飛行機の乗客の少年　天野椿

「手を挙げろ！」

緊迫した空気が機内を包み込む
目の前には黒づくめの武装集団
ハイジャック犯の一人が拳銃を取り出した瞬間に騒然とする機内脚

（次はハイジャックかよ……！）

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場転

国内線の飛行機に乗り込む椿
指定された座席を見つけて座る

（おばあちゃんの家に行くの久しぶりだなあ）

荷物を抱え込みながら行先に思いをはせる椿

「本日は満開航空をご利用いただきまして誠にありがとうございます」

（久々に福岡に行って食べたいものがいっぱいあるなあ）
（母さんも父さんもこれなかったのは少し残念だけど）

席につきながら窓の外を眺める椿

「うわ、」

離陸した飛行機の揺れに思わず声を上げる椿

「すいません」

日中の国内線
声を上げる椿に視線が集まる
椿は恥ずかしそうに小さく隣の座席の乗客に頭を下げる

「すいません、オレンジジュースもらってもいいですか」

客室乗務員に声をかける椿

「はい、少々お待ちください」

客室乗務員はにこりと笑いかけると調理室に去っていく

（到着まであと２時間か）

窓の外を眺めたまま、椿は目を閉じる
背後にオレンジジュースを提供しにくる客室乗務員

椿モノローグ
「平穏な日常がいつまでも続くと思っていた。
目を開けた瞬間から、地獄のような時間が訪れるなんて、
俺はこの時想像もしていなかった」