Second Week
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半壊の万屋に唖然と立ち尽くしていたが、
「っ、銀時さん、神楽ちゃん」
一日万屋にいるはずの2人のことを思い出して、急いで階段を駆け上がる。
「銀時さん!」
玄関の前で立ち止まって、今度は大きな声で呼びかける。
「おいてめえ、これどうしてくれるんだ?あ?」
「おおう金時!久しぶりじゃのう!元気にしとるか?」
「そんな話してねえんだっての……!!」
玄関からリビングまでの廊下はなんとか無事そうなので、
慎重に奥まで進むと、銀時さんが何やら見知らぬ男性の胸倉をつかみながら怒鳴っていた。
「あれ、お知り合い、ですか?」
あれからしばらくして、
青天井の万屋ではなぜか風流にも月見酒が行われていた。
なんだかよくわからないけど慣れっこな神楽ちゃんは買ってきた夕食を一通り口に放り込んでから何事もなかったかのように眠りについてしまった。
「で、金時、このお嬢さんはどないしたんじゃ」
宇宙船でぜき突してきた張本人の坂本さんと名乗る男の人は、
台所に置いてあるお酒を見るなり、そのまま宴会を始めてしまった。
なんだろう、どこかで聞いたことのある声な気がするのは気のせいなのかな。
「あ?あー……嫁」
どうや銀時さんの昔からの知り合いらしい坂本さんからの質問に、銀時さんは少し考えるような素振りをしてからそう答えた。
「おう!金時、ついに嫁さんもろうたんか!」
「あ、いや」
興奮した銀時さんに詰め寄る坂本さんを制止しようと近付くも、異様な勢いに押されて言葉を失ってしまう。
なんだか、銀時さんの知り合いはなんというか力強い人が多い気がする。
「美人な嫁さんじゃのう!金時のくせに!」
坂本さんはそういってがははと笑うと、またお酒を飲みほした。
ああ、その日本酒、高かったのに。
「というか、お前人の家ぶっ壊したの分かってるの?
何のんきに酒までいただいちゃってるの?」
やいのやいのと銀時さんに絡む坂本さんを押しのけながら銀時さんがそう言った。
いや、なんだかんだ銀時さんもさっきまで楽しく酒盛りしてたよね?私の買ってきたお酒で。……まあ、別にいいんだけど。
「心配せんでええ!明日の昼には元通りじゃけえ!
ちゃあんと手配済みじゃ!」
えっへんと胸を張る坂本さん。
工事業者を手配してくれたってことなのかな。
正直、そのスピードがあるなら激突しないで欲しかったけど、っていうツッコミはしちゃだめそう。
「金時が結婚なんてなあ!こりゃあめでたい!!
今夜は飲むしかないのう!なあ金時!!」
私と銀時さんの冷ややかな視線もなんのその。
坂本さんはそう言って新しい瓶に手をかける。
あれ、これもしかして新しくお酒買ってきた方がいい感じかな。
銀時さんの方をちらりと見ると、彼も同じことを思っていたのか
銀時さんと目が合って、そのまま頷かれる。
嫌そうな顔をしつつも、久しぶりの知り合いに会えたんだからいっぱい話がしたいんだろう。
そう思って、私は盛り上がっている2人の脇をそっと通り抜けてコンビニに向かった。
「で?わざわざアイツに外させてまでなんの用だよ」
「人聞きの悪いこと言うなて、たまたまじゃ、たまたま!」
「ふーん?」
「……ええ嫁さんもろたのう」
「まあな」
「お前さん、なんにも聞いてないんか?」
「自分は知ってるって口ぶりだな」
「いんや、お前よりは知ってるぐらいじゃ」
「あっそう」
「なんじゃあ、聞かんのか」
「あいつから聞けってことだろ……ったく、
やっぱりワケアリじゃねえか」
「お前は、あの子が何モンでも、嫁って言えるか?」
「なんだそれ」
「いんや、なんでもなか」