stage24.58:それは淡く儚い…
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「屋上で昼メシ食うなんて青春ぽくねぇ?」
焼きそばパンを片手に相変わらず呑気な事を言うリヴァル。
「あのなぁ、リヴァル。青春がどうとか以前にここは少し風が強くないか? 折角の弁当に砂がかかりかねない」
少し大きめなランチボックスを庇いながらぼやくルルーシュ。
「でもたまにはこう言う違う感じでのお昼ご飯も楽しいじゃないか」
コチラも少し大きめのランチボックスを持ったスザク。
「まあ、食堂ばかりじゃなくて外で食べるのもいいんじゃないか?」
お腹が空いているのか、鞄に入れたパン達を見つめながら口を挟むシンヤ。
お馴染みの生徒会男子メンバーは四人揃ったので屋上で昼食を食べる事にしたのだ。もちろん提案者はリヴァル。
リヴァルが提案してスザクが乗り、じゃあとシンヤが合わせるので仕方なくルルーシュも続く。これがこの四人の基本的なパターンである。
四人は弁当なりパンなりを置いて円になって腰を降ろした。
「珍しいな、ルルーシュの弁当が大きい」
さっきから気になっていた事をシンヤが指摘する。
「そう言えば珍しいなぁ」
「ああ、実はナナリーが咲世子さんと作ったんだ。その……よければスザクと一緒に食べてほしいと、スザクはいつも食堂かパンだからな」
「ナナリーが一生懸命作ったんなら喜んでいただくよ」
「しかし……」
ルルーシュは視線をスザクが持って来たランチボックスに向ける。
「これは軍の上司がたまには食堂とかパンじゃなくお弁当をて言ってくれただけで……大丈夫! ナナリーが作ったのをもらうよ!」
「いいのか?」
「ナナリーが一生懸命作ってくれたんだから食べないと!」
スザクは内心では大喜びだ。今のスザクには間違いなくナナリーが天使に見えているだろう。
「俺も欲しい」
「ダメだ!!」
「イタッ! 何でだよぉ~……それに叩く事ないだろ」
リヴァルはルルーシュに叩かれた手を押さえながらむくれる。
「これは俺とスザクの為にナナリーが咲世子さんと一緒に一生懸命作った物だ! お前達になどやらん!!」
「ひでぇーなぁ。一つぐらい」
「ダメだ。お前達にやるなど勿体ない!」
「それは失礼だろ。なぁ、シンヤ」
「確かに失礼だな」
「だろ?」
「その弁当はナナリーがルルーシュとスザクの事を想って作ったんだ。そんな大事な物を俺が横取りすると思っているとは実に失礼だ」
「あれ? ……そっち?」
リヴァルと違っていやしい事はしないシンヤ。
「もしかして、俺だけ空気読めてない感じ?」
「そのようだな」
「ガックシ」
リヴァルはナナリーの作った弁当を諦めて焼きそばパンを食べ始めた。
別にリヴァルのフォローをするわけではないだろうが、シンヤが羨ましそうにルルーシュの弁当を眺めながらぼやく。
「でも手作りの弁当って羨ましいよなぁ」
「シンヤもそう思うだろ?」
「ああ、羨ましいな」
ルルーシュは眉をピクッと吊り上げ煙たそうな目で二人を(無意識に)見下す。
「だったら作ってもらえばいいだろ」
「「誰に?」」
「……リヴァルはともかく」
「ぬぁーっ!?」
あっさり切られた事が地味に効いたリヴァル。
「シンヤは邸の連中に作ってもらえばいいだろ?」
「それちょっと悲しくないか?」
「悲しいな」
シンヤとリヴァルの言葉をルルーシュが訝しんでいる。
「はぁ? 弁当が欲しいんだろ?」
「「ハァ~」」
「? スザク」
「なんだい、ルルーシュ」
「俺は何か変な事を言ったか?」
「ううん、普通だけど」
朴念仁ズに呆れつつ二人は話を進める。
「わかってないなぁ、君達。俺達は愛が篭った弁当が欲しい!」
「愛?」
ルルーシュは怪訝な表情で片方の眉を吊り上げて首を傾げる。
「大体、ナナちゃんの弁当。ルルーシュはともかく、なんでスザクの分があるんだよぉ。俺達二人の分はないのにぃ」
「へぇ? そう言えば……」
リヴァルの言葉にスザクは疑問を感じたようだが、シンヤは心の内でのみだがため息がこぼれる。
