雨と猫
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初めての訓練にて。
今日は学校をサボり、家で自分の術式を真人に見てもらっていた。
真人は僕の頭に手をかざしながら僕がどんな術式を持っているのか考察してくれている。
「んー……これはかなり強い術式だね」
「真人から見てもそう思うんだ?……どんなの?」
「説明すると……紫苑が知覚するものを崩壊させる術式かな。簡単に言えばなんでも壊せるってこと!」
『んー』と、悩みながら僕の術式を見ていた真人だけど、頭からパッと手を離しそう告げる。
思っていたよりもだいぶ物騒な術式に僕は驚いた。
そもそも、自分が術式を持っていたということさえ知らなかったのもある。
大抵の呪術師は5、6歳くらいの年齢で自分の術式を知覚するらしいから、呪霊が見えるだけの僕には術式はないと思っていた。
「壊せるって……例えば、呪霊も?」
「いけるよ。呪霊どころか……呪力による攻撃や術式の効果も対象だと思う」
おずおずとそう聞けば真人は気にする様子もなく答える。
僕に祓われるかもとは微塵も思っていないようだった。
「……危ないから真人の近くでは使わないでおくね」
「優しいね、君は。でも紫苑に祓われるのなら悪くないよ」
本気か冗談か分からない微笑みを向けられる。
その言葉に戸惑いつつも、僕はどう呪術を学ぶか考えていた。
真人に頼めば脳を弄ってすぐに戦えるようにしてくれるのだろうけど上手くいく保証はない。
夏油に目をつけられている今、早く強くなるべきだけど出来るだけ自分の力で呪術を会得したかった。
「うーん……それなら訓練はどうしよう」
「あ、それだけどさ!一緒に行きたいところがあるんだ」
__________
平日昼下がりの映画館。
休日の混みようもなく見る映画は終了間近ということで人もまばらだった。
「紫苑と映画館に来るのは初めてだね〜」
「家で一緒に見たりはするけどね。真人は一人で映画を見に来たりするの?」
「うん。君が学校に行っている間はよく通ってるよ。暇つぶしにはちょうどいいし、何より人間の感情を学べるから」
真人は映画が好きなのか家でもよく一緒に見ている。
呪霊として、まだ生まれたばかりだから人の感情を学ぶために見ているらしい。
派手なアクションから恋愛まで多岐に渡るものを見たけど、ホラーやグロさが際立つものは僕が苦手なので見ていなかった。
「見る映画はどれにするの?あまり怖いのとかグロいのは嫌なんだけど……」
「あはっ、大丈夫だよ。今日はアニメ映画を見るから。なんでも、若いカップルに人気なんだって」
券売機の画面を操作しながらどれを見るか話し合い、大人一人と学生一人分のチケットを買った。
真人は呪霊だからチケットを購入する必要はないのだろうけど、飼い主として猫の面倒はちゃんと見ないといけない。
薄暗い館内を手を引かれながら歩けば予約した席に隣同士で座った。
「それじゃあ俺の手を握っててね。呪力を流すの忘れたら教えるから」
「ん」
差し出されたツギハギな手をそっと握る。
照明が落ち、さらに暗くなった館内では人間のそれより低い真人の体温だけが感じられる。
上映中、映画の内容よりも握っている手の方が気になった。
「ん〜、意外と楽しめたね!呪力操作も初めてにしては上出来だったよ」
「良かった……」
上映が終わり、真人が伸びをしながら立ち上がれば僕はほっとため息をついた。
この訓練方式は呪術廻戦の主人公もやってたなと思い出す。
アニメと違って呪骸に殴られたりはしないけど、ずっと呪力を維持し続けるのは思ったよりも気を使う。
「……ねぇ、真人はもし過去を変えられるなら変えたい?」
帰り道、映画の内容をふと思い出し真人に聞いてみた。
映画は東京の男子と田舎の女子が入れ替わるという内容。
2人は過去に戻って未来を変え、最後はハッピーエンドだった。
「そうだなぁ、変えたいと思ったら変えるよ。未来を恐れる必要は無いさ」
少し考える素振りを見せ僕の質問にそう答える。
真人らしい自由な考えだけど、僕は救われたような気がした。
