One step Of Sapphire
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その褐色肌の男性は、安室透というらしく、
名乗るやいなや、私を隣の喫茶店へと引っ張っていった。
その喫茶店、ポアロでは、
いつもの背広に大きなコーヒーの染みをつくった
小五郎さんがいた。
「あらあら、大きな地図ね」
私はその染みのあまりの大きさにぼんやりとそんなことをつぶやいた。
「おお!ゆきさん!お久しぶりです!
そうなんです、安室の奴が急にコーヒーをこぼしまして……」
なるほど、お客さんの商品をダメにしてしまった上に
お客さんのお洋服まで汚してしまって
慌てて隣に駆け込んだ、というわけか
「クリーニング屋になった覚えはないのですが、
困ったときはお互いさまですものね。
小五郎さん、そのジャケット貸して頂けますか?」
すぐさまジャケットを受け取ると、
私は店に戻る時間も惜しんで、
ポアロの空いた席で染み抜きを行う。
昔はよく、子供たちが汚した服の洗濯を任されていたため、
ジャケットの染み抜きをするくらい朝飯前だ。
「よし、こんなものかしら」
すぐにジャケットを持ちあげて小五郎さんに見せると、
小五郎さん本人よりも、隣に座っていた蘭ちゃんの方が驚いていた。
「すごい!そんなに早く染み抜きってできるものなんですか?」
蘭ちゃんがキラキラした顔を向けて聞いて来る。
いまどきの高校生はずいぶんと家庭的になったものだなあと思いつつ
私はふふふと笑って蘭ちゃんに答える
「コツがあるのよ」
と、いうと
今度は店の奥から梓さんが出て来て私に
こう提案した。
「あの、もしよかったら、
うちで裁縫教室とかやってもらえませんか?」
「裁縫教室?」
私と安室さんの声が重なる。
一体なにをさせるつもりなのか。
「ここ、水曜日休みなんで、
ゆきさんさえよければ!ぜひお願いできませんか?」
なぜかきらきらした顔の梓さんに
「え!私も通いたいです!」
かなり食い気味にそういう蘭ちゃん。
すると、ふむ、と少し考える素振りを見せてから
「僕も興味ありますね」
と言い出す安室さん。
終いには
「僕も興味ありますね、
そろそろボタンくらいつけれるようになれと
言われてしまったばかりなので」
と、ちょうどいいタイミングで
ポアロのドアを開けながらそう言う昴さん。
いやいやいやいや
「裁縫教室って、」
染み抜きは別だし、お互いの店にほとんどメリットが無いような気がしてならない。
近所のクリーニング屋さんと相談すればいい気もするけど。
「まあ、いっか」
きらきらした蘭ちゃんたちの顔を見てるとなんとも断り切れなくて、
ああ、いつもいつもこうやって流されてしまうの悪い癖だなあと分かり切っていながらも承諾してしまう。
ほんとうに、こればっかりはどうしようもないかもしれない。
名乗るやいなや、私を隣の喫茶店へと引っ張っていった。
その喫茶店、ポアロでは、
いつもの背広に大きなコーヒーの染みをつくった
小五郎さんがいた。
「あらあら、大きな地図ね」
私はその染みのあまりの大きさにぼんやりとそんなことをつぶやいた。
「おお!ゆきさん!お久しぶりです!
そうなんです、安室の奴が急にコーヒーをこぼしまして……」
なるほど、お客さんの商品をダメにしてしまった上に
お客さんのお洋服まで汚してしまって
慌てて隣に駆け込んだ、というわけか
「クリーニング屋になった覚えはないのですが、
困ったときはお互いさまですものね。
小五郎さん、そのジャケット貸して頂けますか?」
すぐさまジャケットを受け取ると、
私は店に戻る時間も惜しんで、
ポアロの空いた席で染み抜きを行う。
昔はよく、子供たちが汚した服の洗濯を任されていたため、
ジャケットの染み抜きをするくらい朝飯前だ。
「よし、こんなものかしら」
すぐにジャケットを持ちあげて小五郎さんに見せると、
小五郎さん本人よりも、隣に座っていた蘭ちゃんの方が驚いていた。
「すごい!そんなに早く染み抜きってできるものなんですか?」
蘭ちゃんがキラキラした顔を向けて聞いて来る。
いまどきの高校生はずいぶんと家庭的になったものだなあと思いつつ
私はふふふと笑って蘭ちゃんに答える
「コツがあるのよ」
と、いうと
今度は店の奥から梓さんが出て来て私に
こう提案した。
「あの、もしよかったら、
うちで裁縫教室とかやってもらえませんか?」
「裁縫教室?」
私と安室さんの声が重なる。
一体なにをさせるつもりなのか。
「ここ、水曜日休みなんで、
ゆきさんさえよければ!ぜひお願いできませんか?」
なぜかきらきらした顔の梓さんに
「え!私も通いたいです!」
かなり食い気味にそういう蘭ちゃん。
すると、ふむ、と少し考える素振りを見せてから
「僕も興味ありますね」
と言い出す安室さん。
終いには
「僕も興味ありますね、
そろそろボタンくらいつけれるようになれと
言われてしまったばかりなので」
と、ちょうどいいタイミングで
ポアロのドアを開けながらそう言う昴さん。
いやいやいやいや
「裁縫教室って、」
染み抜きは別だし、お互いの店にほとんどメリットが無いような気がしてならない。
近所のクリーニング屋さんと相談すればいい気もするけど。
「まあ、いっか」
きらきらした蘭ちゃんたちの顔を見てるとなんとも断り切れなくて、
ああ、いつもいつもこうやって流されてしまうの悪い癖だなあと分かり切っていながらも承諾してしまう。
ほんとうに、こればっかりはどうしようもないかもしれない。