雨と猫
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【真人side】
服を着替えたあと、朝食を作る飼い主をリビングからこっそり観察する。
いつものルーティンなのか慣れた手つきでパンや食材を切っていた。
ほんのりと甘い匂いが漂ってきたところで俺は紫苑のそばに行く。
「ねぇ、何作ってんの?」
「ホットケーキとサンドウィッチだよ。あの、抱きつかれると危ないし邪魔なんだけど……」
「んー?聞こえないなぁ」
忠告なんて聞こえないフリして後ろから抱きつく。
俺より一回り以上も小さく細い体は腕の中にすっぽりと収まってしまった。
細い腰にするりと手を伸ばせば紫苑はビクリと体を跳ねさせる。
抜け出すのを諦め、そのまま食材を切ろうとすれば手元が狂ったのか。
小さな悲鳴の後に指から血が溢れ出していた。
「あ、血が出てんじゃん!大丈夫?」
「このくらい平気だよ。包丁が少し当たっちゃっただけだし。手当てしたいから離してくれる?」
「手当て?そんなまどろっこしいことしなくても……俺に任せて」
ペロリと少年の指を舐めると、鉄の匂いと血の味が口内に広がった。
俺の持つ術式"無為転変 "で小さな傷を治してあげる。
紫苑は自分の指が咥えこまれるのを呆然と見ていたけど、少し遅れて頬を赤く染めていく。
飼い主には少し刺激が強かったらしい。
俺も別に人間の血なんて飲む趣味はないけれど、紫苑の血は不思議と甘く感じた。
それはまるで甘い蜜のようで、それから俺は紫苑の作る甘い料理が好きになった。
本来、呪霊に食事は必要ないけど嗜好品として味わう分には問題ない。
俺が甘いものを気に入ったと言えば、夕食のカレーも甘口にしていた。
そんな風に俺の意見を聞いてくれる健気な紫苑を好ましく思う。
仲良くなろうと近づけばすぐ赤くなるし、いつの間にか紫苑のことを可愛いと思うようになってきた。
もしかして、人間も猫に対してこんな風に感じているのかな?
もっと……紫苑のこと知りたいな。
__________
日曜の夜____
一緒にベッドに入れば#紫苑#はすぐ眠りに落ちてしまった。
俺という危険な呪いが側にいるのに眠気には勝てなかったらしい。
今日は外出したから疲れたんだろう。
思えば、俺も人間の子供のように手を引かれて喜んでいた。
すやすやと穏やかな寝息を立てる紫苑を見ていると、なんとも言えない気持ちになってくる。
胸元のパジャマは寝相で早々にはだけ、無防備な姿を晒し出していた。
俺は飼い猫ではあるけど同時に特級呪霊でもある。
呪いの前でこんな姿を見せるんだから何されても文句は言えないよね。
と、疼く本能のままそっと手を伸ばしたところで首を振った。
「ははっ。壊すのは今じゃない……にしても、俺の前でよく眠れるなぁ。そんなに油断しきっているといつか喰われちゃうよ?」
当然、紫苑からの返事はなく俺も横になる。
今日は眠る気がせず暇になった俺は興味本位で紫苑の魂に触れてみた。
すると、あることに気がつく。
「おかしいな……魂が二重になってる……?こんなの初めてだ」
術式を柔く発動しつつ紫苑の体に触れれば、薄い膜越しに魂に触れるような感触がした。
紫苑の魂を覆っているその膜も別の魂のように思える。
つまり、紫苑の魂は二重になっていると判断した。
こんな魂の形は見たことがないし、どうなっているのかもう少し探ってみようとはだけている胸元へと手を忍ばせた。
「この感じだと……小さな傷は治せても大幅な改造は無理だな」
まぁ、せっかく見つけた飼い主を壊すつもりはさらさらないけど。
胸のすべすべな肌の感触を楽しみつつそのまま薄い腹にも手を伸ばしていく。
俺の手が与える緩い刺激に紫苑も小さな寝言を発していた。
昨日、"無為転変"で傷を治せたのはこの魂の膜の部分に触れていたからだろう。
膜に覆われた奥の魂にはなぜか触れることが出来ない。
この膜も魂なのだから無理やり突き破ることも出来そうではあるけど、まだ壊すつもりはないから優しく触れるだけに留めておいた。
「君って本当に俺を飽きさせないよねぇ」
「んっ……まひ、と」
「夢の中でも俺に会ってるのかな?いい夢見られるといいね」
その日は一晩中、紫苑の魂の秘密を解き明かそうと紫苑の体を触り続けていた。
たまに漏れる吐息のような声も猫耳には刺激的だし暇つぶしにはちょうどいいな。
