もう一度
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「"今回は、鈴木相談役立っての依頼で
皆さまの記憶にも新しい薙刀世界女王の
佐倉 薫さんが警護してくださいます!"」
「は、」
日本での強制休暇を取らされて数日がたった頃
一月も休みだとすることがないな、と思いながらテレビを眺めていると
真純が突然チャンネルをひったくったと思うと
今一番聞きたくない名前が聞こえた。
「知ってる?秀にい佐倉薫って、ボクのクラスメイトだったんだよ!」
真純がそう言って誇らしげに笑う。
そうか、クラスメイトが出るから見たかったのか
「そうか、でもチャンネルを返してくれないか」
「やーだ!薫の活躍みたいもん!」
俺は全くもって見たくない、そう言いかけたとき
薫がカメラに映った。
「"武術なんて、どんなに良い言い方をしたって、
結局ただの暴力じゃないですか。
だけど、それを自分の信念に貫いて使うと誓ったとき、
それはきっとその人の正義になる。
意思のない力なんて、ただの自分勝手な暴力ですよ"」
少し伸びた髪、大人っぽくなった表情
あのときの少女の面影はそこにはなかった。
立派に成長した、一人の女性が信念を持ってそこには立っていたのだ。
「綺麗、だな」
思わず口からはそんな言葉が漏れていた。
「でしょ、ボクの自慢の親友なんだ」
真純は、そんな俺をみると
今度はとても楽しそうに微笑んでテレビを眺める。
俺も真純を見習って、静かにテレビを見ることにした。
最低に、一方的に離れていった俺を
彼女はどう思っているのだろうか、
きっといいようには思っていないだろう。
それでも、こうして遠くから
見ているだけなら許されるだろうか、
「"だから、どうなんですかね
極端な話、それが殺人であっても
それが自分の信念に沿ったものであるなら
その人の中ではきっと正義なんですよ
周りの人の意見なんて、自分の正義には関係ない
それが正義ってモンじゃないんですかね"」
「っ、」
テレビの中の、彼女の言葉に思わず声を詰まらせる
それは俺がずっと抱えていた悩みを
簡単に吹き飛ばしてしまうような魔法の言葉のように思えた。
「信念、か」
そんなもの、いつの間にかどこかに置いてきてしまっている気がした。