それは純粋で単純な
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
純粋に興味本位だった。
開口一番に愛の告白をした彼女はやんわりと断る沖矢昴の言葉など
気にしていないかのようにまっすぐに接してくる。
あまりの眩しさに、
つい言うつもりもなかった本音がぽろりとこぼれてしまう。
昔の恋人、そう呼んでいいのかももう分からないが。
坊やの驚いた顔とは対照的に
しゅん、という効果音が聞こえそうなほどに
わかりやすく明るさを失った彼女。
「急に変なこと言ってすみませんでした」
一言そういうと、ばつが悪そうにこの場から去ろうとする。
正直、意外だった
この手の自己主張の激しい女は何を言ったって気にも留めない。
この年頃ならなおさらだ。
だからさっきの言葉は、
別に何かを察してほしかったわけではなく
ただ純粋に彼女に対して真摯に向き合おうと思ってしまったからで
きっと優しい子なんだろう、なんて思いながら
少し寂しそうな彼女の後姿を眺めた。
そう、単純に興味本位だ。
声をかけて、振り向かせてみたかったのも
今どんな表情をしているのか見てみたかったから
「恋人はしばらく作るつもりはないんですが…」
俺のその言葉に
玄関に向かっていた足とぱたりと止めた。
彼女は俺の次の言葉を促すように
ゆっくりと顔だけをこちらに向けた
「お友達なら、大歓迎なんですよ?」
自分でも驚くくらいに楽しそうな声だったと思う。
俺の言葉に彼女はきょとん、と目を丸くした。
そしてしばらくそのままフリーズしてしまう。
「佐倉さん?」
と一歩、詰め寄りながらもう一度声をかける。
「あ、」
彼女はようやくはっとして、俺の方を見上げた。
「えっと、」
ばちりと目が合って、恥ずかしそうに
すこし俯きながら、考えるようにそうつぶやいてから
「よろしくおねがいします」
と、もう一度俺の目をまっすぐ見据えて
華のような笑顔でそう答えた。