雨と猫
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よく晴れた日曜の朝____
雨模様だった一昨日とは違い、今日は晴天に恵まれた。
出かけるにはちょうどいい天気なので予定通り真人と外出することにした。
手早く朝食を食べ終え外出用の服に着替える。
秋めいてきた季節にちょうどいいカーディガンを羽織れば、玄関から『早くー!』と真人の急かす声が聞こえてきた。
「待って、今行くから」
「やっと来た。へぇ、紫苑って何でも似合うね。着替えてるとこも見たかったな〜」
「一緒だったら絶対邪魔するじゃん……!」
人の着替えなんか見て何が楽しいんだか。
『まぁね〜』と軽口を叩く真人の前をすり抜け外に出る。
秋らしく涼しくなってきた空気に、そろそろ新しい冬服も買おうと思った。
__________
道中、真人にあれこれ質問されながら歩く。
どうやら、真人は本当に生まれてまもないらしく、東京の街並みや電車の乗り換えについて聞いてきた。
「ねぇ、人間が集まってるあれは何?__あ!あっちも気になる!」
「ちょ、ちょっと!落ち着いてってば……迷子になるって!」
呪霊が見えない人達からしたら、僕は虚空に向かって声をかける不審者でしかない。
恥ずかしいけど、真人が暴走しないよう見張るので精一杯なので許してほしい。
生まれてからずっと一人だと言っていたから、人間社会について聞ける相手が出来て嬉しいのかもしれない。
なんて思いつつ、子供のようにはしゃぐ真人を連れていく。
そして、やっと目的地へとたどり着いた。
「__ここは?」
「渋谷だよ、人が多いからはぐれないでね?」
「へぇ、どこも人で溢れてるな〜。
迷子になっちゃうかもしれないからさ、俺と手繋ご♪」
そう言って真人は僕の手を握ってくる。
いつ無為転変されても可笑しくない状況だけど、僕はそっと、その手を握り返した。
「(来年のハロウィンにここで渋谷事変が起こるんだよね……。
その時に、真人は____)」
おかしな話だけど、隣で無邪気に笑う真人がいなくなってしまうと考えたら少し寂しくなった。
真人とは出会ったばかりだし、なんなら居なくなってくれた方が人間の僕としては都合がいいはずなのに。
「(もしかしたら……真人が僕と出会った事で何か変わるかもしれないけど。
どうなるか分からないのに未来を変えてもいいのかな……)」
物思いにふけっていると、心配そうに揺れる青と灰の瞳が覗き込んできた。
「…… 紫苑?どうしたの?」
「ううん、何でもない。行こうか」
自分より一回りも大きいツギハギの手を引いて、僕達は雑踏の中を歩き出した。
__________
渋谷の洒落た若者が集う服屋に入る。
自動ドアを二人でくぐればすぐに女性の店員が話しかけてきた。
店員と話している間、真人にはアイコンタクトで店内を見てきていいよと伝える。
「あ、この服いいかも!紫苑はどう思う?」
「少し待って、今話してるから……!」
それなのに、わざと邪魔するかのように隣で話しかけてくる。
幸いこの店員は鈍いのか、呪霊である真人の存在には気がついていないようで。
にこにこと愛想のいい笑みを浮かべながら話しかけてきた。
「いらっしゃいませ〜。どのような服をお探しですか?」
「緩めで大きめのサイズの服ってあります?僕が着るんじゃなくて、家族用に買いたいので」
「なるほど、ご家族向けにですか。贈る方の身長などは分かりますか?」
「多分……185cmくらいかなぁ」
ちらりと楽しげに服を選ぶ真人を見て何となくの身長を伝える。
172cmある僕より10cmは高いだろうから少し盛った。
「そのくらいの方ならこちらのサイズが人気ですね」
「分かりました。一人で見て回りますね」
「試着室もご自由にお使いください〜」
サイズも分かったし店員から離れ真人の元に行く。
店内はそこそこ広く、人もまばらだったから真人と話していても問題なさそう。
「もう、人と話してる時に邪魔しないでよ。怪しまれるじゃん」
「えー?どうせ見えてないんだからいいでしょ?それよりさ!試着室行こ」
「はいはい、僕は外で待ってるから」
「えっ、一緒に入らないと怪しまれるくない?」
そうだった、試着室の中に服だけ置いていくのもおかしいし。
僕は仕方なく真人と一緒に試着室へと入った。
__________
試着室の中は二人で入る分には少し狭く、互いの腕が簡単に当たるくらいには密着していた。
それなのに真人は器用に服を着替えていく。
「ねぇ、この服はどう思う?」
「動きやすそうな服だね。真人にも似合ってるよ」
「じゃあこれにしよーっと!あ、こっちも見てみて!」
服を脱ぐと、目の前に真人の上半身があらわになる。
明るい照明だからかツギハギの青白い肌にたくましい筋肉がよく見えた。
「……どこ見てるの?」
「あ……真人って意外と筋肉あるなって思って」
「へぇ〜そんなに俺の体見てたんだ?そうまじまじと見られたら俺も照れちゃうなぁ」
「ごめん。なるべく見ないようにするね……っ!?」
真人に羞恥心があるのか謎だけど、見ないよう顔を背ければ顎を掴まれた。
そのまま上を向かされれば妖艶に微笑む真人と目が合う。
「いいよ紫苑、俺の体よく見て」
「……あのさ、僕が照れるって分かっててやってるよね?」
「あはっ、バレた?」
そう指摘したらイタズラっ子のように笑い手を離してくれる。
やっぱり密室で2人きりになるのは危険だと思い、さっさと真人に元の服を着せ会計に向かう。
こうして無事服を買った僕らは、また東京の街へと繰り出した。
__________
雨模様だった一昨日とは違い、今日は晴天に恵まれた。
