それは純粋で単純な
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「生命の神秘ですよ!」
日本の夏とはどうしてこんなにも蒸し暑いのか。
滝のように流れる汗を感じながらうっとうしい湿度に嫌気がさす。
そんなとき、ふと着信音が聞こえ
携帯を手に取り、電話に出ると彼女は開口一番そう言ったのだ。
どうやら、俺の料理の腕を見かねた彼女は
実ってしまえば最悪生でも食べられる野菜を
植えてしまうという大胆な提案をしてきた。
「家庭菜園するぞー!」
そう意気込む彼女と子供たちの様子を家のリビングから眺める。
手伝ってやりたいのは山々だが、
この暑さでは、変装が落ちてしまう心配が大きすぎる。
彼女の冷たい視線を感じつつも気づかないフリをして
楽しそうに土をいじる彼らを眺めていた。
うだるような暑さだというのにも関わらず
彼女は和気あいあいと作業を進めていた。
笑い声が止まないその空間はとても穏やかなものだった。
「眩しいな」
それはじりじりと焼き付ける太陽なのか
溢れんばかりの笑顔を見せる彼女なのか。
自分でもわからないまま
空を見上げてからぽつりとつぶやいた。
「もう歩美つかれたー!」
彼女たちの様子を眺めていること数十分
この日差しの中の作業は、子供たちには酷だったのだろう。
彼らは集中力が切れたようで、口々にそう言った。
休憩にしよう、そう言おうとしたのだろう彼女の背中越しに
坊やの少し不満そうな顔が見えた。
__俺も手伝おうとするか。
「皆さんはこちらで休憩していてください
あとは僕がやっておきますよ」
「…え、」
やるなら最初から手伝えよ、なんて思っているのが丸わかりな顔。
本当に表情が豊かだと少し笑ってしまう。
ちらりと坊やに目配せをするとすぐに察してくれたようで
子供たちを部屋の中に入れた。
「え、じゃあ…お願いします?」
「ええ、私に任せて休んでいてください」
休んでいた分は働くとしようか、
坊やが彼女たちを
こちらが見えない位置にまで誘導してくれたことを
確認すると、すぐさま眼鏡を外して作業にとりかかった
先ほどまでやっていたように見様見真似で
ある程度土を耕してからふと気づいた。
「これで、どうすればいいんだ」