雨と猫
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月曜の朝____
新しい週になりまた今日から学校が始まる僕は登校する準備をしていた。
通っている学校は東京にあるけど、自宅マンションは首都近郊のベッドタウンだから早めに家を出て電車に乗らなければいけない。
いつものブレザーの制服に着替えネクタイを緩くつける。
だけど、靴を履き外に出ようとしたところで真人に捕まった。
「ねぇ、俺も連れていってよ」
「さすがに学校はダメ。もし呪霊が見える人がいたら逃げられないし」
呪霊が見える人間はかなり少ない。
それでも、もし学校に見える人がいたら呪術師に通報されるかもしれない。
真人は人型の呪霊だから街中とかなら気づかれにくいかもしれないけど、流石に学校にいたら目立ってしまう。
「とにかく、僕が学校に行ってる間は大人しくしてて。早めに帰ってくるから、ね?」
「ちぇ〜」
まだ納得していない様子の真人を撫でれば、不満そうに口を尖らせてみせる。
それでも僕についてくる気配は無い。
とりあえず遅刻しないよう僕は後ろ髪を引かれる思いで学校に向かった。
__________
都内のとある学校____
朝から騒がしい教室の扉を開け、クラスの皆んなに挨拶してから席に着く。
鞄を下ろし教科書を取り出していると、いつも話す友人が机の周りに集まってきた。
「あっ!紫苑君おはよ〜!」
「紫苑、来るの遅いぞー!また寝坊か?」
明るめの茶髪をお下げに結んだ優しそうな女子と、目つきの少し悪い黒髪短髪の男子がそんな風に声をかけてきた。
二人とも高校に入ってから出来た友人だ。
前世の記憶があるから学校生活は適当に過ごそうと思っていた。
親しい友人は出来るだけ作らないよう誰とも一線を引いていたけど、この二人はそんな僕を何かと気にかけてくれたいい人達でもある。
「二人ともおはよ。寝坊はしてないかな」
「なら、どうしてこんなに遅かったんだ?もうすぐ授業始まるぞ」
そんな友人を無視する訳にもいかず挨拶を返せば『来るのが遅い』と言われてしまう。
たまに寝坊することはあるけど、今日は飼い猫のせいだった。
男友達の言う通り、チャイムの音が鳴り響いてすぐに担任が教室に入ってくる。
そして、普段通りの授業が始まった。
__________
静かな教室の中、教師の声と板書するペンの音が響く。
今は4限目英語の授業で女性の教師が解説をしていた。
幸い、英語は得意な方なので授業の内容を聞くのもそこそこに窓の外へと目をやる。
「にゃーん」
ぼーっと外を見ていればベランダから聞きなれた鳴き声が聞こえてきた。
まさかと思いつつ、そのまま眺めていれば。
カラカラと音を立てながらベランダ側の扉がひとりでに開いた。
そして、灰色の毛並みをした猫が開いた扉から入ってくる。
「真人……?」
「にゃあ!」
入ってきた猫にそう声をかければ元気よく返事が返ってくる。
驚いて思わず席から立ち上がれば、クラス中の視線がこちらに向いていた。
「えっ!?今勝手にベランダのドア開かなかった?」
「あら、誰か閉めてくれる?それに猫宮君、急に立ち上がったりしてどうしたの?」
「あ、いや……」
先生に言われ席に座り直すと、猫が膝に飛び乗ってきた。
どうやら、皆んなにはこの猫が見えてないらしい。
誰も教室内に入ってきた猫に対して言及しないし、見えている様子もない。
「おい紫苑、急にどうした?」
勝手に開いたドアと急に立ち上がった僕のせいで教室内が騒がしくなる。
隣の席の男友達も心配そうに話しかけてきた。
「……ううん、何でもない」
とりあえず曖昧に笑って誤魔化しておいた。
男友達は未だ釈然としない様子で首を傾げると、また黒板の方に目を移す。
「にゃ〜」
騒ぎを起こした張本人は僕の膝の上で丸くなる。
そんな猫に何か言ってやりたいのを我慢し、チャイムが鳴った瞬間、僕は灰色の猫を抱えて屋上にダッシュした。
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新しい週になりまた今日から学校が始まる僕は登校する準備をしていた。
