雨と猫
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
月曜の朝____
新しい週になり、また今日から学校が始まる僕は登校する準備をしていた。
通っている学校は東京都内だけど、自宅マンションは首都近郊のベッドタウンだから早めに家を出て電車に乗らなければいけない。
朝の電車はかなり混むし満員電車に乗るのが嫌だから、わざと遅刻していく日も多かった。
それでも今日は週明けだからと、早めに家を出るつもりで準備を進めていく。
ブレザーの制服に着替えネクタイを緩くつければどこからどう見ても良いとこの私立学生に見える。
前世でも高校生をしていた記憶があるから、いい年して高校生のコスプレをしているみたいでちょっと恥ずかしい。
「"呪術廻戦"を読んでいたのも高校の時だっけ。友達と感想を言い合ったりしてた記憶があるんだよね……」
今ではその漫画の世界に転生して悪役である真人と住んでいるんだから、人生どうなるか分からないな。
姿見に映る自分の姿は前世とは大きく違うけど、それも受け入れて今世を生きていくしかない。
「……渋谷事変までは読んだ記憶があるんだけど。そこから先の記憶が朧げで前世の自分がどうなったのかも分からないんだよね……やっぱり死んじゃったのかな」
転生したということは前世の自分はほぼ確実に死んでしまったのだろう。
魂のことはよく分からないけど同一人物の魂が同時に二個も存在するはずがない。
真人じゃなくてもそのくらいのことは分かっていた。
前世の記憶は全体的にぼんやりとしか覚えていない。
渋谷事変までのストーリーは記憶に残っているも、その後の展開と前世の最後の記憶は曖昧なものだった。
前世の自分に何かとんでもないことが起こったのだろうか、そんな考えを捨てるように首を横に振り部屋を出る。
だけど、玄関で靴を履こうとしたところで真人に捕まった。
「今日から学校に行くんだろ?ねぇ、俺も連れていってよ」
「さすがに学校はダメだよ。もし呪霊が視える人がいたら逃げられないし」
呪霊が視えるだけの人間ならごく稀にいる。
そういう呪いが視える人たちは"窓"になって一般社会に紛れ込んでおり、呪いによる異変があれば呪術師達に知らせるのだ。
もし学校にそういう人がいたら呪術師に通報されるかもしれない。
真人は人型の呪霊だから街中なら気づかれにくいかもしれないけど、流石に学校にいたら目立ってしまう。
「とにかく、僕が学校に行ってる間はなるべく大人しくしてて。早めに帰ってくるから、ね?」
「ちぇ〜」
まだ納得していない様子の真人を撫でれば、不満そうに口を尖らせてみせる。
それでも僕に無理やりついてこようとする気配は無い。
とりあえず遅刻しないよう、僕は後ろ髪を引かれる思いで学校に向かった。
__________
東京都内、とある私立高校にて____
朝から騒がしい教室の扉を開け、すれ違うクラスメイト達に挨拶してから席に着く。
鞄を下ろし教科書を取り出していると、いつも一緒にいる友人達が机の周りに集まってきた。
「紫苑君おはよ〜!今日はギリギリ朝のホームルームに間に合ったね」
「紫苑は相変わらず学校に来るの遅いよな。またいつもの寝坊か?」
明るめの茶髪をお下げに結んだ優しそうな女子と、目つきの少し悪い黒髪短髪の男子がそんな風に声をかけてきた。
二人とも高校に入ってから出来た友人だ。
前世の記憶があるから学校生活は適当に過ごそうと思っていた。
親しい友人は出来るだけ作らないよう誰に対しても一線を引いていたけど、この二人はそんな僕を何かと気にかけてくれるいい人達でもある。
「二人ともおはよ。寝坊はしてないかな」
「なら、どうしてこんなに遅かったんだ?もうすぐ授業始まるぞ」
「この休日に色々あってね……。朝の準備もバタバタしてたんだから」
そんな友人を無視する訳にもいかず挨拶を返せば『来るのが遅い』と言われてしまう。
たまに寝坊することはあるけど、今日に限っては飼い猫のせいだった。
朝食を食べている時も邪魔してきたし、早めに起きたのに結局登校時間はギリギリだった。
