雨と猫
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首都からさほど離れていない東京近郊のベッドタウン。
ここ最近行方不明者が多発しているという地区があると聞き、私は自ら足を運んだ。
呪霊を見つけても祓うのではなく"呪霊操術"の手駒として加えるつもりだからだ。
今後の計画の為にも戦力は増強しておいた方がいい。
特級クラスの呪いだと助かるのだが、その分取り込むのが難しくなる。
呪霊を取り込む為には生け捕りにしなければならないのだから。
「なんせ、呪術高専に戦争を仕掛けるんだからね。この街で収穫があればいいのだけれど」
手当り次第に探すわけにはいかないのでわずかな残穢をたどる。
特級呪霊だと知能がある分、探すのも容易ではないのだが。
残穢を探していると、センサーとしてばら蒔いた低級の呪いに何かが引っかかった。
その先には学生服の少年がいて、足取りもおぼつかなく歩いている。
平日の昼下がりだというのにその表情は暗く何か思い悩んでいるようだった。
「ほぅ、あの少年は……」
呪霊の気配はそっちのけで儚げな雰囲気の少年に目が止まる。
巧妙に隠されてはいるが少年からは微かな残穢と強い呪力が感じられた。
立ち振る舞いや呪力の流れからして呪術師ではなさそうだが、教祖としての勘がこの少年に何かあると告げる。
気になった私は声をかけようと近づいた。
「美々子、菜々子。周りの猿共を駆除しておきなさい。私はあの少年と少し話をしてこよう」
「はーい!」
「分かりました、夏油様」
側にいた二人に非呪術師である猿どもを排除するよう命じる。
途中で邪魔が入れば厄介だし、何より五条 悟を呼ばれたら面倒だからだ。
特別な眼を持つ悟にこの少年が見つかるわけにはいかない。
これは親友としての勘だが、もし少年を見れば悟は何がなんでもこの子を手に入れようとするだろう。
私はそんな危惧を抱きながら、花のように可憐な少年に近づいた。
「こんにちは。何か悩んでいる顔をしているね?」
「ッ!?あ、あなたは……?」
気さくな風を装い話しかければ、少年はあからさまに私を警戒していた。
さすがに袈裟姿だと怪しまれるか。
しかし、昔から胡散臭い顔をしているとからかわれてきたものの、この怯え方は尋常ではない。
見たところ彼は呪術師でもなければ窓でもない。
私が呪詛師だと知らないはずなのに、こうも怯えたような表情を向けられると思わず嗜虐心が芽生えてくる。
「あぁ、突然すまない。私は夏油 傑、君に聞きたいことがあって声をかけたんだ」
自ら名乗り最近の行方不明事件について聞く。
できるだけ怪しまれないよう笑みを浮かべるも、ますます警戒される始末。
だが、それ以上に少年は強情にも何かを隠そうとしていた。
「っ……!は、離して……!誰か、」
少年は周囲に助けを求めるよう視線を泳がせるも、誰もおらず。
あまりにも怯えられるものだから逃げないよう両肩を掴めば、途端に強い呪力を少年から感じた。
どうやら私の読み通り、この少年は件の呪霊と何か関係があるようだ。
だったら無理やりにでも聞き出そうとしたところ。
「(ッ……!?これほど強い呪力で守られているとは……!それにとり憑くというより、これではまるで……獣の所有印 のような……)」
ゾワゾワと背筋に感じた冷たい死の呪力。
だが、これで確信がいった。
少年を呪った呪いは間違いなく特級呪霊だろう、それもかなり格上の。
一筋縄ではいかないと悟り、私はいったん少年を逃がすことにした。
野うさぎのように走っていった少年の後ろ姿を見送っていると、仕事を終えた二人が戻ってくる。
「夏油様、逃がしてよかったの?」
「今からでも私達が追いかければ捕まえれるよ?」
「あぁ、いいんだ。今はまだその時じゃあない。
それに、あの少年には呪術師としての才能がある。いつか……私達の仲間として迎え入れたいから乱暴はしないよ」
それに。
「特級過呪怨霊"祈本里香 "__今は呪いの女王に集中したいからね。……だけど、決戦の日までにはあの少年の呪霊もいただくとしよう」
