Reunion of sapphire
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
暖かい春の陽気を感じながら、
店のドアを開ける。
注文が入ったらそれを製作する時間も必要になるから
店を開けているのはだいたい11時~15時くらいまで。
この米花町の商店街ぶっちぎりナンバーワンでやる気のない店である。
「いいお天気ね」
こんなにいい天気なら店にいるのがもったいない、
なんて考えながらもウェルカムボードを出す。
「ゆきさん……?」
「はい?どちら様で…え、」
全く見覚えのない声に首をかしげながら声のする方を振り向く
「秀、ちゃん……?」
「やっぱり、ゆきさんだ」
店の前で声をかけられているんだから"どちら様ですか"はないだろう
なんて全然違うことを考えてしまう。
「久しぶりね、秀ちゃん。大きくなっ…うわっ」
最後にあったときから、また見違えるほど成長した目の前の男_
そう赤井秀一は、私の言葉も聞かずに思い切り抱き着いてきた。
「ずっと、会いたかった」
「ふふふ、私もよ。私も秀ちゃんに会えてうれしいわ」
そう返しながら彼の頭を撫でる。
撫でる頭が思いの他上にあったことに驚く。
本当に、おっきくなったんだなぁ。
「ゆきさんは、全然変わりませんね」
私の心を読んでいるかのように、彼はそう言った。
「そうなの、私魔女だからね」
「ほんとにそうなのかもしれないと思い始めてきました」
「だから、昔からそうだって言ってるでしょ」
「俺が信じてると思ってたんですか?」
心底意外だ、とでも言いたそうな顔をしている。
なんだこの目の前の憎たらしい男は
「あの頃のかわいいかわいい秀ちゃんなら
きっと信じてくれたのになぁ、残念。」
「俺ももういい年した大人なんですから、
子供扱いしないでください」
少しすねたようにそう言う秀ちゃん。
ほら、そういうところが、
「かわいいんだってば、ふふっ」
「だから、…っと、すみません。
そろそろ行きますね」
「お仕事?ふふ、夢叶えたんだね?」
「えぇ」
「それはおめでとう」
「あの、ゆきさん」
「なあに?」
「また、連絡しても、いいですか?」
「えぇ、もちろん!」
「っ、ありがとう、ございます」
とっても嬉しそうな顔を見せた後、
すぐに真剣な顔を作り、走っていく彼。
夢のために一生懸命努力したのを隣でずっと見てきた。
だからこそ、今の彼の活躍は、自分のことのようにうれしい。
「ほんとうに、頑張ったね。秀ちゃん。」
懐かしい人に会えた。
彼は私のいない世界で頑張っている。
だからこそ私は、胸元で青白い光を放つそれに、気づかないフリをした。