それは純粋で単純な
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「好きです!付き合ってください!」
開口一番そう言い放った少女には見覚えがあった。
数か月前にチンピラに絡まれていたその少女。
彼女とはそのときが初対面ではあるが
玄関に置かれている写真立てにその少女は映っていた。
どうやら、ここの家主と交流があるらしい。
こういう言い方は語弊があるかもしれないが、
俺は彼女のことを一方的に知っていたことになる。
そうでもなければ、あまり人と関わりたくないこの状況で
わざわざあんな目立つことをするはずもない。
その後しばらくしてから何やら怖い顔をした坊やに
「薫姉ちゃんとあったでしょ」
と聞かれた。
薫、という名前に心当たりはないが
おそらくこの前の少女が薫なのだろう。
何をそんなに怒っているのだろうか、
「夜中にあまり薄着で出かけないように、
と言っておいてあげてください」
暗にあったことを示すようにそう告げると
坊やは深いため息を付きながら俺の隣に腰かけた。
「その薫という少女に会うのは問題なのか?」
ただの女子高生にしか見えなかったが、
俺の問いに、坊やは言いづらそうに視線をそらしてから
諦めたようにつぶやいた。
「一目ぼれ、だってさ」
「ほぅ、」
意外だった。
正直、少女にも警戒されてると感じていた。
しかもあの視線は、突然見知らぬ男が増えた、
という不信感だけではなかったような気がしていたのだが
「何も企んでないと思うよ」
俺が考え込む素振りを見せると坊やはあきらめたように笑いながらそう言った。
「そんな難しいこと考えて行動できるようなヤツでもないしね」
「なるほど?
家主の知人だと思っていたのだが、
坊やとも深い交流があるようだ」
意外だな、なんてわざとらしく付け加えてそう言えば
坊やはええっと、なんてわかりやすく慌て始めた。
「まあいいさ」
その様子がおかしくって、思わずくつくつと笑ってしまう。
彼の正体については、もう少し保留のままでいるとしよう。
「にしても、どうするべきか」
あいにく、俺は今恋人を作るつもりもなければ
そんな余裕なんかもない。
だが、家主の知り合いともなればあまり無下に扱うこともできんだろう。
ぴたり、と
もう一度真剣な顔で考え込む俺を見て、
坊やがまたおかしそうに笑った。
「赤井さんの好きにしていいよ」
茶化すようなその表情に彼がまだ子供であることを思い出した。
「ほぅ?俺が高校生相手に本気になるとでも?」
俺はそんなに節操なしだと思われているのだろうか、
なんて皮肉を込めながらそう返すと
「まあでも、__
薫姉ちゃんは面白いよ、いろんな意味で
なんて、坊やはまた心底楽しそうに笑うのだった。