stage40.12:ありえないことなんてない
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「何よこれ! ありえない!!」
全然病弱で清楚なお嬢様じゃないカレンの叫びが生徒会室に響いた。
「そうなんだけどさ。基準の数字が目分量をもとにしたモノではあるが、計算するとおおよそこうなるんだよなぁ……」
計算式の書かれたメモ用紙を指差しながら言っているのは信也。最近まで地獄をさ迷い、やっと復活したばかりである。
ちなみに生徒会室は現在、二人だけなので真田信也と紅月カレンで普通に会話している。
「計算は確かに間違ってないけど、いくらなんでもこれはないわ! 50メートル走が2.5秒なんて!」
「だが、カレンだって見ただろ? あの『ありえない』速さの動き!」
「そりゃ~……そうだけどさぁ……」
それを言われてしまうとカレンも答えに困ってしまう。
ちなみに先程から二人が議論しているのは…
「でも、咲世子さんの身体能力が高いのは間違いないけど、これはないわよ! だって50メートル走が2.5秒なんて人間には無理よ!」
そう、少し前に見た咲世子のありえない高速移動についてなのだ。
「確かにそうだけど、あり得るんじゃないか? 割りと足が早い俺でも5秒台だから」
「えっ? アンタも5秒台なの?」
「ああ。確か……5.62だったかな? まあ、多少鍛えてるからこれぐらい普通だろ?」
「うっ!?」
「ん?」
カレンの反応を見て怪訝な顔をした後、信也は理解したらしくニヤケながら聞く。
「もしかして、俺の方が足早い? カレンは何秒なの?」
「……5.77よ」
「ふ~ん♪ 俺の方が足早いんだぁ♪」
「大して変わらないじゃない!!」
「でも勝ちは勝ち♪」
「~~~~!」
信也は悔しそうなカレンを見てさらに喜ぶ。体を動かすことでカレンに勝てて大喜びである。
「と、ともかく2秒台なんてありえないわ!」
「まあ、そうだけど。これぐらいの速度じゃないと…」
「きっと慌ててたから距離を勘違いした、もしくは何か計算する上で算出してる数字が間違ってるのよ」
「そうかなぁ」
「そうよ! 私達で5秒台なのよ? って事は足が早い人や本格的に陸上競技で鍛えてる人は…おそらくだけど…4秒台ぐらいでしょ? それに咲世子さんはメイド服着てたのよ? どう考えたって2.5秒はありえないわ!」
「う~ん……」
理屈の上ではそうなのだが、信也は何か引っ掛かりを感じているようだ。
ちなみに、咲世子以前に《自分達の基準や感覚》も大概おかしいと言う事実に二人は全く気付いていない。
「この数字だと秒速20メートルよ! ありえない!」
「秒速20メートルだから……時速72キロ」
「生身の人間が時速72キロってどんな速度よ!」
「あんな速度なんじゃないか?」
「絶~~~ッッ対にムリよ! 有り得ないわ! 一般的な自転車でも最大加速時の速度が40キロぐらいって話なのよ?」
「でも自転車で40キロって言われているより結構簡単に出るだろ?」
「それはそうだけど、それは自転車の話!」
「それはそうだけど…」
やはり若干ずれている二人が、お互いが似たようなものなのでそれに気づけない。
「普通に考えなさいよ! ナイトメアじゃないのよ? 生身の人間よ! しかもメイド服でよ? ありえないじゃない!」
時速72キロで走るメイド……確かにありえない。
常識で考えればカレンの方が正論なので信也は黙らざるえない。
ちなみに二人が『ありえないことなんてない』と思い知らされるのは、もうしばらく後の事である。
しかも、あれで全力ではないと言うのが何とも笑えない話だ。
全然病弱で清楚なお嬢様じゃないカレンの叫びが生徒会室に響いた。
「そうなんだけどさ。基準の数字が目分量をもとにしたモノではあるが、計算するとおおよそこうなるんだよなぁ……」
計算式の書かれたメモ用紙を指差しながら言っているのは信也。最近まで地獄をさ迷い、やっと復活したばかりである。
ちなみに生徒会室は現在、二人だけなので真田信也と紅月カレンで普通に会話している。
「計算は確かに間違ってないけど、いくらなんでもこれはないわ! 50メートル走が2.5秒なんて!」
「だが、カレンだって見ただろ? あの『ありえない』速さの動き!」
「そりゃ~……そうだけどさぁ……」
それを言われてしまうとカレンも答えに困ってしまう。
ちなみに先程から二人が議論しているのは…
「でも、咲世子さんの身体能力が高いのは間違いないけど、これはないわよ! だって50メートル走が2.5秒なんて人間には無理よ!」
そう、少し前に見た咲世子のありえない高速移動についてなのだ。
「確かにそうだけど、あり得るんじゃないか? 割りと足が早い俺でも5秒台だから」
「えっ? アンタも5秒台なの?」
「ああ。確か……5.62だったかな? まあ、多少鍛えてるからこれぐらい普通だろ?」
「うっ!?」
「ん?」
カレンの反応を見て怪訝な顔をした後、信也は理解したらしくニヤケながら聞く。
「もしかして、俺の方が足早い? カレンは何秒なの?」
「……5.77よ」
「ふ~ん♪ 俺の方が足早いんだぁ♪」
「大して変わらないじゃない!!」
「でも勝ちは勝ち♪」
「~~~~!」
信也は悔しそうなカレンを見てさらに喜ぶ。体を動かすことでカレンに勝てて大喜びである。
「と、ともかく2秒台なんてありえないわ!」
「まあ、そうだけど。これぐらいの速度じゃないと…」
「きっと慌ててたから距離を勘違いした、もしくは何か計算する上で算出してる数字が間違ってるのよ」
「そうかなぁ」
「そうよ! 私達で5秒台なのよ? って事は足が早い人や本格的に陸上競技で鍛えてる人は…おそらくだけど…4秒台ぐらいでしょ? それに咲世子さんはメイド服着てたのよ? どう考えたって2.5秒はありえないわ!」
「う~ん……」
理屈の上ではそうなのだが、信也は何か引っ掛かりを感じているようだ。
ちなみに、咲世子以前に《自分達の基準や感覚》も大概おかしいと言う事実に二人は全く気付いていない。
「この数字だと秒速20メートルよ! ありえない!」
「秒速20メートルだから……時速72キロ」
「生身の人間が時速72キロってどんな速度よ!」
「あんな速度なんじゃないか?」
「絶~~~ッッ対にムリよ! 有り得ないわ! 一般的な自転車でも最大加速時の速度が40キロぐらいって話なのよ?」
「でも自転車で40キロって言われているより結構簡単に出るだろ?」
「それはそうだけど、それは自転車の話!」
「それはそうだけど…」
やはり若干ずれている二人が、お互いが似たようなものなのでそれに気づけない。
「普通に考えなさいよ! ナイトメアじゃないのよ? 生身の人間よ! しかもメイド服でよ? ありえないじゃない!」
時速72キロで走るメイド……確かにありえない。
常識で考えればカレンの方が正論なので信也は黙らざるえない。
ちなみに二人が『ありえないことなんてない』と思い知らされるのは、もうしばらく後の事である。
しかも、あれで全力ではないと言うのが何とも笑えない話だ。