First Week
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息が上がる。
追っ手に怯えながら、どこまで逃げなくちゃいけないんだろう。
「おなかすいたなあ」
もう二日は何も食べてない気がする。
お金がないわけじゃないんだけど、人前で食事をする気にもなれずなんやかんやしてたら二日も経ってしまっている。
疲れ切った足は鉛のように重く、もう持ちあげることすらできない。
う
「いっそ、このまま死んでしまえたら楽なんだけどなあ」
ぽつりと本音がこぼれる。
なんて、死ぬ勇気もないからこうやって逃げ出してるわけなんだけど。足が重い、体も思うように動かないし、頭もうまく回らない。
ああ、もう限界だ。
「たまごかけごはんが食べたかった……!」
私はそこで意識を手放した。
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「ちょっと銀さん!?なんなんですかあの女性!!」
「銀ちゃんついに誘拐してきたアルか」
「うっせーな道の真ん中で倒れてたから背負ってきたんだよ!
ていうか神楽ァ!お前ついにってなんだついにって!」
「いつかはやりかねん男だとは思ってたネ」
「ッシャいい度胸だ表出やがれ!」
ん?なんだか賑やかな声が聞こえる。
と、いうか私何してるんだろ、ああそっか、倒れちゃったんだっけ。
あれ、此処どこだ。
ゆっくりと目を開けると、そこには古びた木製の天井。
ああ、誰か運んでくれたのか、そうか、運んで……
運んで!?
一気に頭が覚醒する。
ゆっくりと体を起こして立ち上がる。
体は縛られていないし、普通の布団で寝かされているようだ。
周囲を見渡してみても特に変わったものはない。
普通の民家か……?
親切で拾っていただいたのであれば大変申し訳のないお話だが、
あまり人前に顔を出したくはない。
どうやら話込んでいるようなので、今のうちに退散させてもらうことにしよう。
懐から札束を一つ取り出して枕元に置いてから、
奥の部屋の様子を確認しようと屈んで襖に手をかけたその時だった。
「あーもう二人とも!そんな大声出したら起きちゃいますって!!!!」
「うわ、」
突然の大声に驚いて思わず手が滑ってしまう。
想像よりも遥かに大きな音を立てて勢いよく開いた襖の先には、
家主と思われる3人がこちらを見ていた。
「新八が大きい声出すから起きちゃったアル」
「え、ぼくのせい?」
「えーっと、おはようございます?」
この状態で逃げることはもう不可能だろう。
諦めたように目の前の三人に向き合った。
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