手駒は多い方がいい。
ようやく見つけた手がかりを名残惜しく思いながらも、私達はその場から立ち去った。
もちろん、高専側にバレないよう一切の痕跡を消して。
ここ最近行方不明者が多発しているという地区があると聞き、私は自ら足を運んだ。
呪霊を見つけても祓うのではなく"呪霊操術"の手駒として加えるつもりだからだ。
今後の計画の為にも戦力は増強しておいた方がいい。
特級クラスの呪いだと助かるのだが、その分取り込むのが難しくなる。
呪霊を取り込む為には生け捕りにしなければならないのだから。
「なんせ、呪術高専に戦争を仕掛けるんだからね。この街で収穫があればいいのだけれど」
手当り次第に探すわけにはいかないのでわずかな残穢をたどる。
特級呪霊だと知能がある分、探すのも容易ではないのだが。
残穢を探していると、センサーとしてばら蒔いた低級の呪いに何かが引っかかった。
その先には学生服の少年がいて、足取りもおぼつかなく歩いている。
平日の昼下がりだというのにその表情は暗く何か思い悩んでいるようだった。
「ほぅ、あの少年は……」
呪霊の気配はそっちのけで儚げな雰囲気の少年に目が止まる。
巧妙に隠されてはいるが少年からは微かな残穢と強い呪力が感じられた。
立ち振る舞いや呪力の流れからして呪術師ではなさそうだが、教祖としての勘がこの少年に何かあると告げる。
気になった私は声をかけようと近づいた。
「美々子、菜々子。周りの猿共を駆除しておきなさい。私はあの少年と少し話をしてこよう」
「はーい!」
「分かりました、夏油様」
側にいた二人に非呪術師である猿どもを排除するよう命じる。
途中で邪魔が入れば厄介だし、何より五条 悟を呼ばれたら面倒だからだ。
特別な眼を持つ悟にこの少年が見つかるわけにはいかない。
これは親友としての勘だが、もし少年を見れば悟は何がなんでもこの子を手に入れようとするだろう。
私はそんな危惧を抱きながら、花のように可憐な少年に近づいた。
「こんにちは。何か悩んでいる顔をしているね?」
「ッ!?あ、あなたは……?」
気さくな風を装い話しかければ、少年はあからさまに私を警戒していた。
さすがに袈裟姿だと怪しまれるか。
しかし、昔から胡散臭い顔をしているとからかわれてきたものの、この怯え方は尋常ではない。
見たところ彼は呪術師でもなければ窓でもない。
私が呪詛師だと知らないはずなのに、こうも怯えたような表情を向けられると思わず嗜虐心が芽生えてくる。
「あぁ、突然すまない。私は夏油 傑、君に聞きたいことがあって声をかけたんだ」
自ら名乗り最近の行方不明事件について聞く。
できるだけ怪しまれないよう笑みを浮かべるも、ますます警戒される始末。
だが、それ以上に少年は強情にも何かを隠そうとしていた。
「っ……!は、離して……!誰か、」
少年は周囲に助けを求めるよう視線を泳がせるも、誰もおらず。
あまりにも怯えられるものだから逃げないよう両肩を掴めば、途端に強い呪力を少年から感じた。
どうやら私の読み通り、この少年は件の呪霊と何か関係があるようだ。
だったら無理やりにでも聞き出そうとしたところ。
「(ッ……!?これほど強い呪力で守られているとは……!それにとり憑くというより、これではまるで……獣の
ゾワゾワと背筋に感じた冷たい死の呪力。
だが、これで確信がいった。
少年を呪った呪いは間違いなく特級呪霊だろう、それもかなり格上の。
一筋縄ではいかないと悟り、私はいったん少年を逃がすことにした。
野うさぎのように走っていった少年の後ろ姿を見送っていると、仕事を終えた二人が戻ってくる。
「夏油様、逃がしてよかったの?」
「今からでも私達が追いかければ捕まえれるよ?」
「あぁ、いいんだ。今はまだその時じゃあない。
それに、あの少年には呪術師としての才能がある。いつか……私達の仲間として迎え入れたいから乱暴はしないよ」
それに。
「特級過呪怨霊"
手駒は多い方がいい。
ようやく見つけた手がかりを名残惜しく思いながらも、私達はその場から立ち去った。
もちろん、高専側にバレないよう一切の痕跡を消して。