通っている学校は東京にあるけど、自宅マンションは首都近郊のベッドタウンだから早めに家を出て電車に乗らなければいけない。
いつものブレザーの制服に着替えネクタイを緩くつける。
だけど、靴を履き外に出ようとしたところで真人に捕まった。
「ねぇ、俺も連れていってよ」
「さすがに学校はダメ。もし呪霊が見える人がいたら逃げられないし」
呪霊が見える人間はかなり少ない。
それでも、もし学校に見える人がいたら呪術師に通報されるかもしれない。
真人は人型の呪霊だから街中とかなら気づかれにくいかもしれないけど、流石に学校にいたら目立ってしまう。
「とにかく、僕が学校に行ってる間は大人しくしてて。早めに帰ってくるから、ね?」
「ちぇ〜」
まだ納得していない様子の真人を撫でれば、不満そうに口を尖らせてみせる。
それでも僕についてくる気配は無い。
とりあえず遅刻しないよう僕は後ろ髪を引かれる思いで学校に向かった。
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都内のとある学校____
朝から騒がしい教室の扉を開け、クラスの皆んなに挨拶してから席に着く。
鞄を下ろし教科書を取り出していると、いつも話す友人が机の周りに集まってきた。
「あっ!紫苑君おはよ〜!」
「紫苑、来るの遅いぞー!また寝坊か?」
明るめの茶髪をお下げに結んだ優しそうな女子と、目つきの少し悪い黒髪短髪の男子がそんな風に声をかけてきた。
二人とも高校に入ってから出来た友人だ。
前世の記憶があるから学校生活は適当に過ごそうと思っていた。
親しい友人は出来るだけ作らないよう誰とも一線を引いていたけど、この二人はそんな僕を何かと気にかけてくれたいい人達でもある。
「二人ともおはよ。寝坊はしてないかな」
「なら、どうしてこんなに遅かったんだ?もうすぐ授業始まるぞ」
そんな友人を無視する訳にもいかず挨拶を返せば『来るのが遅い』と言われてしまう。
たまに寝坊することはあるけど、今日は飼い猫のせいだった。
男友達の言う通り、チャイムの音が鳴り響いてすぐに担任が教室に入ってくる。
そして、普段通りの授業が始まった。
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静かな教室の中、教師の声と板書するペンの音が響く。
今は4限目英語の授業で女性の教師が解説をしていた。
幸い、英語は得意な方なので授業の内容を聞くのもそこそこに窓の外へと目をやる。
「にゃーん」
ぼーっと外を見ていればベランダから聞きなれた鳴き声が聞こえてきた。
まさかと思いつつ、そのまま眺めていれば。
カラカラと音を立てながらベランダ側の扉がひとりでに開いた。
そして、灰色の毛並みをした猫が開いた扉から入ってくる。
「真人……?」
「にゃあ!」
入ってきた猫にそう声をかければ元気よく返事が返ってくる。
驚いて思わず席から立ち上がれば、クラス中の視線がこちらに向いていた。
「えっ!?今勝手にベランダのドア開かなかった?」
「あら、誰か閉めてくれる?それに猫宮君、急に立ち上がったりしてどうしたの?」
「あ、いや……」
先生に言われ席に座り直すと、猫が膝に飛び乗ってきた。
どうやら、皆んなにはこの猫が見えてないらしい。
誰も教室内に入ってきた猫に対して言及しないし、見えている様子もない。
「おい紫苑、急にどうした?」
勝手に開いたドアと急に立ち上がった僕のせいで教室内が騒がしくなる。
隣の席の男友達も心配そうに話しかけてきた。
「……ううん、何でもない」
とりあえず曖昧に笑って誤魔化しておいた。
男友達は未だ釈然としない様子で首を傾げると、また黒板の方に目を移す。
「にゃ〜」
騒ぎを起こした張本人は僕の膝の上で丸くなる。
そんな猫に何か言ってやりたいのを我慢し、チャイムが鳴った瞬間、僕は灰色の猫を抱えて屋上にダッシュした。
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