焼却炉

君が静かに眠っている窮屈な箱が小さな灼熱の入口へと消えてった後、出てきたのは燃えカスと少しけむたい匂いだけ。
すごいねぇ、君ってなんにでもなれちゃうんだ。変装上手な君は以前に僕になってみせてくれたね。だから今日は灰になって僕を驚かせてくれたんだ。
それなのに周りの大人達は暗い顔で君を拾って小さな壺に詰め込んだ。それを僕に渡して、かなしそうな顔してた。
みんな、どうしちゃったんだろうね?
僕は不思議に思いながら壺の中の金平糖みたいになっちゃった君を口に含んだ。
もっと甘いと思ってたよ。口の中がパサパサする。喉に引っ付いて目から水が止まらなくなった。
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