__________
今日は学校をサボり、家で自分の術式を真人に見てもらっていた。
真人は僕の頭に手をかざしながら僕がどんな術式を持っているのか考察してくれている。
「んー……これはかなり強い術式だね」
「真人から見てもそう思うんだ?……どんなの?」
「説明すると……紫苑が知覚するものを崩壊させる術式かな。簡単に言えばなんでも壊せるってこと!」
『んー』と、悩みながら僕の術式を見ていた真人だけど、頭からパッと手を離しそう告げる。
思っていたよりもだいぶ物騒な術式に僕は驚いた。
そもそも、自分が術式を持っていたということさえ知らなかったのもある。
大抵の呪術師は5、6歳くらいの年齢で自分の術式を知覚するらしいから、呪霊が見えるだけの僕には術式はないと思っていた。
「壊せるって……例えば、呪霊も?」
「いけるよ。呪霊どころか……呪力による攻撃や術式の効果も対象だと思う」
おずおずとそう聞けば真人は気にする様子もなく答える。
僕に祓われるかもとは微塵も思っていないようだった。
「……危ないから真人の近くでは使わないでおくね」
「優しいね、君は。でも紫苑に祓われるのなら悪くないよ」
本気か冗談か分からない微笑みを向けられる。
その言葉に戸惑いつつも、僕はどう呪術を学ぶか考えていた。
真人に頼めば脳を弄ってすぐに戦えるようにしてくれるのだろうけど上手くいく保証はない。
夏油に目をつけられている今、早く強くなるべきだけど出来るだけ自分の力で呪術を会得したかった。
「うーん……それなら訓練はどうしよう」
「あ、それだけどさ!一緒に行きたいところがあるんだ」
__________
平日昼下がりの映画館。
休日の混みようもなく見る映画は終了間近ということで人もまばらだった。
「紫苑と映画館に来るのは初めてだね〜」
「家で一緒に見たりはするけどね。真人は一人で映画を見に来たりするの?」
「うん。君が学校に行っている間はよく通ってるよ。暇つぶしにはちょうどいいし、何より人間の感情を学べるから」
真人は映画が好きなのか家でもよく一緒に見ている。
呪霊として、まだ生まれたばかりだから人の感情を学ぶために見ているらしい。
派手なアクションから恋愛まで多岐に渡るものを見たけど、ホラーやグロさが際立つものは僕が苦手なので見ていなかった。
「見る映画はどれにするの?あまり怖いのとかグロいのは嫌なんだけど……」
「あはっ、大丈夫だよ。今日はアニメ映画を見るから。なんでも、若いカップルに人気なんだって」
券売機の画面を操作しながらどれを見るか話し合い、大人一人と学生一人分のチケットを買った。
真人は呪霊だからチケットを購入する必要はないのだろうけど、飼い主として猫の面倒はちゃんと見ないといけない。
薄暗い館内を手を引かれながら歩けば予約した席に隣同士で座った。
「それじゃあ俺の手を握っててね。呪力を流すの忘れたら教えるから」
「ん」
差し出されたツギハギな手をそっと握る。
照明が落ち、さらに暗くなった館内では人間のそれより低い真人の体温だけが感じられる。
上映中、映画の内容よりも握っている手の方が気になった。
「ん〜、意外と楽しめたね!呪力操作も初めてにしては上出来だったよ」
「良かった……」
上映が終わり、真人が伸びをしながら立ち上がれば僕はほっとため息をついた。
この訓練方式は呪術廻戦の主人公もやってたなと思い出す。
アニメと違って呪骸に殴られたりはしないけど、ずっと呪力を維持し続けるのは思ったよりも気を使う。
「……ねぇ、真人はもし過去を変えられるなら変えたい?」
帰り道、映画の内容をふと思い出し真人に聞いてみた。
映画は東京の男子と田舎の女子が入れ替わるという内容。
2人は過去に戻って未来を変え、最後はハッピーエンドだった。
「そうだなぁ、変えたいと思ったら変えるよ。未来を恐れる必要は無いさ」
少し考える素振りを見せ僕の質問にそう答える。
真人らしい自由な考えだけど、僕は救われたような気がした。
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