Second Week
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翌週、万屋の3人は沖田さんからの依頼のため朝から外出することになった。
「お前、ほんとにいかねえの?」
「やだなあ、そんな危なそうな依頼行くわけないじゃないですか」
「ふうん、」
「晩御飯のリクエスト受け付けますよ」
「私、サーロインステーキがいいアル!」
「ふざけんな大食い娘」
「サーロインステーキね、了解!」
「おい、贅沢させるなって」
「ちょっと銀さん、遅れちゃいますよ!」
「いってらっしゃーい!」
がやがや言い合いながら万屋を後にする3人を見えなくなるまで見送る。
「掃除でもしよかな」
周囲を見渡すと、服や食器が散乱しているリビングが目に入る。
どこまで動かしていいのかもちょっとわからないけど、
「ま、片づけるぐらいいいでしょ」
とりあえず床に散乱している衣服を集めて、
最後の一枚をたたみ終わったその時だった。
「よう、暇そうですねぃ」
「え、っと不法侵入、ですかね」
なぜか玄関には私服の着流しを着た沖田さんがいた。
「おいおい、旦那の留守が心配で見に来てやったってのに、
その言い草はねえだろ」
「というか、将軍の警護はどうしたんですか?」
「それより優先事項があったんでねえ」
「はあ、」
仕事放り出して何しに来たんだろう、この人。
「アンタ、今暇だろ」
「見て分かりません?絶賛掃除中なんですけど」
「おら、出るから準備しろ」
「え、」
沖田さんはそう言うとどこから出したのか、
非常に派手な着物を私に渡してくる。
白地に金の刺繍。こんなの一般市民は着ないでしょ。
「いらないですし、そもそも出かけないですし」
「まあまあ、そう言わずに団子くらいなら奢りますんで」
だめだ、この人全然話聞いてない
「はあ、着替えるので少し待っててください」
私は観念して外出の準備をする。
「おい、これ忘れてますぜ」
「そんな極妻みたいな着物は着ません」
「おばちゃん、とりあえず適当に5本もらえやすか?」
沖田さんに半ば強制的に連れてこられた甘味処。
お団子の香ばしい匂いが鼻に広がる。
「で、何が目的なんですか?」
私は沖田さんの方を睨み付けながら尋ねる。
「まあまあそんな怖い顔しなさんな、
ほら、とりあえず団子でも食いなせえ」
「私、しょうゆ団子がいい」
「チッ、先に言えっての」
出された三色団子を手に取りながらそうつぶやくと、
沖田さんは少しため息を付いてから甘味処のおかみさんに再度注文をする。
まあ、別になんでもよかったんだけど。
案外沖田さんが私のわがままに付き合ってくれることに少し驚きながら、私は先に出された三色団子を口に頬張る。
「わ、おいしい」
「だろ?」
沖田さんがちょっと誇らしげに笑った。
ああ、なんかそう言う顔してると、
「笑ってると年相応ですね」
いけない、声に出てた。
私の声に沖田さんが目を見開いて黙る。
「その顔、めちゃくちゃ間抜けですね」
「うるせえや」
ちょっとばつが悪そうに視線を外す沖田さんがちょっと意外で、
思わず笑ってしまう。
ピピピピ
「あ、もしもし?ああ、土方さん、どうしたんですかぃ?」
ふと、沖田さんの胸元にあった携帯が鳴る。
どうしたんだろ。
「うるせえな、こっちだって色々あるんでさあ
……へいへい、わかりました。……しね土方」
沖田さんが涼しい顔のまま通話を切る。
え、今なんかとんでもないこと言わなかった?
「すいやせん、サボリが上司にバレました」
「やっぱりサボリだったんですね」
本当にこの人は何しに来たんだろう。
ふと思ったその時だった。
今度は私の携帯が鳴る。
銀時さんから依頼を終えたという旨の連絡だった。
「あ、やばい晩御飯」
「旦那、もう戻るって?」
「え、ああ、いま終わったって連絡がありまして」
「じゃ、俺も仕事に戻ることにしますかねぃ」
「え、」
沖田さんは私のその返事を待っていたかのように精算を済ませる。
ん?この人、もしかして……
「万屋まで送りまさぁ」
「え、ああ、どうも……」
その後、沖田さんは一言も喋ることなく万屋までの道のりをただ歩き続けた。