その言葉が聞きたくて
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あまりの事態についていけずにポカンとしてしまっていると
逃げたはずの怪盗キッドが焦ったように
大きな音を立てて戻ってきた。
この人、怪盗してる自覚あるのかな
「爆弾魔がこのビルにたてこんでます!
屋上に避難してください!」
怪盗キッドの言葉にきょとんとしてしまう
爆弾魔?なにそれ実在するの?ここは日本ですよ?
「奴は下の階から破壊していくつもりです!
今なら屋上からヘリで避難できます!早く!」
私以上に飲みこみの速いキッドと撮影クルーさんが
急げ急げと背中を押してくる、
キッドは置いといて流石撮影クルーだな、状況の把握がスピーディーだ。
怪盗キッドに言われるがままに屋上まで走り続けると
そこにはすでに先客がいた。
屋上のフェンスに捕まりながら鼻歌を歌って月を眺めている。
古ぼけた茶色のパーカーに
同系色のズボン、後ろ姿しか分からないが
声と体格からして50歳前後の男性だろうと推測する。
「あの、あなた何をしてるんですか…」
このビルは、警察が関係者以外の立ち入りを固く禁止したはず
一般人が入るなんてことできるはずもないし、
ましてや屋上に上がるなんて。
そう思っていると、怪しげな男は鼻歌をピタリとやめると
私の方を振り向いて、にやりと笑った。
「この綺麗な月夜を背景に奏でる崩壊の音、
なんて華麗なことだろう。お嬢ちゃんもそう思わないかい?」
この人、怪しい、なんてものじゃない明らかに正気じゃない。
直感でそう感じてしまうほどの狂った笑み
もしかして、
「あなたが爆弾魔?」
「そんなつまらない言い方はやめてくれないか
ボクの事は、そうだね闇夜のアーティスト、とでも呼んでくれ」
「………」
まあまあかっこ悪いってことは言わない方がいいのだろうか。
怪盗キッドが肩を震わせて笑いをこらえているのが分かる。
こんなとこでこの怪盗の仮面が剥がれるなんて思ってもみなかった。