Second Week
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GINTOKIside
トントンと小さく鳴る、包丁の音で目が覚める。
「今日、魚か」
体を起こして、ぼんやりとした頭で呟く。
襖の奥からふんわりと香る、魚の香ばしい匂いと、
暖かい味噌の香り。
アイツ、はるが来てからというもの朝食の匂いと音で起きることが多くなった。
「そこまでやらなくていいっつってんのに」
アイツは、報酬も支払い済みの立派な依頼主。
言い方を変えれば金払いの良いお客様だというのに、
こんなことしかできませんから、とこうして家事を勝手出る。
「銀時さん、おはようございます。
ごはん大盛でいいですか?」
「おー」
襖を開けると、エプロンをしたままのはるが
朝食の準備を進めているところだった。
机の上には、焼き魚に、ほうれん草のお浸しと、だし巻き卵が並んでいる。
俺の茶碗に白米を盛っている彼女は、
今、お味噌汁温めますね、なんて横目で言ってくる。
正直、ありがたいといえばありがたい。
はるの作る飯はうまいし、毎朝起きたら温かい味噌汁が出てくるなんて、幸せだと、思う。
「慣れるわけにも、いかねえんだよなぁ」
「ん?銀時さん、何か言いました?」
ふと隣をみると、
両手に味噌汁とご飯を持ったはるが立っていた。
「今日の出汁巻、自信作なんですよ」
そう言って彼女は鼻歌を歌いながらどこかへ行ってしまう。
恐らく神楽を起こしに行ったのだろう。
「おはようございまーす!
あ、銀さん、今朝はもう起きてたんですね」
神楽をたたき起こして、やっと食事だという頃に新八がやってくる。
最近では新八もここで朝食を食べるようになった。
神楽が起きる時間を狙ってわざわざ来るのが何よりの証拠だ。
「銀時さん、ご飯おかわりありますからね」
4人そろって食事をしていると、はるはそう言って俺の隣で微笑んだ。
「あーーなんか、俺だめかも」
「?どうしたんですか?お腹痛いです?」
「……べっつにー?」
「ん?」
違和感に気付いたのは、はるが万屋に来て、一週間ほどたった頃だった。
「銀時さん、どうかしました?」
「お前、これどういうことだ」
はるがいつも買い出しの時に持ち歩いているがま口を見せると、
彼女はわかりやすく視線をそらす。
「え、えーと」
「なんで月初に俺が渡した食費が増えてるんだ?
上手だな?ん?」
「か、株で儲けまして……」
「嘘つくにしてももうちょっと頭使えよ」
「……皆においしいもの食べてほしくて」
はるがぽつりとつぶやいた。
きっと、俺の渡した食費を使うのが忍びなかった彼女は、
俺たち3人分の食費も自腹で払っていたのだろう。
報酬も、はるの生活費も別でもらっているというのに、
更にそれ以上してもらう必要がない。
「んなことしなくても、お前の飯はうまいよ」
「へ、」
「だから、んないらねえ気を使うんじゃねえ、わかったな?」
「い、いらないってなんですか!」
「お前に養って貰わなくても生活ぐらいできるって言ってんの」
「新八君の給料未払いのくせに」
はるがぽつりとつぶやく。
「な、それとこれとは関係ねえだろ!」
「大ありでしょ!ちなみに、銀時さんが毎晩楽しみにしてる晩酌のお酒!あれも私が勝手にこっそり買ったヤツなんで今後は飲まないでくださいね!」
「はあ?俺の家にあるものは俺のものだ!」
「ならガタガタ文句言わないでくださいよ!」
売り言葉に買い言葉。
お互いがお互いのことを想ってのことだって
分かり切っているのに口論になってしまう。
「とにかく!家に金入れるのは旦那の仕事だから!
