Reunion of sapphire
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CONANside
「バスジャックに会った?」
最近米花町に越してきたというその人は、
ポアロのすぐ隣の、
仕立屋【サファイア】に、
事務所兼作業場兼自宅がある。
初めてあったのは、
ゆきさんが引っ越しのあいさつにポアロに来たとき。
透き通った陶器のような肌
これまた色素の薄い、少しベージュがかったセミロングの髪
外国人のような青みがかかった瞳。
その場にいた全員が一瞬、
彼女に目を奪われた。
おっちゃんがついつい声をかけてしまっても
蘭がうるさく言わなかったのもそのせいかもしれない。
それから、なんどかゆきさんに会う機会があった。
今日もポアロでスイーツを楽しむゆきさんとこうして雑談を楽しんでいるのだ。
「うん、なんともなかったけどね」
「そう、いまどきの小学生はバスジャックが普通なのね」
いまどきの小学生をなんだと思っているのか。
ゆきさんはたまに抜けてるところがある。と思う。
「そんなわけないじゃん」
「そうなの?
でもコナンくんは会うたびに新しい事件の話を
聞かせてくれるから、いまどきはそれが普通なのかと思ったわ」
「ゆきさんいつも"いまどき"っていうけど、
ゆきさんも若いよね?」
「そう見えるならうれしいわ」
「あれ、もしかしてゆきさんって結構歳いってるの?」
自分でもかなり失礼なことを聞いている自覚はあるが、
まあこの小学生の見た目ならきっと許されるだろう。
実際、ゆきさんの年齢というのは少し、いやかなり気になる。
「ふふふ、ヒミツです」
「ケチ」
ふわりと笑って俺の言葉を躱す彼女は、
見た目は20代前半に見えるが、
時折見せるしぐさが年齢にはどうもそぐわない。
「当ててみる?」
「……いいや」
「あらそう?」
「絶対正解は教えない、って顔してる」
「それは正解」
「……あ、じゃあひとつ聞いてもいい?」
「なぁに、コナンくん」
「そのネックレス、いつもつけてるけど大事なものなの?」
ゆきさんの胸元には、ドロップ型に削られた青い宝石がついたネックレスが
常につけられている。
おそらくサファイアだろうと推測できるのは、
ゆきさんの経営している店が【サファイア】だからだ、
という安直なものなのだが、
ゆきさんにとってサファイアが何か特別なものであることは間違いないだろう。
「そうね、昔、大切な人にもらったものなの」
「それは、恋人……とか?」
「もうずいぶん昔にお別れしちゃったんだけどね」
「あ、ごめんなさい」
「いいのよ、このネックレスをしていればきっとまた会えるから、
彼がそう言って渡してくれたの」
ずっとつけてるなんて重い女かもね、と
ゆきさんは目を細めて小さく笑った。
少し悲しそうなその横顔が、また言葉を失うほど綺麗で。
今すぐにでも消えてしまいそうなほど儚い雰囲気に俺は目を離せなくなった。
「会えるといいね、その人に」
「そう、ね」
俺の精一杯の言葉を受けて、彼女はもう一度自嘲気味に笑うのだった。
「バスジャックに会った?」
最近米花町に越してきたというその人は、
ポアロのすぐ隣の、
仕立屋【サファイア】に、
事務所兼作業場兼自宅がある。
初めてあったのは、
ゆきさんが引っ越しのあいさつにポアロに来たとき。
透き通った陶器のような肌
これまた色素の薄い、少しベージュがかったセミロングの髪
外国人のような青みがかかった瞳。
その場にいた全員が一瞬、
彼女に目を奪われた。
おっちゃんがついつい声をかけてしまっても
蘭がうるさく言わなかったのもそのせいかもしれない。
それから、なんどかゆきさんに会う機会があった。
今日もポアロでスイーツを楽しむゆきさんとこうして雑談を楽しんでいるのだ。
「うん、なんともなかったけどね」
「そう、いまどきの小学生はバスジャックが普通なのね」
いまどきの小学生をなんだと思っているのか。
ゆきさんはたまに抜けてるところがある。と思う。
「そんなわけないじゃん」
「そうなの?
でもコナンくんは会うたびに新しい事件の話を
聞かせてくれるから、いまどきはそれが普通なのかと思ったわ」
「ゆきさんいつも"いまどき"っていうけど、
ゆきさんも若いよね?」
「そう見えるならうれしいわ」
「あれ、もしかしてゆきさんって結構歳いってるの?」
自分でもかなり失礼なことを聞いている自覚はあるが、
まあこの小学生の見た目ならきっと許されるだろう。
実際、ゆきさんの年齢というのは少し、いやかなり気になる。
「ふふふ、ヒミツです」
「ケチ」
ふわりと笑って俺の言葉を躱す彼女は、
見た目は20代前半に見えるが、
時折見せるしぐさが年齢にはどうもそぐわない。
「当ててみる?」
「……いいや」
「あらそう?」
「絶対正解は教えない、って顔してる」
「それは正解」
「……あ、じゃあひとつ聞いてもいい?」
「なぁに、コナンくん」
「そのネックレス、いつもつけてるけど大事なものなの?」
ゆきさんの胸元には、ドロップ型に削られた青い宝石がついたネックレスが
常につけられている。
おそらくサファイアだろうと推測できるのは、
ゆきさんの経営している店が【サファイア】だからだ、
という安直なものなのだが、
ゆきさんにとってサファイアが何か特別なものであることは間違いないだろう。
「そうね、昔、大切な人にもらったものなの」
「それは、恋人……とか?」
「もうずいぶん昔にお別れしちゃったんだけどね」
「あ、ごめんなさい」
「いいのよ、このネックレスをしていればきっとまた会えるから、
彼がそう言って渡してくれたの」
ずっとつけてるなんて重い女かもね、と
ゆきさんは目を細めて小さく笑った。
少し悲しそうなその横顔が、また言葉を失うほど綺麗で。
今すぐにでも消えてしまいそうなほど儚い雰囲気に俺は目を離せなくなった。
「会えるといいね、その人に」
「そう、ね」
俺の精一杯の言葉を受けて、彼女はもう一度自嘲気味に笑うのだった。