ピーチタルトと真実
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「…………」
「………あの、薫さん」
「は、はい!!」
私の裏返った声に、透さんが思わず苦笑する。
ごめんなさい、そんな顔をさせたいわけじゃないんだけど。
気まずすぎてどう接すればいいのか分からない。
そんな私を見ながら、新一はまたケラケラと笑い転げている。
本当になんなんだこいつ。
「あなたが気にすることは、ないんですよ」
透さんは、私から少し距離を置いてから、優しく微笑んでそう言った。
そんなこと言われても、結局透さんの優しさを利用するだけ利用してしまったのは私だ。最低な好意だって分かっていたのに、あのとき透さんのことよりも、昴さんの、秀一さんのことばかり気になってしまった私には、透さんに優しく声をかけてもらう資格なんてない。
「私には、透さんに優しくしてもらう資格なんて、ありませんからっ」
無理に優しくしないでください、そう言うと、なぜだか透さんは吹き出してしまった。
「え?」
「ああ、いや、ごめんなさい、本当に何も聞いてないんですね」
謝る透さんに、透さんを睨み付ける秀一さんに、心配そうに私を見つめる蘭。そしてそれから、唯一すべてを把握しているであろう新一が笑いつかれて瀕死の状態でソファに横たわっている。
「そいつ川に捨ててこよう」
「まあまあ落ち着いてください」
私が耐えきれずに立ち上がると、なぜだか透さんに諭されてしまった。
透さんってば何て心が広いんだろう。
「えっと、ですね……本当にボクの事は気にしなくていいんですよ」
「でも、」
「これを言うと薫さんに軽蔑されそうで避けてたんですけど
あなたにそんな顔させるくらいなら、言った方がマシですね」
はあ、とため息を付いてから、透さんはことの真相を語り始めた
「はあ!?!?私に告白したのは秀一さんを妬かせるための計画だったぁ!?!?」
「はい、すいません」
口ではそう言いながらも、透さんはずっと笑顔だ。付き合ってる(今この瞬間にそれも嘘だってわかったけど)ときから思ってたけど実はこの人結構いい性格してると思う。
「俺も、今初めて聞いたが?」
こればかりは秀一さんも黙ってはいられなかったようで、説明を促すように透さんに詰め寄る。
「僕ばっかり責めないでくださいよ。全部新一くんに頼まれてやったことなんですから!」
秀一さんが出てくるとわかるとすぐに、新一の名前を出す透さん。
急に名前を呼ばれた新一はわかりやすくやべえ、という顔をしてから、蘭の後ろに逃げる。
「これは新一が悪い」
唯一の頼みの綱の蘭も、今回は私の味方をしてくれるようで背中に回った新一をべりっとはがすと、秀一さんの前に差し出す。
「どういうことだ、坊や」
聞いたことないような秀一さんの低い声に、さっきまでの怒りもどこかへ飛んでいってしまった。
「だって、そのくらいしないと赤井さん諦めてアメリカ帰っちゃったでしょう!?」
新一が必死に反論している後ろで、さぞ楽しそうに透さんが
「そうだそうだー!」と適当な茶々を入れている。
本当にこの人ただ面白がってるだけだったんじゃないだろうかと思えてきた。
「まあ、君には感謝してもしたりないくらいだとは思っているが……」
「ほんとですよ!誰のおかげで薫と付き合えたと思ってるんですか!!」
新一の発言にはて、と首を傾げる。
「え?新一ほかにもなにか企んでたの?」
私がそう尋ねると、新一は呆れたように
「ほかにもなにか、じゃねーよ!
全部だよ全部!桃の木植えてから起こったことは、全部俺の計画通りなの!
唯一オリンピックで金取ったぐらいだからな!お前が自力でやったのは!!」
「はぁ?」
またこいつは何を言っているのか。
「そんな嘘が通じると思ってるワケ?
あの爆発騒ぎも怪盗キッドも新一の計画通りってそんな馬鹿な話があるわけないでしょ?
百万歩譲ってそうだったとしたら今すぐお前を警察に突き出す」
「まあ、お前に信じてもらおうとは思ってねーからいいけど
警察の許可は取ってあるって!」
新一はそういうと、秀一さんが手土産に持ってきたなにやら異様に高級そうな菓子折りに、なんのためらいもなく手を付ける。
「お前もこのくらいの感謝の気持ちがあってもいいんだけどな~」
ねー、なんていいながら透さんも新一と一緒に菓子折りを食べ始める。
ドヤ顔で菓子を貪る新一に、そばにあったクッションを渾身の力で投げつけた。私の幼馴染って、こんなにウザかったっけ