おべんとまじっく
なまえへんこう
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「着いたぞ」
「うわ、おっきい」
伏見くんに連れられてお家にやってくる。
確か寮生活って言ってたっけ。
「なんだ、緊張してるのか?」
伏見くんが悪戯っぽく笑いながらそう言ってお家のドアを開ける。
「ただいまー」
「お、お邪魔しま~す……」
伏見くんに招かれるまま玄関を抜けると、奥の方からバタバタと大きな足音がいくつかこちらにすごい勢いで迫ってきた。
「大学の友達が鍵失くしたって言ってなかったか?」
「バカ、お前それだけで家連れてくるワケねーだろ!」
「おおおお、臣クン!!!女の子お持ち帰りしたって本当ッスか!!?」
柄の悪そうな男の子達。
その中から、一番最後から駆け出してきた少し小柄な赤髪の男の子に、
なぜか私は見覚えがあった。
「え、」
私を奮い立たせてくれた。あの一枚の写真。
見間違えるはずもない。あの時のモデルはこの子だ。
「どうした?」
玄関で呆然としている私を伏見くんが不審に思って覗き込む。
「あ、いやすっごく好きな写真のモデルさんだったからびっくりしちゃって」
「モデル?太一がか?」
「んー?俺っち、モデルなんてした覚えないッスけど……」
太一くん、と呼ばれた赤髪の男の子は私の言葉に首を傾げる。
うーん、私の勘違いなのかな。
こんなにソックリな人、他にいないと思うんだけどなあ。
「ま、立ち話もなんだし、とりあえず上がってくれ」
伏見くんに案内されて、談話室のソファーに腰を掛ける。
……なんだか、いろんな人に見られている気がして落ち着かない。
「監督、さっきメールしたけど、一晩こいつ泊めてやってくれないか?」
「うん、わかった。お布団の準備だけ手伝ってもらっていい?」
「わかった。持ってくる」
伏見くんは監督と呼ばれている女の人と軽く話をしてから、談話室から出ていってしまった。
よかった。女の人もいるんだ。
伏見くんの部屋だったらどうしようかと思った。
私がわがまま言える立場ではないにしてもさすがに同じ部屋は緊張してしまう。
「なあ、オネーサンってモデルの佳奈だよな?」
「へ、ああ、そうです」
茶髪の大柄な男の子が、私の隣のソファーに腰かける。
この寮、なんでこんな大柄の男の子ばっかりなの。
「もー万チャン!お姉さん怖がってるッスよ!」
今度は太一くんが反対側座る。
なぜか私は万ちゃん(?)と太一くんに挟まれてしまっている。
「え、いや、あの」
「モデルの佳奈さんが臣とどういう関係?」
「だ、同じ大学で…伏見くんには写真を撮っていただいたりなどしています……」
へーえ、ほーう、なんていいながら目の前の男の子はなにやらにやにやしている。
何この子。とりあえず顔がいい。
「で?太一とも知り合いなの?」
「いや、それはあの、私が一方的に知っている、というか……」
「一方的?」
「ま、まさか、俺っちのファン、とかッスか!?」
私の言葉に太一くんがぐい、と身を乗り出してくる。
「あ、いや……前に雑誌で見た写真のモデルさんにすごく似てて、」
「雑誌?太一が?」
「あの、ヴォルフ、って方、知り合いだったりします?」
私の言葉に2人の目の色が変わる。
え、なんかやばいこと言ったかな今。
「どこでその名前「あ、あー!!!」」
万ちゃん(?)がすこし眉にしわを寄せながら私に問いかけようとしたところを、太一くんの突然の声がかき消した。
「何だよ太一、急に大声出して」
「出たッス!!雑誌!!ちょっと待ってて!」
太一くんはそう言うと、談話室のテレビの下から、雑誌を一冊取り出した。
「あ、それ……」
見間違えるはずもない、私があの日見た雑誌「best shot」だ。
「へへ、やっぱこの雑誌のことだったんッスね!」
太一くんはにこにこ笑いながら雑誌のページを捲る。
「これ、公演前に臣くんと行った海で撮ったんッスよ!
めちゃくちゃいい写真だったから俺っちがちょー推して
臣クンが応募したんッス!」
「え、」
「へえ、いい写真だな」
「万チャンもそう思うッスかー!?
俺、この写真ほんとに好きなんッスよ!めちゃくちゃモテそうッスよね!」
にこにこと笑う太一くん達の声を聞きながら意識が遠のく。
えまって、あの写真を、伏見くんが?
頭がぐるぐる回って追いつかない。
「あれ、オネーサン?」
「わわ!おねえさん!どうしたんッスか?」
私の異変に気付いた2人が心配して声をかけてくれる。
「おい、お前ら、宮下が困ってるだろその辺にしとけー」
「ひ、ふ、伏見くん、」
伏見くんが布団を抱えたまま廊下から顔を出してそう言うと、
また廊下へ戻っていってしまった。
「臣クンが一番困らせてる気がするッス」