出かけるにはちょうどいい天気なので予定通り真人と外出することにした。
手早く朝食を食べ終え外出用の服に着替える。
秋めいてきた季節にちょうどいいカーディガンを羽織れば、玄関から『早くー!』と真人の急かす声が聞こえてきた。
「待って、今行くから」
「やっと来た。へぇ、紫苑って何でも似合うね。着替えてるとこも見たかったな〜」
「一緒だったら絶対邪魔するじゃん……!」
人の着替えなんか見て何が楽しいんだか。
『まぁね〜』と軽口を叩く真人の前をすり抜け外に出る。
秋らしく涼しくなってきた空気に、そろそろ新しい冬服も買おうと思った。
__________
道中、真人にあれこれ質問されながら歩く。
どうやら、真人は本当に生まれてまもないらしく、東京の街並みや電車の乗り換えについて聞いてきた。
「ねぇ、人間が集まってるあれは何?__あ!あっちも気になる!」
「ちょ、ちょっと!落ち着いてってば……迷子になるって!」
呪霊が見えない人達からしたら、僕は虚空に向かって声をかける不審者でしかない。
恥ずかしいけど、真人が暴走しないよう見張るので精一杯なので許してほしい。
生まれてからずっと一人だと言っていたから、人間社会について聞ける相手が出来て嬉しいのかもしれない。
なんて思いつつ、子供のようにはしゃぐ真人を連れていく。
そして、やっと目的地へとたどり着いた。
「__ここは?」
「渋谷だよ、人が多いからはぐれないでね?」
「へぇ、どこも人で溢れてるな〜。
迷子になっちゃうかもしれないからさ、俺と手繋ご♪」
そう言って真人は僕の手を握ってくる。
いつ無為転変されても可笑しくない状況だけど、僕はそっと、その手を握り返した。
「(来年のハロウィンにここで渋谷事変が起こるんだよね……。
その時に、真人は____)」
おかしな話だけど、隣で無邪気に笑う真人がいなくなってしまうと考えたら少し寂しくなった。
真人とは出会ったばかりだし、なんなら居なくなってくれた方が人間の僕としては都合がいいはずなのに。
「(もしかしたら……真人が僕と出会った事で何か変わるかもしれないけど。
どうなるか分からないのに未来を変えてもいいのかな……)」
物思いにふけっていると、心配そうに揺れる青と灰の瞳が覗き込んできた。
「…… 紫苑?どうしたの?」
「ううん、何でもない。行こうか」
自分より一回りも大きいツギハギの手を引いて、僕達は雑踏の中を歩き出した。
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渋谷の洒落た若者が集う服屋に入る。
自動ドアを二人でくぐればすぐに女性の店員が話しかけてきた。
店員と話している間、真人にはアイコンタクトで店内を見てきていいよと伝える。
「あ、この服いいかも!紫苑はどう思う?」
「少し待って、今話してるから……!」
それなのに、わざと邪魔するかのように隣で話しかけてくる。
幸いこの店員は鈍いのか、呪霊である真人の存在には気がついていないようで。
にこにこと愛想のいい笑みを浮かべながら話しかけてきた。
「いらっしゃいませ〜。どのような服をお探しですか?」
「緩めで大きめのサイズの服ってあります?僕が着るんじゃなくて、家族用に買いたいので」
「なるほど、ご家族向けにですか。贈る方の身長などは分かりますか?」
「多分……185cmくらいかなぁ」
ちらりと楽しげに服を選ぶ真人を見て何となくの身長を伝える。
172cmある僕より10cmは高いだろうから少し盛った。
「そのくらいの方ならこちらのサイズが人気ですね」
「分かりました。一人で見て回りますね」
「試着室もご自由にお使いください〜」
サイズも分かったし店員から離れ真人の元に行く。
店内はそこそこ広く、人もまばらだったから真人と話していても問題なさそう。
「もう、人と話してる時に邪魔しないでよ。怪しまれるじゃん」
「えー?どうせ見えてないんだからいいでしょ?それよりさ!試着室行こ」
「はいはい、僕は外で待ってるから」
「えっ、一緒に入らないと怪しまれるくない?」
そうだった、試着室の中に服だけ置いていくのもおかしいし。
僕は仕方なく真人と一緒に試着室へと入った。
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試着室の中は二人で入る分には少し狭く、互いの腕が簡単に当たるくらいには密着していた。
それなのに真人は器用に服を着替えていく。
「ねぇ、この服はどう思う?」
「動きやすそうな服だね。真人にも似合ってるよ」
「じゃあこれにしよーっと!あ、こっちも見てみて!」
服を脱ぐと、目の前に真人の上半身があらわになる。
明るい照明だからかツギハギの青白い肌にたくましい筋肉がよく見えた。
「……どこ見てるの?」
「あ……真人って意外と筋肉あるなって思って」
「へぇ〜そんなに俺の体見てたんだ?そうまじまじと見られたら俺も照れちゃうなぁ」
「ごめん。なるべく見ないようにするね……っ!?」
真人に羞恥心があるのか謎だけど、見ないよう顔を背ければ顎を掴まれた。
そのまま上を向かされれば妖艶に微笑む真人と目が合う。
「いいよ紫苑、俺の体よく見て」
「……あのさ、僕が照れるって分かっててやってるよね?」
「あはっ、バレた?」
そう指摘したらイタズラっ子のように笑い手を離してくれる。
やっぱり密室で2人きりになるのは危険だと思い、さっさと真人に元の服を着せ会計に向かう。
こうして無事服を買った僕らは、また東京の街へと繰り出した。
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