『今頃真人は何してるのかな』と飼い猫の心配をしていれば。
男友達の言う通り、チャイムの音が鳴り響いてすぐに担任が教室に入ってくる。
そして、普段通りの退屈な授業が始まった。
__________
静かな教室の中、教師の声と板書するペンの音が響く。
今は昼食前の四限目、英語の授業で女性の教師が文法の解説をしていた。
幸い、英語は父がイギリス人なのもあって得意な方だから授業の内容を聞くのもそこそこに窓の外へと目をやる。
ぼんやりと晴れた空を見上げていれば、聞き覚えのある鳴き声がした。
「にゃーん」
ぼーっと外を見ていれば、ベランダから聞きなれた猫の鳴き声が聞こえてくる。
まさかと思いつつそのまま眺めていればカラカラと音を立てながらベランダ側の扉がひとりでに開いた。
そして、灰色の毛並みをした猫が開いた扉からするりと入ってくる。
「まさか、真人なの……?」
「にゃあ!」
入ってきた猫にそう小さく声をかければ元気よく返事が返ってくる。
驚いて思わず席から立ち上がれば、クラス中の視線がこちらに向いているのに気づいた。
「えっ!?今勝手にベランダのドア開かなかった……?」
「あら、突風でも吹いたのかしら。誰か閉めてくれる?それに猫宮君、急に立ち上がったりしてどうしたの?」
「あ、いや……」
先生に言われ席に座り直すと、灰色の猫が膝に飛び乗ってきた。
どうやら、クラスの皆んなにはこの灰色の猫が視えてないらしい。
誰も教室内に入ってきた猫に対して言及しないし、視えている様子もない。
「おい紫苑、急に立ち上がったりしてどうした?」
勝手に開いたドアと急に立ち上がった僕のせいで教室内が騒がしくなる。
隣の席の男友達も心配そうに話しかけてきた。
「……ううん、何でもない」
とりあえず曖昧に笑って誤魔化しておいた。
男友達は未だ釈然としない様子で首を傾げると、また黒板の方に目を移す。
「にゃ〜」
騒ぎを起こした張本人は僕の膝の上で丸くなる。
そんな猫に何か言ってやりたいのを我慢し、チャイムが鳴った瞬間、僕は灰色の猫を抱えて屋上にダッシュした。
新しい週になり、また今日から学校が始まる僕は登校する準備をしていた。
通っている学校は東京都内だけど、自宅マンションは首都近郊のベッドタウンだから早めに家を出て電車に乗らなければいけない。
朝の電車はかなり混むし満員電車に乗るのが嫌だから、わざと遅刻していく日も多かった。
それでも今日は週明けだからと、早めに家を出るつもりで準備を進めていく。
ブレザーの制服に着替えネクタイを緩くつければどこからどう見ても良いとこの私立学生に見える。
前世でも高校生をしていた記憶があるから、いい年して高校生のコスプレをしているみたいでちょっと恥ずかしい。
「"呪術廻戦"を読んでいたのも高校の時だっけ。友達と感想を言い合ったりしてた記憶があるんだよね……」
今ではその漫画の世界に転生して悪役である真人と住んでいるんだから、人生どうなるか分からないな。
姿見に映る自分の姿は前世とは大きく違うけど、それも受け入れて今世を生きていくしかない。
「……渋谷事変までは読んだ記憶があるんだけど。そこから先の記憶が朧げで前世の自分がどうなったのかも分からないんだよね……やっぱり死んじゃったのかな」
転生したということは前世の自分はほぼ確実に死んでしまったのだろう。
魂のことはよく分からないけど同一人物の魂が同時に二個も存在するはずがない。
真人じゃなくてもそのくらいのことは分かっていた。
前世の記憶は全体的にぼんやりとしか覚えていない。
渋谷事変までのストーリーは記憶に残っているも、その後の展開と前世の最後の記憶は曖昧なものだった。
前世の自分に何かとんでもないことが起こったのだろうか、そんな考えを捨てるように首を横に振り部屋を出る。
だけど、玄関で靴を履こうとしたところで真人に捕まった。
「今日から学校に行くんだろ?ねぇ、俺も連れていってよ」
「さすがに学校はダメだよ。もし呪霊が視える人がいたら逃げられないし」
呪霊が視えるだけの人間ならごく稀にいる。
