切望的進化論
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「やだ、ぼたんちゃんかわいい!」
「足も腕も細長いからなんでも似合うわねー」
ある日の週末の昼下がり、
俺はなぜか蘭と園子と、それからぼたんちゃんと一緒にショッピングをしている。
なぜこんな展開になっているか。
先週、蘭が部活の合宿で家を空けていたため、
おっちゃんと二人でポアロで夕食を済まそうとしたときのことだ。
時刻は19時。日もすっかり沈んで、俺たちのように夕食をとりにきた客や、仕事の合間に軽食をつまみに来た刑事などで賑わっていた。
朝のゆったりとした雰囲気とは異なった少し賑やかなこの喫茶店。
そこで彼女は一人、いつもと変わらずコーヒーを楽しんでいた。
「あ、コナン君」
いつものようにカウンターの隅に座っていたぼたんちゃんは、
俺の姿を見かけると、コーヒーカップをテーブルに置いて
なぜだかこちらに歩み寄ってくる。
「こんばんわ、ぼたんちゃんこんな時間に珍しいね」
「うん、迎えが今日は遅くって
それより、コナン君にお願いがあるの!」
「おねがい?」
「で、なんでこうなるかねえ」
キャッキャと盛り上がる女三人を横目に、俺はポツリと愚痴る。
【女子高生とお買い物したい】
彼女は、若干いいづらそうに、俺にそう告げてきた。
恥ずかしそうに目をそらしながら言ったぼたんちゃんが、なんだかいつもと違って年相応に見えて、少し笑ってしまった事を覚えている。
「ねえ、コナン君みてみて!ぼたんちゃん、かわいいでしょ?」
蘭が楽しそうに俺に声をかけてくる。
白のブラウスに、濃いピンク色のタイトスカートに身を包んだぼたんちゃん。
大人っぽいシルエットだが、ピンクがほどよくかわいさを見せてくれている。
「うん、よく似合ってると思うよ」
こういう時の女性はとりあえず褒めろ、なんて母さんによく言われたものではあるが、お世辞なしにしても似合っている、と思う。
すらっと長い手足に、綺麗な顔立ちをしている彼女は、
正直何を着せても着こなしてしまう。
そのせいでさっきからこの二人の着せ替え人形になってしまっている。
「ちょっと蘭、こっちのスカートもかわいいわよ!」
「え、そのスカートなら、こっちのシャツの方がよくない?」
……これは長くなりそうだ。
「ねえ、僕ちょっと「コナン君は!どっちがいいと思う!?」」
そのあたりの本屋でも巡ってこようと思ったが、
必死な顔をしているぼたんちゃんに呼び止められる。
「なになに?ガキんちょの意見が気になるの~?」
「うふふ、ぼたんちゃんかわいい!」
ぼたんちゃんの言葉に、蘭と園子は何やらにやにやと笑っている。
が、この顔は絶対そういうことじゃない気がする。
頼むから一人にしないでくれ、
言葉にはしないものの、彼女の瞳からはその強い念をひしひしと感じる。
買い物自体には乗り気であった彼女も、
この二人の勢いにはついていけないようだった。
「はあ、しょうがないなあ」
ため息を付いてから、三人の元へ戻ると、
ぼたんちゃんは安心した様にわかりやすく息を吐いた。
その後結局、二人に勧められた服を
ぼたんちゃんは片っ端からクレジットカードで購入していた。
「そんなに買って大丈夫なの?」
「平気、私のカードじゃないから」
「へ、へえ……」
俺の心配に、彼女は表情も変えずにそう言った。
なんというか、気になることはいっぱいあるが、
聞かない方がいい気がする。