Encounter Of Sapphire
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「事実は一つだとしても、そこに行くまでの道筋は無限にあるの、
それを理解しようとするのも意外に楽しいものよ」
そういっていつも独自の"お話"をしてくれるゆきさんにつられて、
いつしか俺は授業に出席することが多くなっていた。
前までは教科書を読めばわかる程度のこと、としか思っていなかったが、
授業そのものよりも、教師がどういう風に話すのか、
ゆきさんはどう話していたか、といった違いを見つけることが楽しくなっていた。
授業だけでなく、スクールの図書室にある本を
暇を見つけては読むようになった。
どんな種類の本も読んだ。色々な物語やエッセイ
その中でもミステリー小説に惹かれていくようになった。
本の中に散りばめられたかけらを集め、自分なりに推理をする。
ページをめくれば答え合わせが出来る。
自分の推理がピタリと当たった時はそれはもう嬉しかった。
「あらあら、秀ちゃんはまた本を読んでるの?」
今週の家庭教師の時間、ゆきさんが来たことにも気づかずに本に夢中だった俺にゆきさんが声をかけてきた。
家庭教師、というよりは、毎週の"お話"の時間。
家庭教師として仕事になっているのかはいささか疑問ではあったが、
ゆきさんの足が完治するまでは雇うつもりだったであろう母は
その事に関してはあまり気にしていないようだった。
ゆきさんの話はいつも面白かった。
世界中飛び回った過去があるというゆきさんは
世界で見た様々なものを俺に聞かせてくれた。
特に歴史の話をしたときは、実際に見たことがあるのかというほどに
詳しく、丁寧に説明してくれ広い世界にさらに興味を持つようになっていた。
最近では、俺が推理小説にハマっているということで
ゆきさんが出会った不思議な事件の話や
神出鬼没の怪盗の話をしてくれた。
これが作り話じゃないと知ったのはもう少し先のことになるが。
前にゆきさんに
「何でも知ってるんですね」と言ったことがある。
すると彼女は少し寂しそうに
「ただいろんなことに興味を持てる時間があっただけよ」
と笑うのだ。
その笑顔が、いつも見るふわりとした柔らかいものとは違い
初めて見る彼女のその表情に、俺は彼女のことをもっとよく知りたいと思った。
それから俺は、自分からも話をするようになった。
ただゆきさんが俺に興味のある話を探して、
それを聞くだけではあまりにもつまらない。
俺はゆきさんが何に興味があるのかを知りたかった。
話しているうちにわかったのはゆきさんの交友関係の広さだった。
アラブの石油王から北欧の王家まで
本当にどうやって知り合うのかが不思議なくらい
世界各国に知人がいるようだ。
俺が驚くたびに
「たまたま友達になった人がすごい人だっただけよ」
と笑うのだった。
彼女のことを知れば知るほど
俺なんかが隣に並んでいい相手じゃないことに気づかされる。
それでも今、こうやって俺のために時間を使ってくれているのだと思うと
小さな優越感でいっぱいになるのだった。
それを理解しようとするのも意外に楽しいものよ」
そういっていつも独自の"お話"をしてくれるゆきさんにつられて、
いつしか俺は授業に出席することが多くなっていた。
前までは教科書を読めばわかる程度のこと、としか思っていなかったが、
授業そのものよりも、教師がどういう風に話すのか、
ゆきさんはどう話していたか、といった違いを見つけることが楽しくなっていた。
授業だけでなく、スクールの図書室にある本を
暇を見つけては読むようになった。
どんな種類の本も読んだ。色々な物語やエッセイ
その中でもミステリー小説に惹かれていくようになった。
本の中に散りばめられたかけらを集め、自分なりに推理をする。
ページをめくれば答え合わせが出来る。
自分の推理がピタリと当たった時はそれはもう嬉しかった。
「あらあら、秀ちゃんはまた本を読んでるの?」
今週の家庭教師の時間、ゆきさんが来たことにも気づかずに本に夢中だった俺にゆきさんが声をかけてきた。
家庭教師、というよりは、毎週の"お話"の時間。
家庭教師として仕事になっているのかはいささか疑問ではあったが、
ゆきさんの足が完治するまでは雇うつもりだったであろう母は
その事に関してはあまり気にしていないようだった。
ゆきさんの話はいつも面白かった。
世界中飛び回った過去があるというゆきさんは
世界で見た様々なものを俺に聞かせてくれた。
特に歴史の話をしたときは、実際に見たことがあるのかというほどに
詳しく、丁寧に説明してくれ広い世界にさらに興味を持つようになっていた。
最近では、俺が推理小説にハマっているということで
ゆきさんが出会った不思議な事件の話や
神出鬼没の怪盗の話をしてくれた。
これが作り話じゃないと知ったのはもう少し先のことになるが。
前にゆきさんに
「何でも知ってるんですね」と言ったことがある。
すると彼女は少し寂しそうに
「ただいろんなことに興味を持てる時間があっただけよ」
と笑うのだ。
その笑顔が、いつも見るふわりとした柔らかいものとは違い
初めて見る彼女のその表情に、俺は彼女のことをもっとよく知りたいと思った。
それから俺は、自分からも話をするようになった。
ただゆきさんが俺に興味のある話を探して、
それを聞くだけではあまりにもつまらない。
俺はゆきさんが何に興味があるのかを知りたかった。
話しているうちにわかったのはゆきさんの交友関係の広さだった。
アラブの石油王から北欧の王家まで
本当にどうやって知り合うのかが不思議なくらい
世界各国に知人がいるようだ。
俺が驚くたびに
「たまたま友達になった人がすごい人だっただけよ」
と笑うのだった。
彼女のことを知れば知るほど
俺なんかが隣に並んでいい相手じゃないことに気づかされる。
それでも今、こうやって俺のために時間を使ってくれているのだと思うと
小さな優越感でいっぱいになるのだった。