お前はそんなこと気にしなくていいの!」
「そんな立派なセリフはちゃんと稼いでから言ってもらっていいですか!!」
「ばっ、…………そんなことねえし」
はるの言葉が残念ながらど正論で、反論が出来なくなってしまう。
畜生、クソダサい。
「ぷ、」
俺の言葉に、突然はるが噴出した。
「あははははは、2人してバカみたい!」
初めて見る、顔だった。
気を遣って微笑んだり、張り付けたようににこにこする奴ではあったけど。
「なんか、初めて笑ったな」
「え、私ってそんなに鉄仮面でした?」
「いや、そういうわけじゃねえけど、」
「けど?」
「いいな、嫁の顔になった気がする」
「な、なに、言ってるんですか……」
はるの言葉は段々尻すぼみになって、
最後の方は、ほとんど聞こえない。
言葉なんて聞こえなくても逸らした顔が、赤く染まっている。
それだけで充分だ。
「あ、あともう一つだけ言っておくがな」
「はい、」
「俺は、卵焼きは甘いヤツが好きだ。」
そう言うと、はるはまた、大きく吹き出してしまった。
トントンと小さく鳴る、包丁の音で目が覚める。
「今日、魚か」
体を起こして、ぼんやりとした頭で呟く。
襖の奥からふんわりと香る、魚の香ばしい匂いと、
暖かい味噌の香り。
アイツ、はるが来てからというもの朝食の匂いと音で起きることが多くなった。
「そこまでやらなくていいっつってんのに」
アイツは、報酬も支払い済みの立派な依頼主。
言い方を変えれば金払いの良いお客様だというのに、
こんなことしかできませんから、とこうして家事を勝手出る。
「銀時さん、おはようございます。
ごはん大盛でいいですか?」
「おー」
襖を開けると、エプロンをしたままのはるが
朝食の準備を進めているところだった。
机の上には、焼き魚に、ほうれん草のお浸しと、だし巻き卵が並んでいる。
俺の茶碗に白米を盛っている彼女は、
今、お味噌汁温めますね、なんて横目で言ってくる。
正直、ありがたいといえばありがたい。
はるの作る飯はうまいし、毎朝起きたら温かい味噌汁が出てくるなんて、幸せだと、思う。
「慣れるわけにも、いかねえんだよなぁ」
「ん?銀時さん、何か言いました?」
ふと隣をみると、
両手に味噌汁とご飯を持ったはるが立っていた。
「今日の出汁巻、自信作なんですよ」
そう言って彼女は鼻歌を歌いながらどこかへ行ってしまう。
恐らく神楽を起こしに行ったのだろう。
「おはようございまーす!
あ、銀さん、今朝はもう起きてたんですね」
神楽をたたき起こして、やっと食事だという頃に新八がやってくる。
最近では新八もここで朝食を食べるようになった。
神楽が起きる時間を狙ってわざわざ来るのが何よりの証拠だ。
「銀時さん、ご飯おかわりありますからね」
4人そろって食事をしていると、はるはそう言って俺の隣で微笑んだ。
「あーーなんか、俺だめかも」
「?どうしたんですか?お腹痛いです?」
「……べっつにー?」
「ん?」
違和感に気付いたのは、はるが万屋に来て、一週間ほどたった頃だった。
「銀時さん、どうかしました?」
「お前、これどういうことだ」
はるがいつも買い出しの時に持ち歩いているがま口を見せると、
彼女はわかりやすく視線をそらす。
「え、えーと」
「なんで月初に俺が渡した食費が増えてるんだ?
上手だな?ん?」
「か、株で儲けまして……」
「嘘つくにしてももうちょっと頭使えよ」
「……皆においしいもの食べてほしくて」
はるがぽつりとつぶやいた。
きっと、俺の渡した食費を使うのが忍びなかった彼女は、
俺たち3人分の食費も自腹で払っていたのだろう。
報酬も、はるの生活費も別でもらっているというのに、
更にそれ以上してもらう必要がない。
「んなことしなくても、お前の飯はうまいよ」
「へ、」
「だから、んないらねえ気を使うんじゃねえ、わかったな?」
「い、いらないってなんですか!」
「お前に養って貰わなくても生活ぐらいできるって言ってんの」
「新八君の給料未払いのくせに」
はるがぽつりとつぶやく。
「な、それとこれとは関係ねえだろ!」
「大ありでしょ!ちなみに、銀時さんが毎晩楽しみにしてる晩酌のお酒!あれも私が勝手にこっそり買ったヤツなんで今後は飲まないでくださいね!」
「はあ?俺の家にあるものは俺のものだ!」
「ならガタガタ文句言わないでくださいよ!」
売り言葉に買い言葉。
お互いがお互いのことを想ってのことだって
分かり切っているのに口論になってしまう。
「とにかく!家に金入れるのは旦那の仕事だから!
お前はそんなこと気にしなくていいの!」
「そんな立派なセリフはちゃんと稼いでから言ってもらっていいですか!!」
「ばっ、…………そんなことねえし」
はるの言葉が残念ながらど正論で、反論が出来なくなってしまう。
畜生、クソダサい。
「ぷ、」
俺の言葉に、突然はるが噴出した。
「あははははは、2人してバカみたい!」
初めて見る、顔だった。
気を遣って微笑んだり、張り付けたようににこにこする奴ではあったけど。
「なんか、初めて笑ったな」
「え、私ってそんなに鉄仮面でした?」
「いや、そういうわけじゃねえけど、」
「けど?」
「いいな、嫁の顔になった気がする」
「な、なに、言ってるんですか……」
はるの言葉は段々尻すぼみになって、
最後の方は、ほとんど聞こえない。
言葉なんて聞こえなくても逸らした顔が、赤く染まっている。
それだけで充分だ。
「あ、あともう一つだけ言っておくがな」
「はい、」
「俺は、卵焼きは甘いヤツが好きだ。」
そう言うと、はるはまた、大きく吹き出してしまった。