雨と猫
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鮮やかな紅葉に囲まれた風情ある神社____
今日は学校の課外授業で三猿で有名な神社に来ていた。
ここは都心から離れている為、雄大な自然と景色が楽しめるらしい。
僕たち高校生の他にも外国人や観光客が写真を撮ったり散策をしたりして楽しんでいる。
僕も真人にこの景色を見せてあげようとスマホで何枚か写真を撮る。
派手な装飾が施された門に気を取られながら石階段を登っていれば、友人達が話しかけてきた。
「紫苑、もう平気なのか?まだお前のこと噂するやつもいるけど……気にすんなよ」
「学校も休みがちだったし無理しないでね?何かあったら私たちが力になるから!」
「ありがとう二人とも。色々あったけど……僕はもう、大丈夫だよ」
いつもの友人達に心配されるけど微笑みながら大丈夫だと返す。
僕が学校を休んでいた間、僕と愛園さんの良からぬ噂が流れていたらしい。
この年代の人達はなんでも痴情のもつれにしたいのか。
僕のせいで愛園さんが行方不明になったのだとか、色々耳に入ってしまう。
二人の友人はそんな噂を真っ向から否定してくれていたし学校に戻る手助けもしてくれた。
「(まぁ、愛園さんを殺したのは僕の飼い猫だから……噂もあながち間違いではないんだけどね)」
友人達に罪悪感を感じつつも微笑みを返した。
最近は真人とも打ち解けてきたし、呪術を会得してからは少し自信がついた。
まだまだ高専の呪術師より弱いんだろうけど何もしないよりマシだ。
先生による説明もそこそこに僕は辺りを見回す。
「(それにしても……すごく広いし歴史を感じる場所だなぁ。彫刻だって凄く精巧だし、四百年も昔に建てられたなんて考えられないや)」
引率の先生に連れられ、大きく立派な門をくぐり境内に入るとより荘厳な世界が広がっていた。
社殿や廻廊には極彩色の花鳥や眠っている様子の猫が彫られていて、牡丹の花に囲まれた猫は国宝でもあると説明を受ける。
なんだかその猫が居眠りしてる時の真人に似ていて、思わず写真を撮ってしまった。
境内の中は思ったより観光客が少ないんだなと思っていると。
どこからともなく呪文を唱えるような声が聞こえてきた。
「闇より出でて闇より黒く、その穢れを禊ぎ祓え____」
聞き覚えのある声とともに突如、空が暗闇に覆われていく。
いったい何が起こっているのかと焦れば、周囲にいた人達が糸の切れた人形のようにバタバタと倒れていった。
「空が夜になっていってる!?いったい何が起こって……」
「やぁ、久しぶりだね。____猫宮 紫苑君」
突然の異常事態に戸惑っていると、袈裟を着た男が門の上からひらりと降り立った。
その男は不敵な笑みで僕を見据えていた。
以前にも増して威圧感を与えてくる夏油 傑に怯みそうになるも、思い切り睨みつける。
「夏油ッ……!皆んなに何をした!それに、どうして僕の名前を……」
「くくっ。反抗的な目も良いねぇ。
でもまぁ、とりあえず安心して欲しい。この猿どもはまだ死んじゃあいないから」
夏油は汚らわしいといった風に冷酷な視線で倒れている同級生達を見下ろす。
それとは対照的に、僕にはにこやかな笑みを向けてきた。
何だかそれが不気味に思えて思わず後ずさる。
「君のことは調べさせてもらったよ。
猫宮というのは母方の姓だろう?呪術界では"猫宮"は有名な家柄なんだ……悪い意味でね」
「……何のこと?」
「ふぅん?君は呪いが見えているようだけど親から何も聞かされてないのか、まぁいい。
それは置いといて……前にした話、考えてくれたかい?」
気がつけば一瞬で夏油に距離を詰められていた。
僕は咄嗟に呪力で強化した足で後ろに飛び退き距離をとる。
それを見ても余裕な態度を崩さない夏油に焦りを隠しつつ、僕は返事をした。
「……渡さないと言ったら?」
「ふむ。なぜそこまでして凶悪な呪霊を庇うのか、心底理解できないが……。
それなら仕方ない、無理やり奪い取るまでだ」
一気に増大する夏油の呪力。
呪術を覚えたての僕とは全然違う、特級呪詛師との圧倒的な実力差に冷や汗が流れる。
以前の僕ならこの男に怯えることしか出来なかった。
けど、今は違う。
「守りたいものができたんだ。色のない世界でようやく見つけた僕の飼い猫……真人は僕が守らなきゃ」
震えそうになる足を何とか抑えながら自身も呪力を纏う。
呪術を扱えることが意外だったのか、夏油は『ほぅ?』と興味ありげに目を見開いた。
向こうは僕がまだまだ弱いと分かっているだろう。
