初夏の訪れ
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あのあと新一の助けを借りて保健室に移動した。
特に腫れや傷は見当たらなかったが、かなりの勢いで頭部を打ち付けたこともあり、念のために病院で検査をすることになった。
「新一」
「あ?なんだよ」
私の荷物を全部背負い込んでタクシーに同乗しようとしている新一の背中に声をかける。
体育祭真っ只中のため、ごの教師も仕事に追われていた。
付き添いの教師1名だけでは荷物を全部持ったうえで、
ふらついた私を支えられないから、と新一が教師と一緒に病院まで付き添うと言いだしたのだ。
「いいよ、自分で持てるし」
「ふらついてるやつの言葉なんて信用できるか」
新一は私の言葉を無視してタクシーに乗り込む。
付き添いの教師は準備やらなにやらがあるって言ってあとから合流予定。それ付き添いの意味あるのって思わなくもない。
タクシーには私と新一の二人だけ。
「楽しみにしてたじゃん、体育祭」
「あー、まあな」
「戻りなって」
新一からしてみれば、元の体に戻れて念願の学校行事。
しかも、高校三年の。今回を逃したらもう一生できないかもしれないのに。
「バーロー、体育祭よりお前の方が大事に決まってんだろ」
言わせんな、
新一は照れくさそうに視線を逸らした。
「……ありがと」
それから病院までの道中、なんとも言えない沈黙のまま過ごした。
「優!?大丈夫なの!?」
日差しが傾きかけてきた夕方ごろ、
バタバタとした足音と共に蘭と園子が病室にやってきた。
「うるせーぞおめえら」
「だ、だって、入院って……」
「念のために検査入院!多分一時的な眩暈だろうって」
蘭が扉の前から動かないまま、心配そうに尋ねてくるので、
出来るだけ明るくそう返した。
急いで来てくれたのかな、ジャージのまんまだ。
「ほんとに?」
「よかったあ……」
私の言葉に蘭と園子はほっと胸を撫で下ろした。
「あれ、そういえば世良は?」
「ああ、世良さんなら打ち上げ行ってるよ。
新一から連絡もらってるし、皆で押し掛けても迷惑だろうからって」
「お前らにもメール送っただろ、大丈夫だって」
新一が呆れたようにため息を付く。
病院に来るときから、こんなに長い時間ずっと付き添っていてくれた新一には本当に感謝しかない。
「ほら、私はもう大丈夫だから皆打ち上げ行ってきなよ!」
私もなんともないから、
そう言って笑って見せるも、なぜか三人は顔を見合わせて首を横に振る。揃いも揃ってなんだってんだ。
「優抜きで打ち上げなんてしても楽しくないわよ」
「そうだよ!退院したらもう一回やろ?」
「蘭、園子……ありがとう……!」
にこにこと微笑む二人。本当に私は素晴らしい幼馴染囲まれて幸せ者だなあ。