そういう呪いが視える人たちは"窓"になって一般社会に紛れ込んでおり、呪いによる異変があれば呪術師達に知らせるのだ。
もし学校にそういう人がいたら呪術師に通報されるかもしれない。
真人は人型の呪霊だから街中なら気づかれにくいかもしれないけど、流石に学校にいたら目立ってしまう。
「とにかく、僕が学校に行ってる間はなるべく大人しくしてて。早めに帰ってくるから、ね?」
「ちぇ〜」
まだ納得していない様子の真人を撫でれば、不満そうに口を尖らせてみせる。
それでも僕に無理やりついてこようとする気配は無い。
とりあえず遅刻しないよう、僕は後ろ髪を引かれる思いで学校に向かった。
__________
東京都内、とある私立高校にて____
朝から騒がしい教室の扉を開け、すれ違うクラスメイト達に挨拶してから席に着く。
鞄を下ろし教科書を取り出していると、いつも一緒にいる友人達が机の周りに集まってきた。
「紫苑君おはよ〜!今日はギリギリ朝のホームルームに間に合ったね」
「紫苑は相変わらず学校に来るの遅いよな。またいつもの寝坊か?」
明るめの茶髪をお下げに結んだ優しそうな女子と、目つきの少し悪い黒髪短髪の男子がそんな風に声をかけてきた。
二人とも高校に入ってから出来た友人だ。
前世の記憶があるから学校生活は適当に過ごそうと思っていた。
親しい友人は出来るだけ作らないよう誰に対しても一線を引いていたけど、この二人はそんな僕を何かと気にかけてくれるいい人達でもある。
「二人ともおはよ。寝坊はしてないかな」
「なら、どうしてこんなに遅かったんだ?もうすぐ授業始まるぞ」
「この休日に色々あってね……。朝の準備もバタバタしてたんだから」
そんな友人を無視する訳にもいかず挨拶を返せば『来るのが遅い』と言われてしまう。
たまに寝坊することはあるけど、今日に限っては飼い猫のせいだった。
朝食を食べている時も邪魔してきたし、早めに起きたのに結局登校時間はギリギリだった。
『今頃真人は何してるのかな』と飼い猫の心配をしていれば。
男友達の言う通り、チャイムの音が鳴り響いてすぐに担任が教室に入ってくる。
そして、普段通りの退屈な授業が始まった。
__________
静かな教室の中、教師の声と板書するペンの音が響く。
今は昼食前の四限目、英語の授業で女性の教師が文法の解説をしていた。
幸い、英語は父がイギリス人なのもあって得意な方だから授業の内容を聞くのもそこそこに窓の外へと目をやる。
ぼんやりと晴れた空を見上げていれば、聞き覚えのある鳴き声がした。
「にゃーん」
ぼーっと外を見ていれば、ベランダから聞きなれた猫の鳴き声が聞こえてくる。
まさかと思いつつそのまま眺めていればカラカラと音を立てながらベランダ側の扉がひとりでに開いた。
そして、灰色の毛並みをした猫が開いた扉からするりと入ってくる。
「まさか、真人なの……?」
「にゃあ!」
入ってきた猫にそう小さく声をかければ元気よく返事が返ってくる。
驚いて思わず席から立ち上がれば、クラス中の視線がこちらに向いているのに気づいた。
「えっ!?今勝手にベランダのドア開かなかった……?」
「あら、突風でも吹いたのかしら。誰か閉めてくれる?それに猫宮君、急に立ち上がったりしてどうしたの?」
「あ、いや……」
先生に言われ席に座り直すと、灰色の猫が膝に飛び乗ってきた。
どうやら、クラスの皆んなにはこの灰色の猫が視えてないらしい。
誰も教室内に入ってきた猫に対して言及しないし、視えている様子もない。
「おい紫苑、急に立ち上がったりしてどうした?」
勝手に開いたドアと急に立ち上がった僕のせいで教室内が騒がしくなる。
隣の席の男友達も心配そうに話しかけてきた。
「……ううん、何でもない」
とりあえず曖昧に笑って誤魔化しておいた。
男友達は未だ釈然としない様子で首を傾げると、また黒板の方に目を移す。
「にゃ〜」
騒ぎを起こした張本人は僕の膝の上で丸くなる。
そんな猫に何か言ってやりたいのを我慢し、チャイムが鳴った瞬間、僕は灰色の猫を抱えて屋上にダッシュした。
