雨と猫
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夏油から逃げるように帰り、自宅玄関で乱れた息を整える。
走って帰ってきたからまだ息は苦しかったけれど、いったん深呼吸をして落ち着けた。
そして、迎えに出てきてくれた真人に『話がある』と伝えた。
「話って何?紫苑ってば最近様子がおかしいよ」
「……隣のクラスに見える人がいたの知ってる?愛園さんっていう人なんだけど……」
夕陽が窓から差し込むリビングでそう切り出した。
愛園さんのことを絞り出すような声で聞けば、真人は思い出すような仕草を見せる。
「あぁ、俺のこと見えてる女子生徒がいたね。それがどうかした?」
「その人さ、先週から行方不明なんだ。……真人だよね?やったのは」
率直に伝えれば真人は目を細めた。
真人にとって聞かれたくない話だったらしい、辺りの空気が重く不穏な雰囲気へと変わる。
しばらく重苦しい沈黙が続いた後、真人は口を開いた。
「……そうだよ。だけど、ソイツは紫苑の家族でも友達でもないだろ?それを確認してどうするつもり?
____まさか、俺が改心するとでも?」
『君はもっと賢いと思ってたんだけどなぁ』と、僕の頬をするりと撫でる。
真人の手は人とは思えないほど冷たく、僅かな死の気配を纏っていた。
急にそういう風に触れられて体がビクッと震える。
『僕は真人を咎めているわけじゃない』、そう伝えたくても体がすくんでなかなか口を開けない。
真人は僕の次の言葉を待っているようだった。僕は自分の思いを伝えたくて必死に言葉を紡ぐ。
「……違う!っ、僕が言いたいのは__」
そこで愛園さんからもらった連絡先を真人に見せた。
「今日、呪術師に会ったんだ。それで……真人を祓ってくれるって言われた。隣のクラスの人もこの連絡先に話せば祓ってくれるって……。
____だけど、なんでかな……?」
そのまま呪術師の連絡先が書かれた紙グシャッと握りつぶし、丸めてゴミ箱に投げ捨てた。
真人は驚いたような表情で僕を見つめる。
「……僕、どうしても真人にいなくなって欲しくないって思っちゃった。
まだ君と一緒にいたい。真人と一緒に生きていたいんだ」
そして、目の前の真人に思いきり抱きついた。
「紫苑……」
急に抱きつかれた真人からは困惑した感情が伝わってくる。
だけど、背中に手を回しそっと抱きしめ返してくれた。
「……ごめん俺、紫苑を助けたかったのに……困らせてばかりだね」
「ううん、いいよ。何となく分かってたから」
抱きしめられたままだから耳元で真人の声が聞こえる。
その声は何だか申し訳なさそうで、本当に謝っている感じがした。
夕陽が射し込む静かな部屋の中、しばらく僕たちはそうして抱き合っていた。
__________
「そういえば、もう1つ」
「ん、なに?」
抱きついたまま顔をあげれば真人と目が合う。
青と灰の瞳は未だに不安そうに揺れていて、この話を持ち出した僕に罪悪感を与えた。
「僕にも……呪術を教えて」
「俺が守ってあげるからいいのに。けど、声をかけてきた呪術師が気になるからね。
いいよ。俺が手取り足取り優しく教えてあげる」
「……!よろしく、真人先生」
「ははっ、先生か。いいねその呼び方♪」
呪術を教えてくれるよう頼めば承諾してくれた。
どこまで呪術を使えるようになるのかは分からないけど、何も対策しないよりはマシだ。
とりあえず訓練は明日からにしようと話し合った。
__________
走って帰ってきたからまだ息は苦しかったけれど、いったん深呼吸をして落ち着けた。
そして、迎えに出てきてくれた真人に『話がある』と伝えた。
「話って何?紫苑ってば最近様子がおかしいよ」
「……隣のクラスに見える人がいたの知ってる?愛園さんっていう人なんだけど……」
夕陽が窓から差し込むリビングでそう切り出した。
愛園さんのことを絞り出すような声で聞けば、真人は思い出すような仕草を見せる。
「あぁ、俺のこと見えてる女子生徒がいたね。それがどうかした?」
「その人さ、先週から行方不明なんだ。……真人だよね?やったのは」
率直に伝えれば真人は目を細めた。
真人にとって聞かれたくない話だったらしい、辺りの空気が重く不穏な雰囲気へと変わる。
しばらく重苦しい沈黙が続いた後、真人は口を開いた。
「……そうだよ。だけど、ソイツは紫苑の家族でも友達でもないだろ?それを確認してどうするつもり?
____まさか、俺が改心するとでも?」
『君はもっと賢いと思ってたんだけどなぁ』と、僕の頬をするりと撫でる。
真人の手は人とは思えないほど冷たく、僅かな死の気配を纏っていた。
急にそういう風に触れられて体がビクッと震える。
『僕は真人を咎めているわけじゃない』、そう伝えたくても体がすくんでなかなか口を開けない。
真人は僕の次の言葉を待っているようだった。僕は自分の思いを伝えたくて必死に言葉を紡ぐ。
「……違う!っ、僕が言いたいのは__」
そこで愛園さんからもらった連絡先を真人に見せた。
「今日、呪術師に会ったんだ。それで……真人を祓ってくれるって言われた。隣のクラスの人もこの連絡先に話せば祓ってくれるって……。
____だけど、なんでかな……?」
そのまま呪術師の連絡先が書かれた紙グシャッと握りつぶし、丸めてゴミ箱に投げ捨てた。
真人は驚いたような表情で僕を見つめる。
「……僕、どうしても真人にいなくなって欲しくないって思っちゃった。
まだ君と一緒にいたい。真人と一緒に生きていたいんだ」
そして、目の前の真人に思いきり抱きついた。
「紫苑……」
急に抱きつかれた真人からは困惑した感情が伝わってくる。
だけど、背中に手を回しそっと抱きしめ返してくれた。
「……ごめん俺、紫苑を助けたかったのに……困らせてばかりだね」
「ううん、いいよ。何となく分かってたから」
抱きしめられたままだから耳元で真人の声が聞こえる。
その声は何だか申し訳なさそうで、本当に謝っている感じがした。
夕陽が射し込む静かな部屋の中、しばらく僕たちはそうして抱き合っていた。
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「そういえば、もう1つ」
「ん、なに?」
抱きついたまま顔をあげれば真人と目が合う。
青と灰の瞳は未だに不安そうに揺れていて、この話を持ち出した僕に罪悪感を与えた。
「僕にも……呪術を教えて」
「俺が守ってあげるからいいのに。けど、声をかけてきた呪術師が気になるからね。
いいよ。俺が手取り足取り優しく教えてあげる」
「……!よろしく、真人先生」
「ははっ、先生か。いいねその呼び方♪」
呪術を教えてくれるよう頼めば承諾してくれた。
どこまで呪術を使えるようになるのかは分からないけど、何も対策しないよりはマシだ。
とりあえず訓練は明日からにしようと話し合った。
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