「しかし、シンヤもルルーシュと同じで罪な男だよなぁ」
「はぁ？　何故俺がルルーシュと同列扱いをうけないといけないんだ？」
　シンヤは普通に驚いてわけがわからないと首を傾げている。
　ちなみに比較されたルルーシュも意味がわかってないらしい。
　リヴァルは二人のそんな態度に尚更腹が立った。
「なんでお前達ばっかり！！」
「別にモテた記憶はないけど…」
「なぁ！　俺にはモテ要素ないのかなぁ？」
「あのな、前にも言ったが、俺は日常の些細なことから社会情勢に至るまで考えなきゃならないことがジャンルだけでも１３８項目あるんだ。その上、何故お前の個人的願望に頭を悩ませなきゃならない」
「んな事言ったって、俺にとっては人生笑って楽しく暮らせるかどうかがかかった一大事なんだって！」
「大袈裟だなぁ…」
　ルルーシュでは素気なく扱われると判断したのか、リヴァルは棄てられた子犬のような目でシンヤを見る。
「う～ん…男と女では感性が違うんだから俺達じゃなくて女子に聞いたら？」
「女子に？　それはなんかちょっと…」
「人当たりの良さはリヴァルの長所だろ？　そこを活かしてまずは情報収集から始めて――」
「んな事してたら青春終わっちゃうだろ！」
「リヴァル、焦らない方がいいよ？」
「え～……」
「あまりがっつくと軽く見えるからな」
「確かにそうかも」
　リヴァルは三人の役に立つのか立たないのかよくわからない進言を聞いてムクレる。
「そりゃあお前達は女に困った事ないからいいじゃないか、スザクは例のアーサーの手当てをした人がいるし、お前等の取り巻きの女子（シャーリー、カレン、ソフィ）だっては皆可愛いし、胸あるからなぁ…」
「胸って…」
　別に自分はモテてないし、胸は関係ないだろとシンヤが指摘しようとすると、リヴァルが機先を制するように膨れっ面をやめて思春期の妄想がいっぱいな事を言い出す。
「そう言えば、胸ってさわったらどんな感触なのかな？」
「ふぁ！？」
「な、何を言い出すんだ！　はしたない！！！」
　顔が真っ赤になる坊やが二人。
「胸の感触って二の腕と似てるって聞いたけど本当なの？」
「誰から聞いたんだ。そんな話」
「聞いたってシンヤも知ってるだろ？」
「あ、ああ。その話は結構有名だからな」
「そ、そうなのか？」
「ああ、俺も知ってるぐらいだから、たぶん」
　シンヤまで知っていると言い出したのでルルーシュは少々驚いたようだ。
　そんな思春期の少年三人の横で、スザクは何やら思い出すように考えた後にポツリと呟く。
「二の腕……みたいな感じだったかなぁ？　似てたような、似てなかったような……」
「「「ふぇ？」」」
　ピシッと固まる三人。
「……あっ」
　三人の反応にスザクは言ってはいけない事を言ったのかと慌てて口を塞ぐ。
「ススス、スザク、お前触った事あるのか？！」
「えっ……あっ、その……成り行きと言うか、なんと言うか……」
　動揺しまくりのルルーシュにスザクは動揺しながら返事する。
「どんな感じだった！」
「え、どんな感じと言われても…」
　当然ながらがっつくリヴァルに引き気味なスザク。
「て言うかそもそも誰の胸を触ったんだ？」
「誰って……それはその……」
　当然な疑問を口にするシンヤにスザクは困惑する。
「まさか例のアーサーの手当てをしたと言う噂の人間か？」
「ち、違うよ！」
　ルルーシュの指摘に、その人が誰か知っているシンヤの表情が引き攣るのでスザクは大慌てで否定する。
「じゃあ弁当を作ってくれた軍の上司？」
「セ、セシルさんにそんな事をするはずないじゃないか！」
　リヴァルの意見もスザクは慌てて否定する。
「ま、まさか……」
「？」
　シンヤは何やら恐ろしい可能性に気付いたようで凄まじく悪い顔色をさせながら思い付いた名を口にする。
「ナ、ナナ……リーだったり……して……」
「ナッ！？」
「えっ、ええ？！」
　シンヤの発言に固まるリヴァルとスザク。そして、
「スザァァァクッッ！？」
　当然の反応をするお兄様。
「ち、違う！　違うから！　ルルーシュ、落ち着いて！！」
「スザァァァクッ！！！！　ナナリーは！　ナナリーは！」
「お、落ち着けよ、ルルーシュ」
「黙れ、リヴァル！　お前は口を挟むな！！　ナナリーには交際など、恋愛など……ナナリーにはまだ、まだ…まだまだ早い！！」
「だ、だから……」
「ましてや不埒な理由でナナリーに近付など言語道断だ！」
「いや、だからルルーシュ、話を……」
「お前などにナナリーはやらん！！！」
「父親か、お前……」
「シンヤッ！！！　お前は口を挟むなぁーーーッ！！！」
「ルルーシュ！　落ち着いてよ！」
「これが落ち着いてなどいられるかぁーーーッ！！」