それは純粋で単純な
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「驚いてますよ、自分でも、ね」
くるくると表情を変える彼女がかわいらしくって少し意地悪をしてしまった。
今まで、このような感情を持ったことはあっただろうか
あまり人に胸を張れるような生き方はしてこなかった自覚はある。
この穏やかで、少しむず痒い空気になんだか罪悪感でいっぱいになる。
俺が、俺だけがこんなに幸せだなんて許されるのだろうか
なんて柄にもないことを考えていると表情に出てしまっていたのか。
「昴さん…?」
と心配そうに彼女が声をかける。
その言葉に返事をするわけでもなく、
再び前を見つめなおしてから
先ほどの空気などなかったかのように明るい声で
「楽しみましょうね、キャンプ」
と取り繕った。
その後、一言も言葉を交わすことなくキャンプ場へとたどり着く
妙な空気も、この豊かな緑の中では消し飛んでしまうようで
車を降りて昼食の準備を始めるころには
彼女はすでにいつも通りだった。
昼食を済ませてひと段落しようとしたところで
子供たちが海で遊びたいと言い始める。
本当に元気なものだ、と感心させられてしまう
そのまま徒歩で向かえる海岸までやってくると
博士の忠告も聞かずに、
子供たちと一緒に佐倉さんまでも海に駆けだしてしまう。
「あれではどちらが子供かわからんな」
なんてぽつりとつぶやくと、そばにいた坊やが
「ほんとうだね、」なんて言って笑った
最近、あの子たちの無邪気な笑顔が何よりの癒しになりつつあり、
本当に自分が歳をくっていることをしみじみと感じてしまう。
かき氷でも食べようか、
なんて、ついさっき昼食を平らげたばかりだというのに
そんな提案をする博士に、呆れながらも
なんだかんだで目を輝かせている子供たちに
また笑ってしまう。
ちょっと待っててくれ、とだけ言い残して
博士と二人でかき氷を買いに海の家へと向かう。
子供たちだけというのはいささか心配だが、
あの坊やと、あの少女がいれば問題はないだろう。
かき氷のシロップは、いちご、メロン、ブルーハワイ
なんて色とりどりに適当に注文した。
少し多いような気もするが
まああれば誰かが食べるだろう、なんてて思いながら
パラソルの方へと戻ると
坊やの取り乱した声が聞こえてきた。
「はあ!?お前ら薫置いてきたのかよ!?」
取り乱しすぎてすでに呼び捨てなことにはひとまず目をつむるとして
一緒に海へ向かった子供たち二人が戻ってきただけだというのに
妙に取り乱す坊やが気になった。
今にも走り出しそうな坊やに
「どうしたんだい?」
と尋ねると
坊やは焦った様子で
「薫姉ちゃん、泳げないんだよ」
とだけ零した