それは純粋で単純な
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お礼がしたい、
何度断っても引くことのない彼女に
アメリカ旅行をプレゼントすることにした。
と、いうのも本国からの指示で
どうしても一時的に帰国する必要があったため
ついでにボウヤもロスにいる"知り合い"に会いに行くとのことだったので、せっかくならと工藤夫妻から提案があった。
突拍子もない話だが、
この前のキャンプでは散々な目にあってしまっている
仕切り直しをしてやりたかった。
予定も聞かずにファーストクラスを押さえてしまうあたり、
俺も相当舞い上がっていた。
久々に戻ってくるアメリカに懐かしさを感じつつ
異国の地にまだ恐怖心でいっぱいの彼女をエスコートしてやる。
「それでは行きましょうか」
そう言ってさりげなく彼女の右手を取って歩きだす。
彼女は「うえ!?」と驚いたように声を上げたが
俺が離す様子がないことを悟って諦めたように静かになると。
そのまま黙って後ろをついて来る。
「っ、」
少し、歩くスピードが速かったのだろうか
人でごった返す目抜き通りを慣れたように通り抜けようとすると。
握っていた手に力が籠められる。
チラリと後ろを見れば、置いていかれないように、と
すでに若干涙目になりながら必死について来る彼女の姿があった。
全身で置いていかないで、と訴える彼女が愛おしくって仕方がない。
_____これではもう、
どちらが惚れているのかわかったもんじゃない
あからさまな自分の態度に苦笑しつつも
この和やかな時間がとても愛おしくて
ずっとこのまま過ごせればいいのに、
なんてあるはずもないことを考えてしまう。
夕方ごろ、予約していたレストランで食事をとる。
坊やも一緒にどうか、と誘ってみたが
「そんな野暮なことできるわけないでしょ」
といわれてしまう
どこまで小学生に気をつかわせてしまうのか
と、そろそろ申し訳なさでいっぱいになってくる。
ビルの最上階、窓際の席
店に入るまでは少し緊張していた様子だったが
窓の外に見える絶景を目にすると
興奮で緊張など忘れてしまっているようだった。
「昴さん!見てください!夜景とっても綺麗ですよ!」
「そうですね」
正直、こっちの席からは夜景を見ることはできないのだが
それよりもこの笑顔を見てる方が何十倍も有意義な気がする。
そう思って彼女を見つめていると
興奮して窓の外を見ていた彼女が、
何かに気付いたようにぴたりと動きを止めると
ふいに自分の後ろを振り返ってから気恥ずかしそうにえへへ、と笑った。
「昴さんもそんな顔するんですね」
「…と、いうと?」
「とっても優しい顔してます」
自覚はなかったが、
彼女に言われるならきっと俺の顔は今過去最大級に緩んでいるのだろう。
頬杖を突きながら、照れている彼女をまた見つめ返す。
「あの、えっと、私の顔、そんなに面白いですか」
そういうわけではないことくらい、
流石の彼女でも気づいているだろうに
そんな返しをされて、さらに笑ってしまう。
「佐倉さん」
きっと、罰なのだろう。
「もう、やめにしませんか、友達でいるのは」
自分に恋愛する資格など、
とっくの昔になくなっていることに気付かずに
平和ボケしてしまった自分に対する。
当然の報いなのだろう
真っ赤になった彼女が口を開いた瞬間
店に銃声が鳴り響いた__