雨と猫
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猫を抱きかかえたまま屋上への扉を開けば、休み時間に入ったばかりだからか人はまばらにしかいなかった。
万が一を考え、僕は他の生徒達から離れたところに座る。
「……真人なの?灰色の毛並みだけど」
「正解〜!毛の色変えたのによく気づいたね、さすが俺の飼い主!」
「流石に分かるよ。毛の色以外はあまり変わってなかったし」
灰色の猫はやっぱり真人だった。
街中でも溶け込めるよう水色から灰色に毛の色を変えたらしい。
青と灰のオッドアイは変わってなかったから、僕は見た瞬間に分かったけれど。
「どうしてついてきたの。学校はダメだって言ったよね?」
「まぁまぁ、そう怒るなよ。猫でいるから大丈夫だって!」
確かに、灰色の毛並みの猫なら普通の猫にしか見えない。
呪力も限りなく抑えているようだし、例え呪霊が見える人がいたとしても直ぐにバレることはないだろう。
僕はため息をつきながら真人を抱え直した。
「バレたらすぐ逃げるんだよ?」
「にゃーん♪」
心配しているのに真人は呑気に鳴いてみせる。
猫に弱い僕はあまり強くいえず黙ってそのふわふわな体を撫で続けた。
__________
真人が学校についてくるようになって数週間。
さすがに毎日ではないけど、ついてこない時は家にいるか外に遊びに行っているらしい。
特段変わったこともなく、僕は以前のように日常を送っていた。
「ちょっといいかしら?」
机に頬をつきながら考え事をしてると、いつの間にか目の前に知らない女子生徒が立っていた。
長く艶やかな黒髪に透き通るような白い肌。
誰が見ても整った顔をしていると言うであろう、女子生徒に声をかけられた。
「貴方が猫宮 紫苑君?今日の放課後は時間ある?」
「えっ、何か用?それなら今ここで……」
「大事な話だから2人きりで話したいの。昼休みだけじゃ足りないわ」
どこか人を寄せ付けないような凛とした雰囲気と、有無を言わせない口調に僕はたじろぐ。
だけど、その女子生徒は若干、落ち着きなく周囲を気にしているようだった。
「別にいいけど……」
「そう。約束忘れないでね、屋上で待ってるから」
僕の返事を聞くと女子生徒は足早に教室から出ていってしまった。
いったい僕に何の話があるのか分からず頭に?マークを浮かべていると、側にいた友人達が口を開く。
「えっ!?今のって……隣のクラスの愛園さん!?」
「大事な話ってまさか……」
『告白!?』と二人の友人が同時に言う。
首をかしげる僕を置いてけぼりにして昼休みの教室は騒がしかった。
__________
放課後、友人達の質問を避けつつ屋上に急ぐ。
何の用か知らないけど、家で飼い猫が待つ僕はさっさと用を済ませて早く帰りたかった。
「それで、話って何?」
「約束通り来てくれたのね」
屋上では先に愛園さんが待っており、金網のフェンス越しに下のグラウンドを眺めていた。
僕が声をかけるとゆらりとこちらへ振り返る。
「単刀直入に言うわ、貴方の猫……アイツは今すぐ祓った方がいい」
「……ッ!!」
猫とは真人のことだろう、愛園さんには呪霊が見えていたんだ。
まさか、こんな近くに呪霊を視認出来る人がいたとは思わなかった。
正体を見破られた僕は思わず愛園さんを睨む。
「……呪霊が見える貴方なら分かるでしょう?呪いがどれほど危険なのか」
「それは……」
言い返すことも出来ず、僕はうつむいた。
そんな僕に愛園さんはゆっくり近づいてきて僕の手を引く。
「私、呪術師にツテがあるの。祓う決心がついたら……ここに連絡して」
そして、どこかの電話番号が書かれた紙を無理やり手に握らせてきた。
「あと、祓うのはなるべく早い方がいいわ。貴方についてる呪霊……日に日に力が強くなっていってるから」
『それじゃ』とだけ言うと、愛園さんは屋上を去っていってしまう。
僕はしばらくの間__手渡された紙を眺めていることしか出来なかった。
ふらふらとした足取りで僕も屋上を出る。
待ち構えていた友人達が『どうだった?』と聞いてくるけど、『今は1人にしてほしい』とだけ伝えて僕は帰路についた。
「(……僕が、今ここで真人を祓ってしまえば……呪霊による襲撃を防げる?
