいはい。ほら、里香ちゃん。猫を撫でる時はこうやって優しく撫でてあげるんだよ?」
五条先生が僕に触れれば、里香ちゃんは僕に触れなくなった。
これは先生の術式なのかな。
とりあえず、里香ちゃんのなでなでから助け出してくれたことにお礼を言おうとしたら、今度は五条先生に頭を撫でられる。
「猫ちゃんは繊細な生き物だからね。乱暴に扱っちゃ駄目だよ。撫でる時は気持ちよくなるように……」
「んっ……、先生?」
先生の撫でる手つきが優しくて思わず声が上擦った。
その声を聞いて五条先生の口元が緩む。
里香ちゃんも五条先生を真似して、今度は恐る恐るといった感じで僕の頭に触れてきた。
「こーお?」
「そうそう、上手いよ。ほら、猫ちゃんも気持ちよさそうな顔してる」
「あの、この状況はいったい……」
里香ちゃんにも撫でられていると大分落ち着いてきたようで、目を細めてその手を受けいれた。
こうしていると最初は恐ろしく見えた里香ちゃんが可愛く見えてくる。
まぁ、僕も真人という呪霊の飼い猫がいるし憂太とは似たものを感じるな。
そして、当の本人は申し訳なさそうに僕に謝ってきた。
「ごっ、ごめんね紫苑君っ!!
まさか、里香ちゃんがこんなに君に興味を示すなんて思わなくて……あっ!この子は"里香"って言って僕に慿いているんだ」
「大丈夫だよ。猫を可愛がりたい気持ちは分かるし……でも、僕は猫じゃないんだけどね?」
「そうだよねっ!?ビックリさせちゃって本当にごめん」
憂太に声をかけられ、やっと満足したのか里香ちゃんは僕から手を離した。
どうして僕のことを猫だと思ったのかは分からないけど。
落ち着いた所で、特級過呪怨霊"祈本里香"についての説明を五条先生からしてもらう。
「__というわけで、憂太には里香ちゃんっていう呪いが慿いてるわけ。
これから高専に通うならまた会うことになるかもしれないけど、憂太に危害を加えない限り出てこないから!」
「僕は握手しただけなんですけどね……」
「まぁ、里香ちゃんも紫苑に挨拶したかったんだと思えばいいさ」
乱れた髪を整えていると、自分の飼い猫を思い出した。
「あの!そろそろ帰ってもいいですか?家にいる猫が心配で……」
そう言うと、賑やかだった雰囲気が固まった。
「おいバカ悟!!こんなとこに引き止めてる場合じゃねぇだろ!!」
「えっ、猫いるとか先生初耳なんだけど!?」
「猫ちゃん3日も放置って……大丈夫なの!?」
「ヤバいだろ、早く帰らせてやれよ〜!」
「おかか〜!?」
それまでより一層騒がしくなると、皆んな急いで帰宅準備を手伝ってくれた。
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