もう一度
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あのレストランの事件からもう2年以上たった頃、
あれから俺は彼女に顔を見せることなく仕事に追われる毎日だった。
ずっとにらみ合ってきた黒の組織との闘いも、
一年ほど前に終決した。
その後俺は本国に戻り、今までのことを忘れさせるようにと
夢中で仕事に取り組み続けた。
「シュウ、いい加減にしなさい」
先週、同僚であるジョディに突然そう言われた。
「何がだ」
「何がじゃないでしょう、明らかにオーバーワークよ」
「そんなことは分かっている」
「そんなんじゃアンタ死ぬわよ!?」
「それもそれでいいんじゃないか」
はっ、と鼻で笑うようにそう返すと
ジョディはバン、と大きな音を立てて
俺の机に何やら紙を付きだしてきた。
「これは?」
「有給取得願、書いといてあげたわ、あなたの分」
「は、」
「明日から、一か月休みになるから」
「何を勝手に」
「日本への飛行機のチケットも予約してあるから」
「は、」
「妹さん、心配してたわよ」
「……」
妹のことを言われてしまえば、何も言えなくなってしまう。
ジョディもそのことをわかって
あえて話題に出したのが分かっているからなおさら素直に頷けない。
「ま、これ以上目の下に隈作って
ピリピリしたオーラ出されても邪魔なだけだから」
さっさとリフレッシュしてきてちょうだい。
そう言うとジョディは颯爽と去っていってしまった。
「あいつはいつからあんなにかっこよくなったんだ」
なんて、ボソッと口に出せば
「いいからもう帰れ!!」
なんて半ば強制的に帰国させられてしまった。
「秀にい!おかえりなさい!」
「ああ、ただいま」
組織も壊滅したというのにホテル暮らしを続けるこの妹に
ただいま、という言葉は果たして正しいのかは分からないが
妹が笑顔で迎えてくれるのだから、そんなことは些細な問題である。
「今回はいつまでいれるの?」
「一か月だ」
「一か月!そりゃまた長いんだね!」
「同僚に無理やり休みを取らされてな」
「でも秀にいずっと働きっぱなしだったもん!
そのくらいでもおつりがくるよ!」
なんて真純が楽しそうに笑っているので
この一カ月もなんだかんだ楽しくなりそうだ、
このときはまだそう思っていた。