それでも、『絶対に夏油なんかに真人は渡さない!』と自分を強く奮い立たせた。
今日は学校の課外授業で三猿で有名な神社に来ていた。
ここは都心から離れている為、雄大な自然と景色が楽しめるらしい。
僕たち高校生の他にも外国人や観光客が写真を撮ったり散策をしたりして楽しんでいる。
僕も真人にこの景色を見せてあげようとスマホで何枚か写真を撮る。
派手な装飾が施された門に気を取られながら石階段を登っていれば、友人達が話しかけてきた。
「紫苑、もう平気なのか?まだお前のこと噂するやつもいるけど……気にすんなよ」
「学校も休みがちだったし無理しないでね?何かあったら私たちが力になるから!」
「ありがとう二人とも。色々あったけど……僕はもう、大丈夫だよ」
いつもの友人達に心配されるけど微笑みながら大丈夫だと返す。
僕が学校を休んでいた間、僕と愛園さんの良からぬ噂が流れていたらしい。
この年代の人達はなんでも痴情のもつれにしたいのか。
僕のせいで愛園さんが行方不明になったのだとか、色々耳に入ってしまう。
二人の友人はそんな噂を真っ向から否定してくれていたし学校に戻る手助けもしてくれた。
「(まぁ、愛園さんを殺したのは僕の飼い猫だから……噂もあながち間違いではないんだけどね)」
友人達に罪悪感を感じつつも微笑みを返した。
最近は真人とも打ち解けてきたし、呪術を会得してからは少し自信がついた。
まだまだ高専の呪術師より弱いんだろうけど何もしないよりマシだ。
先生による説明もそこそこに僕は辺りを見回す。
「(それにしても……すごく広いし歴史を感じる場所だなぁ。彫刻だって凄く精巧だし、四百年も昔に建てられたなんて考えられないや)」
引率の先生に連れられ、大きく立派な門をくぐり境内に入るとより荘厳な世界が広がっていた。
社殿や廻廊には極彩色の花鳥や眠っている様子の猫が彫られていて、牡丹の花に囲まれた猫は国宝でもあると説明を受ける。
なんだかその猫が居眠りしてる時の真人に似ていて、思わず写真を撮ってしまった。
境内の中は思ったより観光客が少ないんだなと思っていると。
どこからともなく呪文を唱えるような声が聞こえてきた。
「闇より出でて闇より黒く、その穢れを禊ぎ祓え____」
聞き覚えのある声とともに突如、空が暗闇に覆われていく。
いったい何が起こっているのかと焦れば、周囲にいた人達が糸の切れた人形のようにバタバタと倒れていった。
「空が夜になっていってる!?いったい何が起こって……」
「やぁ、久しぶりだね。____猫宮 紫苑君」
突然の異常事態に戸惑っていると、袈裟を着た男が門の上からひらりと降り立った。
その男は不敵な笑みで僕を見据えていた。
以前にも増して威圧感を与えてくる夏油 傑に怯みそうになるも、思い切り睨みつける。
「夏油ッ……!皆んなに何をした!それに、どうして僕の名前を……」
「くくっ。反抗的な目も良いねぇ。
でもまぁ、とりあえず安心して欲しい。この猿どもはまだ死んじゃあいないから」
夏油は汚らわしいといった風に冷酷な視線で倒れている同級生達を見下ろす。
それとは対照的に、僕にはにこやかな笑みを向けてきた。
何だかそれが不気味に思えて思わず後ずさる。
「君のことは調べさせてもらったよ。
猫宮というのは母方の姓だろう?呪術界では"猫宮"は有名な家柄なんだ……悪い意味でね」
「……何のこと?」
「ふぅん?君は呪いが見えているようだけど親から何も聞かされてないのか、まぁいい。
それは置いといて……前にした話、考えてくれたかい?」
気がつけば一瞬で夏油に距離を詰められていた。
僕は咄嗟に呪力で強化した足で後ろに飛び退き距離をとる。
それを見ても余裕な態度を崩さない夏油に焦りを隠しつつ、僕は返事をした。
「……渡さないと言ったら?」
「ふむ。なぜそこまでして凶悪な呪霊を庇うのか、心底理解できないが……。
それなら仕方ない、無理やり奪い取るまでだ」
一気に増大する夏油の呪力。
呪術を覚えたての僕とは全然違う、特級呪詛師との圧倒的な実力差に冷や汗が流れる。
以前の僕ならこの男に怯えることしか出来なかった。
けど、今は違う。
「守りたいものができたんだ。色のない世界でようやく見つけた僕の飼い猫……真人は僕が守らなきゃ」
震えそうになる足を何とか抑えながら自身も呪力を纏う。
呪術を扱えることが意外だったのか、夏油は『ほぅ?』と興味ありげに目を見開いた。
向こうは僕がまだまだ弱いと分かっているだろう。
それでも、『絶対に夏油なんかに真人は渡さない!』と自分を強く奮い立たせた。