願わくば飼い主の夢に俺もいますようにと耳元で囁いた。
服を着替えたあと、朝食を作る飼い主をリビングからこっそり観察する。
いつものルーティンなのか慣れた手つきでパンや食材を切っていた。
ほんのりと甘い匂いが漂ってきたところで俺は紫苑のそばに行く。
「ねぇ、何作ってんの?」
「ホットケーキとサンドウィッチだよ。あの、抱きつかれると危ないし邪魔なんだけど……」
「んー?聞こえないなぁ」
忠告なんて聞こえないフリして後ろから抱きつく。
俺より一回り以上も小さく細い体は腕の中にすっぽりと収まってしまった。
細い腰にするりと手を伸ばせば紫苑はビクリと体を跳ねさせる。
抜け出すのを諦め、そのまま食材を切ろうとすれば手元が狂ったのか。
小さな悲鳴の後に指から血が溢れ出していた。
「あ、血が出てんじゃん!大丈夫?」
「このくらい平気だよ。包丁が少し当たっちゃっただけだし。手当てしたいから離してくれる?」
「手当て?そんなまどろっこしいことしなくても……俺に任せて」
ペロリと少年の指を舐めると、鉄の匂いと血の味が口内に広がった。
俺の持つ術式"
紫苑は自分の指が咥えこまれるのを呆然と見ていたけど、少し遅れて頬を赤く染めていく。
飼い主には少し刺激が強かったらしい。
俺も別に人間の血なんて飲む趣味はないけれど、紫苑の血は不思議と甘く感じた。
それはまるで甘い蜜のようで、それから俺は紫苑の作る甘い料理が好きになった。
本来、呪霊に食事は必要ないけど嗜好品として味わう分には問題ない。
俺が甘いものを気に入ったと言えば、夕食のカレーも甘口にしていた。
そんな風に俺の意見を聞いてくれる健気な紫苑を好ましく思う。
仲良くなろうと近づけばすぐ赤くなるし、いつの間にか紫苑のことを可愛いと思うようになってきた。
もしかして、人間も猫に対してこんな風に感じているのかな?
もっと……紫苑のこと知りたいな。
__________
日曜の夜____
一緒にベッドに入れば#紫苑#はすぐ眠りに落ちてしまった。
俺という危険な呪いが側にいるのに眠気には勝てなかったらしい。
今日は外出したから疲れたんだろう。
思えば、俺も人間の子供のように手を引かれて喜んでいた。
すやすやと穏やかな寝息を立てる紫苑を見ていると、なんとも言えない気持ちになってくる。
胸元のパジャマは寝相で早々にはだけ、無防備な姿を晒し出していた。
俺は飼い猫ではあるけど同時に特級呪霊でもある。
呪いの前でこんな姿を見せるんだから何されても文句は言えないよね。
と、疼く本能のままそっと手を伸ばしたところで首を振った。
「ははっ。壊すのは今じゃない……にしても、俺の前でよく眠れるなぁ。そんなに油断しきっているといつか喰われちゃうよ?」
当然、紫苑からの返事はなく俺も横になる。
今日は眠る気がせず暇になった俺は興味本位で紫苑の魂に触れてみた。
すると、あることに気がつく。
「おかしいな……魂が二重になってる……?こんなの初めてだ」
術式を柔く発動しつつ紫苑の体に触れれば、薄い膜越しに魂に触れるような感触がした。
紫苑の魂を覆っているその膜も別の魂のように思える。
つまり、紫苑の魂は二重になっていると判断した。
こんな魂の形は見たことがないし、どうなっているのかもう少し探ってみようとはだけている胸元へと手を忍ばせた。
「この感じだと……小さな傷は治せても大幅な改造は無理だな」
まぁ、せっかく見つけた飼い主を壊すつもりはさらさらないけど。
胸のすべすべな肌の感触を楽しみつつそのまま薄い腹にも手を伸ばしていく。
俺の手が与える緩い刺激に紫苑も小さな寝言を発していた。
昨日、"無為転変"で傷を治せたのはこの魂の膜の部分に触れていたからだろう。
膜に覆われた奥の魂にはなぜか触れることが出来ない。
この膜も魂なのだから無理やり突き破ることも出来そうではあるけど、まだ壊すつもりはないから優しく触れるだけに留めておいた。
「君って本当に俺を飽きさせないよねぇ」
「んっ……まひ、と」
「夢の中でも俺に会ってるのかな?いい夢見られるといいね」
その日は一晩中、紫苑の魂の秘密を解き明かそうと紫苑の体を触り続けていた。
たまに漏れる吐息のような声も猫耳には刺激的だし暇つぶしにはちょうどいいな。
願わくば飼い主の夢に俺もいますようにと耳元で囁いた。
