Reunion of sapphire
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
もう慣れっこになってしまった長い移動を終え、
長年避けていたこの地を訪れる。
「日本なんて、何年ぶりかしら」
世界中様々な国を飛び回っていたため、
生まれ故郷のはずのこの日本が
何か別の国に感じてしまう。
「ずっといないと変わるものねえ」
自分が過ごした時間の重さをひしひしと感じながら
目的地へ足を進めるのだった。
米花町
それが新しい家の住所だ。
新しい街の雰囲気にわくわくしながら
地図通りに進むと、商店街にしてはすこし味気のない
殺風景な建物にたどり着いた。
「あら、一階で、お隣は喫茶店なのね、素敵!」
日本に来る前にすでに渡された鍵を使って
中へと入る。
「あら、思っていたより広いのね」
格安で勝った土地にしてはかなりの広さだ。
このくらいあれば"準備"もしやすい。
これからのスケジュールを頭の中で組み立てながら
ここが商店街だということを思い出す。
「うふふ、ご挨拶に行かなくっちゃね」
部屋の中は殺風景だが、帰国するときに持ってきたお土産は山のようにある
手土産には困らない。
「この時間なら問題ないかしら」
隣が喫茶店なことを思い出し時計を見る。
午後2時。
ランチも落ち着いてきて、ティータイムには少し早い。
今なら行っても迷惑にはならないだろう
「そうと決まればさっそく!」
キャリーから出した土産の山の中から選んだ箱を持って、
隣の喫茶店、ポアロへと向かう。
「いらっしゃいませ」
チリンと、ベルが鳴って女性の店員さんが声をかけてくれた。
予想通り、お客さんは少ない。
店の隅でのんびり話をしている親子連れがいるくらい。
「こんにちは、ここに来るのは初めてなの。
何かおすすめをいただけるかしら?」
コーヒーのいい香りを味わいながら店員さんにそう告げる
黒髪ロングの女性は
かわいらしい笑顔で了承すると、親子連れの隣の席に案内してくれた。
こんなに空いてるのに隣の席ってどういうことなのかしら?
少し疑問に思ったが、どうやらこの喫茶店は客通しの交流も多いらしく、
隣に座っていた中年の男性がすぐに話しかけてきた。
「こんにちは、こんな美しい女性に会えるなんて、
今日の私はよほど運がいいらしい。
私この喫茶店の上で探偵をしている毛利小五郎と申します」
「あら、うれしいご近所さんなのね」
「ご近所?お姉さんもこの近くに住んでらっしゃるんですか?」
男性の娘さんだろうか、高校生くらいの女の子がそう尋ねる
「ええ、この喫茶店の隣に店を構えることになった
ゆきと申します。どうぞよろしくお願いします」
「ポアロの隣!ホントに近所なんですね!」
男性、小五郎さんが少し食い気味にそう言う。
「ええ、今日はご挨拶に、と思いまして」
ちょうどその時、店員さんがコーヒーを運びながら
会話に入ってきた
「あ!そうなんですか、私はここでウェイターをやってます
榎本梓っていいます!ゆきさん…でいいですか?」
「ええ、コーヒーありがとうございます。
あと、こちらも、よろしければ使ってください。」
手土産に選んだのはドイツ製のティーカップ
二つしか入っていないので喫茶店で使えるかどうかは微妙なところだが、
まあ綺麗なカップなので置物としても重宝するだろう
「わあ!綺麗なカップ!ありがとうございます!」
「ねえ、それマイセン焼きじゃない?」
さっきまでずっと本を読んでいた少年がふと、そう尋ねた
「マイセン、焼?」
梓さんが首をかしげる
まあ好みはあると思うけど、喫茶店の店員さんがそれでいいのかしら
とか少し心配になってしまう。
「うん!ドイツの陶芸品で、結構高級品だと思うんだけど……?」
少年がこちらに目を向けながらそう続けた。
「正解、坊や、よくわかったわね」
「う、うん!この前テレビでやってたの!」
少年の頭をなでながら褒めると、
少年は少し気まずそうに答えた。
テレビ、か…最近のテレビは陶磁器の特集とかするんだ
「そ、そんな高級品いただいていいんですか?!」
さっきまでとは全く顔色を変えた梓さんがそう言った。
「構いませんよ、私の家にあるより喫茶店にあったほうが
そのカップも喜びますから」
ふわりと笑ってそう答える。
引っ越しの準備で適当に食器を買い集めすぎて
意味もなくペアカップ買ってしまってちょっと困ってたとか言わないでおこう。
「ねえ、おねえさんはどうして米花町に引っ越してきたの?」
「どうして?」
引っ越しにどうしても何もないんじゃないのか、
少年の質問の意味が分からず尋ね返す
「おいコナン」
小五郎さんがたしなめるようにそう言った
「だって!
