Second Week
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「ぽっと出のメス豚が何様のつもりなの!?」
「は、はあ」
派手な長い髪に露出の高い服に眼鏡。
なんというか、盛り沢山のその人は万屋の天井から
いきなり姿を現した……の前の女性は私の目の前に仁王立ちしながら威圧的にそう言った。
「な、なんなのその態度!」
「あ、銀時さんの彼女さんとかですか?」
「はる、なんだお前うるせえな」
「ああ、銀時さん、おはようございます」
目の前の女性への対応を図りかねていると、
銀時さんが寝室から顔を出す。
おはよう、といいつつもうお昼なんだけどな。
「あら銀さん!んもう、寝起きもセクシーね!」
「"n"、メシできてる?」
「え、銀時さんが起きるの遅いので朝ごはんは食べちゃいましたけど」
「はあ~残しとけよ」
「食べちゃったんですもん、神楽ちゃんが。
おなかすいてるならお昼ご飯にしましょうか?」
「頼むわ。親子丼で」
銀時さんが完全に目の前の怪しい女性を無視して話しかけてくるもんだから咄嗟に答える。
はいはい、親子丼ね。鶏肉残ってたかな……
「ちょっと!なに無視してんのよ!」
キッチンに向かおうとしたところを、また女の人に塞がれる。
「あの、銀時さん、彼女さんいらっしゃってますよ」
「や、やだ、彼女だなんて、アナタ分かってるじゃない」
目の前の女性が照れたように体をくねらせる。
なんか、セクシーな人だなあ。
と、いうか銀時さん彼女いたんだ。
「はあ?彼女って誰だよ」
「え、」
「えっ」
銀時さんの言葉に、私は彼女さん(?)と同時に振り返る。
「彼女さんじゃないんですか」
「お前がいるのに彼女なんているわけねーだろ」
いいから早く飯作れよ、なんて銀時さんはテレビを見ながら呆れたように言う。
「え、じゃあどちらさんなんですか?」
「ん?ストーカー」
「すとーかー」
銀時さんがさも当然のようにそう言うから、思わずそのまま繰り返してしまう。
「ストーカー!?私は銀さんのことをいつも見守っているだけよ!」
「それをストーカーって言うんだろ」
ストーカーが家に来てるって結構非常事態なんじゃないんだろうか。銀時さんはいつも通りのまま飯まだー、なんて聞いて来る。
いや、親子丼はもうできるけどさ。
「あの、もうご飯できますけど、
ストーカーさん?も召し上がりますか?」
「はあ?私は猿飛あやめ!
メス豚のくせに調子乗った呼び方してるんじゃないわよ!
少なめでください!」
「おい、はるこいつにそんな構わなくていいぞ」
といっても明らかに銀時さんの知り合いなわけで。
「でも、お知り合いなんですよね?」
銀時さんと猿飛さんの分の親子丼をリビングに運ぶ。
卵がいい感じで自信作かもしれない。
「で、お前何?昼飯食いにうちにきたの?」
銀時さんが正面のソファに腰かける猿飛さんにまた声をかける。
本当に、どういう関係なんだろう。
「そうよ!
仕事のついでに寄ってみたら変な女が居座ってるから!
銀さんてば浮気するなんて……燃えちゃうじゃない……!」
「やっぱ彼女さんなんです?」
「ほんとに悪質なストーカーなだけだから相手にすんな」
銀時さんは目の前で顔を赤らめる猿飛さんに目もくれずどんぶりと平らげると、おかわり、と空のどんぶりを差し出してきた。
「でも仲よさそうに見えますけど」
「じゃあそういうタイプのストーカーだよ」
「聞いたことないですけど、そんなの」
「よかったな、一つ賢くなれたぞ」
「なんか、馬鹿にしてます?」
銀時さんに言われた通り、おかわりを手渡しながらそう言った。
本当は私の分のつもりだったけど、後で作り直せばいいよね。
「まあ、今日はこの辺にしておいてあげるわ。仕事も済んだし」
猿飛さんがそう言って立ち上がった。
しれっと親子丼は完食している。お口に合ったようで何よりだ。
「仕事?」
「いえ、なんでもないわ。こちらの話」
猿飛さんは小さな声でそう言ってから、ごちそうさま、と言い残して
一瞬で姿を消した。
「あれ、」
「帰ったんだろ。あいつも色々忙しいからな」
ちょっとした瞬間移動なんだけど。
銀時さんはそれすらも慣れているようで完食した二杯目のどんぶりを片づけるために台所に向かっていた。
「もしかして、お仕事関係の人ですか?」
「むしろそれ以外に何だと思ってたんだよ」
「銀時さんの爛れた女性関係の被害者」
「馬鹿か、お前がいるんだからそんなことあるわけねえだろ」
そう言って銀時さんは私の頭をぐしゃぐしゃとかき回す。
別に、一か月だけの関係だし。急に押し掛けたわけだし。
「私は別に気にしませんよ」
「そういうのは、もうちょっと上手に嘘つけるようになってからにしろ」
「え、」
「心底不安です、みたいな顔しやがって」
銀時さんの言葉に驚く。
「え、そんな顔してました?」
「無意識かよ」
たしかに、銀時さんに女の人がいるのであれば、
私は万屋にいるわけにはいかないから、また野宿かなとは思ってたけど、
不安、だったんだろうか。
たしかに万屋は居心地がいい。いやになるくらいに。
「まあ安心しろよ受けた依頼は確実にこなすからよ」
「そうですね、ありがとうございます」
そう言って、銀時さんに笑いかける。
頬がひきつって、動きが硬くなった気がしたのは、気のせいだろう。
「ええ、おそらく。ようやく見つけたわ」