切望的進化論
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「こんにちは!ぼたんさん、ですか?」
今日も変わらずにポアロのカウンターでコーヒーを飲むぼたんちゃんに光彦が話しかける。
「こんにちは、そういうあなたはどちら様?」
ぼたんちゃんはにこりと笑ってから、
光彦に隣に座るように促した。
「あ、僕円谷光彦って言います!」
「そう、コナン君のお友達?」
ぼたんちゃんは、カウンターと離れたテーブル席に座る俺のことをちらりと一瞥してから光彦にそう尋ねる。
さっすが、一瞬でバレてらあ。
「そうですけど、どうしてそれを?」
「うふふ、どうしてでしょう」
「実はコナン君から事前に聞いていたんですね!」
「そうかもね?」
「あの、僕たち、ぼたんさんとお話がしてみたくって!
よかったらあっちのテーブルで一緒にお茶しませんか?」
「あらまあ、こんなかわいいナンパは初めてかも」
「な、ナンパなんて!そんな……」
光彦が顔を真っ赤にしてたじろぐ。
あれはいいようにからかわれてるなあ。
「うふふふ、いいよ。このコーヒーだけ飲み終わったら
そちらにお邪魔してもいいかな?」
「!は、はい!」
「ぼたんさん、来てくれるみたいです!」
ぼたんちゃんの返事を聞いてから、光彦が俺たちのもとへ戻ってくる。
知ってるよ。全部聞こえてたから。
「に、してもなんでまた急に」
今日、学校に行くと急に元太と光彦に
"ぼたんちゃんに会わせてくれ"とせがませて仕方なく学校終わりにポアロへ向かったのだった。
「あのね、歩美がお話したの!
ポアロに不思議なお姉さんがいるーって!」
歩美ちゃんはにこにこと笑いながらそう言った。
そう、歩美ちゃんとぼたんちゃんが知り合いなことには驚いた。
知り合い、と言ってもポアロで少し話をした程度の間柄らしいが。
「不思議なおねえさん、ねえ」
「あ、ぼたんさん!」
歩美ちゃんの言葉に合わせて、ぼたんちゃんが後ろからひょっこりと顔を出す。
「もうコーヒーはいいの?」
「うん、今おかわりお願いしているところ」
ぼたんちゃんはそう言って俺の隣のソファに腰かけた。
「こんにちは、佐藤 ぼたんです」
ぼたんちゃんはにこりと笑ってから軽く頭を下げた。
「なんだよ歩美、普通の子供じゃんか」
ぼたんちゃんを一目見る度、元太は歩美に不満そうにそう言った。
「ちょっと元太君!」
「えー?私、なんか噂されてたの?」
元太の言葉に特に表情を歪めることもなく、
にやにやと楽しそうに元太に問い返す。
「なんか、歩美もコナンもすっげえお姉さん、って言うから
もっと大人の女なのかと思ってたのによ!」
元太の言葉にぼたんちゃんはまたくすくすと笑いだした。
「あらら、期待外れでごめんね?」
そう言うとぼたんちゃんは、
安室さんが運んできたお代わりのコーヒーを少しだけ飲む。
「ごめんなさいね、勝手に動いちゃって、席」
「こちらで直しておくので大丈夫ですよ」
「流石安室さん、ありがとう」
一言声をかけてから、厨房に戻る安室さんに彼女はひらひらと手を
振る。
「にしても、コナンも灰原もその真っ黒いのよく飲めるなあ」
元太が運ばれてきたコーヒーカップの中身を覗き込みながらそう言った。
「そうなの。大人の味だからね。」
ふふん、とぼたんちゃんは少しだけ誇らしげにそう言った。
こういうときは年相応に見えるんだけどな。
「あ!そうだ!」
その後も、ぼたんちゃんと一緒にのんびり話をしていたころ、
急に歩美ちゃんが何かを思い出したかのように声を上げた。
「この前、水族館のチケットもらってね、
誰かと行きたいなあって思ってたんだけど、
期限もそろそろ終わっちゃうから皆で一緒に行かない?」
ぼたんちゃんも、どうかな?
なんて誘う歩美ちゃんに皆が視線を向ける。
期限は今週の日曜日まで。
俺も特に予定はなかったので、了承する。
「うーん、私も特に予定はないしぜひ行きたいんだけど」
電車では行きづらい場所だなあ、とぼたんちゃんは苦笑い。
流石に博士のビートルに7人乗るのは厳しいものがあるだろう。
「やっぱり私、遠慮しておこうかな、
皆で楽しんできて」
ぼたんちゃんが遠慮がちに笑ったその時。
「おや、僕でよかったらお供しますよ
もう一台車があればいいんですよね?」
他のテーブルの食器を片付けていた安室さんが急に会話に加わってきた。
「え、」
「安室さん、それ本当!!?」
何か驚いているぼたんちゃんとは対照的に、目を輝かせている歩美ちゃん。
「安室さん、お仕事大丈夫なの」
「うん、その日はたまたまお休みなんだ」
俺が小さく尋ねてみても、そう言ってパチりとウィンクをしてくる安室さん。この人、なぜかノリノリである。