おねえさんマイセン焼きなんて高級品を
引っ越しの手土産程度に簡単に渡せるくらいお金持ちなんでしょ?
米花町よりもっと便利なところに住もうとか思わなかったの?」
少年の指摘にくすりと笑いがこぼれてしまう
「ふふふ、ごめんなさいね
なんでも知りたがりの小学生が知り合いにもいたものだから…
そうね、私これからお店を始めるんだけど、
ここの条件が探してた物件にぴったりだったの。」
「そうなんだ?」
少年がまだ少し納得していないという顔でこちらを見上げる
本当に、こんなところまでそっくりなんだから笑ってしまう。
「そうなの、またお店の準備ができたら招待するわね、
えっと、ボクの名前は…」
「僕、江戸川コナン!よろしくね、おねえさん!」
「あ、私、毛利蘭です。小五郎の娘です」
「そう、またお茶でもしましょうね、蘭ちゃん、コナンくん」
それだけ告げると、レジに伝票と
少し多めのお金を残して店を出る。
そういえばやらないきゃいけないことがいーっぱい残ってたんだっけ。
「とりあえず……電機類かしら」
長年避けていたこの地を訪れる。
「日本なんて、何年ぶりかしら」
世界中様々な国を飛び回っていたため、
生まれ故郷のはずのこの日本が
何か別の国に感じてしまう。
「ずっといないと変わるものねえ」
自分が過ごした時間の重さをひしひしと感じながら
目的地へ足を進めるのだった。
米花町
それが新しい家の住所だ。
新しい街の雰囲気にわくわくしながら
地図通りに進むと、商店街にしてはすこし味気のない
殺風景な建物にたどり着いた。
「あら、一階で、お隣は喫茶店なのね、素敵!」
日本に来る前にすでに渡された鍵を使って
中へと入る。
「あら、思っていたより広いのね」
格安で勝った土地にしてはかなりの広さだ。
このくらいあれば"準備"もしやすい。
これからのスケジュールを頭の中で組み立てながら
ここが商店街だということを思い出す。
「うふふ、ご挨拶に行かなくっちゃね」
部屋の中は殺風景だが、帰国するときに持ってきたお土産は山のようにある
手土産には困らない。
「この時間なら問題ないかしら」
隣が喫茶店なことを思い出し時計を見る。
午後2時。
ランチも落ち着いてきて、ティータイムには少し早い。
今なら行っても迷惑にはならないだろう
「そうと決まればさっそく!」
キャリーから出した土産の山の中から選んだ箱を持って、
隣の喫茶店、ポアロへと向かう。
「いらっしゃいませ」
チリンと、ベルが鳴って女性の店員さんが声をかけてくれた。
予想通り、お客さんは少ない。
店の隅でのんびり話をしている親子連れがいるくらい。
「こんにちは、ここに来るのは初めてなの。
何かおすすめをいただけるかしら?」
コーヒーのいい香りを味わいながら店員さんにそう告げる
黒髪ロングの女性は
かわいらしい笑顔で了承すると、親子連れの隣の席に案内してくれた。
こんなに空いてるのに隣の席ってどういうことなのかしら?