この先、真人の手によって死ぬはずの命を____救える?)」
帰り道も色々なことが頭の中を駆け巡る。
答えは出ないまま、自宅の扉を開ければ飼い猫が出迎えてくれた。
「紫苑、顔が真っ青だよ!?大丈夫……?」
真人が心配そうに僕の顔を覗いてくるけど、『体調が悪いから』と言って部屋に閉じこもった。
その日は一日中、真人の顔をみることが出来なかった。
__________
休日を挟んで月曜の朝。
僕が教室に入ると、それまで騒がしかった教室内がシンと静まり返った。
そして、慌てて駆け寄ってきた友人の口から『愛園さんが行方不明』ということを告げられた。
__________
万が一を考え、僕は他の生徒達から離れたところに座る。
「……真人なの?灰色の毛並みだけど」
「正解〜!毛の色変えたのによく気づいたね、さすが俺の飼い主!」
「流石に分かるよ。毛の色以外はあまり変わってなかったし」
灰色の猫はやっぱり真人だった。
街中でも溶け込めるよう水色から灰色に毛の色を変えたらしい。
青と灰のオッドアイは変わってなかったから、僕は見た瞬間に分かったけれど。
「どうしてついてきたの。学校はダメだって言ったよね?」
「まぁまぁ、そう怒るなよ。猫でいるから大丈夫だって!」
確かに、灰色の毛並みの猫なら普通の猫にしか見えない。
呪力も限りなく抑えているようだし、例え呪霊が見える人がいたとしても直ぐにバレることはないだろう。
僕はため息をつきながら真人を抱え直した。
「バレたらすぐ逃げるんだよ?」
「にゃーん♪」
心配しているのに真人は呑気に鳴いてみせる。
猫に弱い僕はあまり強くいえず黙ってそのふわふわな体を撫で続けた。
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真人が学校についてくるようになって数週間。
さすがに毎日ではないけど、ついてこない時は家にいるか外に遊びに行っているらしい。
特段変わったこともなく、僕は以前のように日常を送っていた。
「ちょっといいかしら?」
机に頬をつきながら考え事をしてると、いつの間にか目の前に知らない女子生徒が立っていた。
長く艶やかな黒髪に透き通るような白い肌。
誰が見ても整った顔をしていると言うであろう、女子生徒に声をかけられた。
「貴方が猫宮 紫苑君?今日の放課後は時間ある?」
「えっ、何か用?それなら今ここで……」
「大事な話だから2人きりで話したいの。昼休みだけじゃ足りないわ」
どこか人を寄せ付けないような凛とした雰囲気と、有無を言わせない口調に僕はたじろぐ。
だけど、その女子生徒は若干、落ち着きなく周囲を気にしているようだった。
「別にいいけど……」
「そう。約束忘れないでね、屋上で待ってるから」
僕の返事を聞くと女子生徒は足早に教室から出ていってしまった。
いったい僕に何の話があるのか分からず頭に?マークを浮かべていると、側にいた友人達が口を開く。
「えっ!?今のって……隣のクラスの愛園さん!?」
「大事な話ってまさか……」
『告白!?』と二人の友人が同時に言う。
首をかしげる僕を置いてけぼりにして昼休みの教室は騒がしかった。
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放課後、友人達の質問を避けつつ屋上に急ぐ。
何の用か知らないけど、家で飼い猫が待つ僕はさっさと用を済ませて早く帰りたかった。
「それで、話って何?」
「約束通り来てくれたのね」
屋上では先に愛園さんが待っており、金網のフェンス越しに下のグラウンドを眺めていた。
僕が声をかけるとゆらりとこちらへ振り返る。
「単刀直入に言うわ、貴方の猫……アイツは今すぐ祓った方がいい」
「……ッ!!」
猫とは真人のことだろう、愛園さんには呪霊が見えていたんだ。
まさか、こんな近くに呪霊を視認出来る人がいたとは思わなかった。
正体を見破られた僕は思わず愛園さんを睨む。
「……呪霊が見える貴方なら分かるでしょう?呪いがどれほど危険なのか」
「それは……」
言い返すことも出来ず、僕はうつむいた。
そんな僕に愛園さんはゆっくり近づいてきて僕の手を引く。
「私、呪術師にツテがあるの。祓う決心がついたら……ここに連絡して」
そして、どこかの電話番号が書かれた紙を無理やり手に握らせてきた。
「あと、祓うのはなるべく早い方がいいわ。貴方についてる呪霊……日に日に力が強くなっていってるから」
『それじゃ』とだけ言うと、愛園さんは屋上を去っていってしまう。
僕はしばらくの間__手渡された紙を眺めていることしか出来なかった。
ふらふらとした足取りで僕も屋上を出る。
待ち構えていた友人達が『どうだった?』と聞いてくるけど、『今は1人にしてほしい』とだけ伝えて僕は帰路についた。
「(……僕が、今ここで真人を祓ってしまえば……呪霊による襲撃を防げる?
この先、真人の手によって死ぬはずの命を____救える?)」
帰り道も色々なことが頭の中を駆け巡る。
答えは出ないまま、自宅の扉を開ければ飼い猫が出迎えてくれた。
「紫苑、顔が真っ青だよ!?大丈夫……?」
真人が心配そうに僕の顔を覗いてくるけど、『体調が悪いから』と言って部屋に閉じこもった。
その日は一日中、真人の顔をみることが出来なかった。
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休日を挟んで月曜の朝。
僕が教室に入ると、それまで騒がしかった教室内がシンと静まり返った。
そして、慌てて駆け寄ってきた友人の口から『愛園さんが行方不明』ということを告げられた。
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