Second Week
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「総一郎くんじゃないの、何してんの?サボリ?」
「見回りの帰りでさぁ、
旦那は依頼かなんかですかぃ?」
黒服の男と銀時さんが世間話を始める。
恐らく知り合いなのだろう、
見覚えのあるその制服の男の視界に入らないように急いで銀時さんの背に隠れる。
「あ?何だ急に」
「いえ、なんでもないです」
「なんでもないってお前」
私の突然の動きに銀時さんが不思議そうに私を見る。
なんでもいいから早く帰ってくれないかなこの人。
「沖田さんお疲れ様です。
酒屋のおじさんの依頼の帰りなんですよ。」
「おい、お前のサドサドしい目のせいではるが怯えてるアル!
消えろ腐れサド野郎」
「あぁ?はるって誰でぃ」
神楽ちゃんの言葉に、目の前の沖田さん?が銀時さんの背に隠れた私の方を見る。
が、私は急いで銀時さんの背に顔を押し付けて俯く。
「俺、そんな見た目怖いかねぇ」
「そんな厳つい制服に刀ぶら下げてたら顔関係なく怖ぇだろ」
「へーえ、俺、女子供にも人気ある方だと思ってたんですがねぇ」
「冗談も休み休み言えヨサド」
私が力を込めて銀時さんにしがみつくものだから、
本当に怯えていると思ったようで、銀時さんはさりげなく
私の手を握ってくれた。
「それで?用がないなら俺の嫁が怯えてるから行くぞ」
「へえ?旦那、いつの間に嫁もらったんですかぃ」
「お前の知らない間にだよ。で、用がないなら本当に行くぞ」
「ああ、そうそう、旦那に頼みたいことがあるんでさぁ」
「はあ?」
彼の話はこうだった。
なんでも、将軍が城下に視察に来るらしく、
その護衛を万屋に依頼したい、とのことだった。
「そんなことお前らでやれヨ、税金泥棒」
「税金払ってない奴は黙ってろぃ」
「でも本当にそんな最重要任務、真選組でやったほうがいいんじゃないんですか?」
「そらあごもっともな指摘だがね、
生憎今ウチは別件で猫の手も借りたい状況なんでさぁ」
「せっかくのお声がけだが、将軍関係はもうこりごりなんでね、
別の奴にでも頼んでぐれや、はるいくぞ」
銀時さんはあっさりそう言うと、
小声で私に声をかけてから、沖田さんと呼ばれる男の脇を通り過ぎる。
万屋ってわりにこの人すぐ依頼断るなあ。
まあ毎回その判断は間違ってないような気もするけど。
「おや、いいんですかぃ、新八君。お姉さん困ってましたけど」
「え?……あ、」
男の呼びかけに、新八君は少し考えてから、
何か思い出したような顔をして思い切り顔をしかめた。
「銀さんごめんなさい、これ絶対受けなきゃいけないヤツです」
「あ?」
「先日、近藤さんが姉上に似たようなこと言ってたんですよ
受けてくれれば先一か月は志村家に立ち入らないって約束付きで」
「うちの大将がいつもお世話になってまさぁ」
新八君のお姉さんって、お妙さんのことだよね?
私もこの前お世話になったけど、
話を聞く限り真選組の組長さんと何か関係があるのかな
「なるほど、メスゴリラお墨付きってわけか」
「その時は僕もその場しのぎの冗談か何かだと思って流してたんですけど」
「依頼、受けていただけますかね。姉御のためにも」
「はあ、お前らそれ裁判ならこっちが勝つからな」
銀時さんがため息を付いた。
どうやら沖田さんの依頼を受けることにしたらしい。
「詳しくはまた連絡します」
「おう、来なくてもいいぞ」
それから少し話をして、銀時さんは今度こそ帰るために足を進めた。
「そうだ、よかったら奥さんもぜひ一緒にお越しください」
「!?」
自分に声をかけられたことに驚いて、思わず振り返る。
背後に立つ男とばっちりと目が合ってしまう。
なんで急に私を?頭だけがぐるぐると回る。
「ご遠慮しますわ、旦那が腹を空かせて帰ってきますから」
にこりと笑って踵を返す。
動揺を見せるわけにはいかない。
「……?」
すぐそばで、銀時さんが少し考え込む素振りをしていたことには、
その時わたしは気づくことが出来なかった。