少し疑問に思ったが、どうやらこの喫茶店は客通しの交流も多いらしく、
隣に座っていた中年の男性がすぐに話しかけてきた。
「こんにちは、こんな美しい女性に会えるなんて、
今日の私はよほど運がいいらしい。
私この喫茶店の上で探偵をしている毛利小五郎と申します」
「あら、うれしいご近所さんなのね」
「ご近所?お姉さんもこの近くに住んでらっしゃるんですか?」
男性の娘さんだろうか、高校生くらいの女の子がそう尋ねる
「ええ、この喫茶店の隣に店を構えることになった
ゆきと申します。どうぞよろしくお願いします」
「ポアロの隣!ホントに近所なんですね!」
男性、小五郎さんが少し食い気味にそう言う。
「ええ、今日はご挨拶に、と思いまして」
ちょうどその時、店員さんがコーヒーを運びながら
会話に入ってきた
「あ!そうなんですか、私はここでウェイターをやってます
榎本梓っていいます!ゆきさん…でいいですか?」
「ええ、コーヒーありがとうございます。
あと、こちらも、よろしければ使ってください。」
手土産に選んだのはドイツ製のティーカップ
二つしか入っていないので喫茶店で使えるかどうかは微妙なところだが、
まあ綺麗なカップなので置物としても重宝するだろう
「わあ!綺麗なカップ!ありがとうございます!」
「ねえ、それマイセン焼きじゃない?」
さっきまでずっと本を読んでいた少年がふと、そう尋ねた
「マイセン、焼?」
梓さんが首をかしげる
まあ好みはあると思うけど、喫茶店の店員さんがそれでいいのかしら
とか少し心配になってしまう。
「うん!ドイツの陶芸品で、結構高級品だと思うんだけど……?」
少年がこちらに目を向けながらそう続けた。
「正解、坊や、よくわかったわね」
「う、うん!この前テレビでやってたの!」
少年の頭をなでながら褒めると、
少年は少し気まずそうに答えた。
テレビ、か…最近のテレビは陶磁器の特集とかするんだ
「そ、そんな高級品いただいていいんですか?!」
さっきまでとは全く顔色を変えた梓さんがそう言った。
「構いませんよ、私の家にあるより喫茶店にあったほうが
そのカップも喜びますから」
ふわりと笑ってそう答える。
引っ越しの準備で適当に食器を買い集めすぎて
意味もなくペアカップ買ってしまってちょっと困ってたとか言わないでおこう。
「ねえ、おねえさんはどうして米花町に引っ越してきたの?」
「どうして?」
引っ越しにどうしても何もないんじゃないのか、
少年の質問の意味が分からず尋ね返す
「おいコナン」
小五郎さんがたしなめるようにそう言った
「だって!
おねえさんマイセン焼きなんて高級品を
引っ越しの手土産程度に簡単に渡せるくらいお金持ちなんでしょ?
米花町よりもっと便利なところに住もうとか思わなかったの?」
少年の指摘にくすりと笑いがこぼれてしまう
「ふふふ、ごめんなさいね
なんでも知りたがりの小学生が知り合いにもいたものだから…
そうね、私これからお店を始めるんだけど、
ここの条件が探してた物件にぴったりだったの。」
「そうなんだ?」
少年がまだ少し納得していないという顔でこちらを見上げる
本当に、こんなところまでそっくりなんだから笑ってしまう。
「そうなの、またお店の準備ができたら招待するわね、
えっと、ボクの名前は…」
「僕、江戸川コナン!よろしくね、おねえさん!」
「あ、私、毛利蘭です。小五郎の娘です」
「そう、またお茶でもしましょうね、蘭ちゃん、コナンくん」
それだけ告げると、レジに伝票と
少し多めのお金を残して店を出る。
そういえばやらないきゃいけないことがいーっぱい残ってたんだっけ。
「とりあえず……電機類かしら」
1/9ページ