Encounter Of Sapphire
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それは、いつかの"家庭教師の日"のことだった。
その日もミステリー小説に夢中になっていた俺は、
ドカンという大きな音で思わず本を落としてしまった。
何事だ、と窓の外を眺めると
窓から見える街の向こう側が火の海になっていた。
爆発テロ。
慣れたくはないが、海外ではあまり珍しくもない事だ。
ただ、ここまで大規模な爆発はめったに起こることではない。
目の前の非常事態に頭が真っ白になる。
しばらくすると、母さんが部屋に入って来た。
まだ幼い弟の手をつないだまま、母さんは
「避難するぞ」とだけ簡潔に伝え、
俺の返事も待たずに手を引っ張って走った。
慣れ親しんだ街や人。
それらすべてを焼き尽くす大きな炎に呆然と立ちつくすしかできない俺を、母さんは何とか引っ張って、隣町の親戚の家まで避難した。
ようやくもとの家に戻ることが出来たのは、
テロから一年が過ぎた頃だった。
そこまで遠い場所ではなかったため、
学校には問題なく通えていたが、
ずっと気がかりなことがあった。ゆきさんだ。
彼女がどこに住んでいたのかも知らないが
果たしていま彼女は無事なのだろうか。
足に重傷を負った彼女が、逃げ遅れてしまってはいないか。
一年以上ゆきさんの柔らかい笑顔が、酷く恋しく感じた。
母さんに聞いてみたが、連絡先さえ知らなかったらしい。
「また来週のこの時間」それが契約の合言葉だという。
雇用関係でそんな杜撰なことあるのか、と思うが、
もうなんだかあの人ならありえてしまう気がしている。
それならまた待っていれば、来てくれるのではないか。
そう思って待つこと数週間、彼女が現れることはなかった。
俺はいてもたってもいられなくなり
町中を探し始めた。
探す、といってもただの学生ができることなんてたかが知れてる。
警察に届けようにも、俺は彼女の
ゆきという本名かどうかも怪しい名前しか知らないのだ。
自分の非力さを痛感した。
俺にもっと力があれば、どこにだって探しに行くのに。
その日もミステリー小説に夢中になっていた俺は、
ドカンという大きな音で思わず本を落としてしまった。
何事だ、と窓の外を眺めると
窓から見える街の向こう側が火の海になっていた。
爆発テロ。
慣れたくはないが、海外ではあまり珍しくもない事だ。
ただ、ここまで大規模な爆発はめったに起こることではない。
目の前の非常事態に頭が真っ白になる。
しばらくすると、母さんが部屋に入って来た。
まだ幼い弟の手をつないだまま、母さんは
「避難するぞ」とだけ簡潔に伝え、
俺の返事も待たずに手を引っ張って走った。
慣れ親しんだ街や人。
それらすべてを焼き尽くす大きな炎に呆然と立ちつくすしかできない俺を、母さんは何とか引っ張って、隣町の親戚の家まで避難した。
ようやくもとの家に戻ることが出来たのは、
テロから一年が過ぎた頃だった。
そこまで遠い場所ではなかったため、
学校には問題なく通えていたが、
ずっと気がかりなことがあった。ゆきさんだ。
彼女がどこに住んでいたのかも知らないが
果たしていま彼女は無事なのだろうか。
足に重傷を負った彼女が、逃げ遅れてしまってはいないか。
一年以上ゆきさんの柔らかい笑顔が、酷く恋しく感じた。
母さんに聞いてみたが、連絡先さえ知らなかったらしい。
「また来週のこの時間」それが契約の合言葉だという。
雇用関係でそんな杜撰なことあるのか、と思うが、
もうなんだかあの人ならありえてしまう気がしている。
それならまた待っていれば、来てくれるのではないか。
そう思って待つこと数週間、彼女が現れることはなかった。
俺はいてもたってもいられなくなり
町中を探し始めた。
探す、といってもただの学生ができることなんてたかが知れてる。
警察に届けようにも、俺は彼女の
ゆきという本名かどうかも怪しい名前しか知らないのだ。
自分の非力さを痛感した。
俺にもっと力があれば、どこにだって探しに行くのに。