(察しろよ、お前等)
シンヤは心の中だけでツッコミを入れた。
「たぶん幼なじみだって言うだけじゃなくて、僕が一人暮らしだって知ってるから気を使ってくれたんだよ。ナナリーは優しいからね」
「………」
(さすが天然にして朴念仁ズの一人……)
何やらルルーシュ限定で不穏な空気になりそうな事を察したシンヤは話の方向性を変える。
「まあ、確かに羨ましくはあるが、俺達も欲しがってたと伝わってナナリーが無理しちゃいけないから我慢しましょう」
「へぇ~い……」
シンヤの言葉でリヴァルは渋々と諦めたようだ。そんな彼の言動にルルーシュは呆れる。
「そんなに欲しいのか、弁当」
「そりゃあそうでしょ。あっ、言っておくけど、精密には愛情の詰まった弁当ね」
「ナナリーの作った弁当なら間違いなく食べる人への愛情がたっぷり入ってるだろ?」
「当然だ!」
自信満々に(ポーズ付きで)言い放つルルーシュにシンヤは苦笑しながら返す。
「まあ、いつでも愛情のつまった弁当を作ってもらえる二人にはわからないんだろうが、愛妻弁当ならぬ曖妹弁当が羨ましいと言う意味だな」
「羨ましいよなぁ。大体、スザクなんて二人に作ってもらってるもんなぁ」
「しかも片方は食べないみたいだし」
何も知らない者達が制作者に同情する。
念のためにシンヤが確認する。
「それ作ってくれた人ってやっぱり女性?」
「え? うん」
「それってもしかして例の女(ヒト)?」
「エッ!?」
リヴァルの質問に、例の女が誰か知っているシンヤは『皇女様が手作り弁当?!』と驚愕して口に含んだサンドイッチを噴き出す。スザクは慌てて否定する。
「ち、違うよ! その方じゃなくて本当に軍の上司が!」
ちなみに、ナナリーに作って貰っているので「皇女様に手作り弁当を作ってもらっている」のだが、この時のシンヤはまだそんな事実は知らない事実である。
「フン、コイツは昔から年上の女をタラシ込むのが得意だからな」
「え? そうなの?」
「ああ」
幼なじみルルーシュにより唐突に浮上するスザクの年上キラー疑惑。
「昔の話じゃないか」
「昔じゃないだろ、現に今だってその弁当が事実を物語っているだろ?」
「違うよ! セシルさんは気を使って……」
必死に弁明するスザクだが、ルルーシュは『ナナリーがいながら!!』と心の何処かで思っているのか、追究が執拗である。ちなみに興味が無くなったのかシンヤは食事を再開した。
ルルーシュの追究が終わったのを見計らい、リヴァルがベタな質問をする。
「そのセシルさんって人は美人なの?」
「え? 綺麗だとは思うけど……違うんだ、リヴァル。セシルとはそういう関係じゃないんだ」
「お前がそう思ってなくても向こうはどうなんだろうな、お前は天然だからな」
「天然?」
「そうか! 年上の女性は天然に弱いのかぁ!!!」
何かに独りで納得するリヴァル。
(でも、ナナリーもユーフェミアも年下だけどな……)
的を射た指摘を口には出さず心の中に留めた。それは前者に対する優しさと後者に対する面倒くささからの行動である。三人が議論する中、シンヤはマイペースに食事をする事で沈黙を守った。
やはり彼は人の事だとちゃんと気付く。
焼きそばパンを片手に相変わらず呑気な事を言うリヴァル。
「あのなぁ、リヴァル。青春がどうとか以前にここは少し風が強くないか? 折角の弁当に砂がかかりかねない」
少し大きめなランチボックスを庇いながらぼやくルルーシュ。
「でもたまにはこう言う違う感じでのお昼ご飯も楽しいじゃないか」
コチラも少し大きめのランチボックスを持ったスザク。
「まあ、食堂ばかりじゃなくて外で食べるのもいいんじゃないか?」
お腹が空いているのか、鞄に入れたパン達を見つめながら口を挟むシンヤ。
お馴染みの生徒会男子メンバーは四人揃ったので屋上で昼食を食べる事にしたのだ。もちろん提案者はリヴァル。
リヴァルが提案してスザクが乗り、じゃあとシンヤが合わせるので仕方なくルルーシュも続く。これがこの四人の基本的なパターンである。
四人は弁当なりパンなりを置いて円になって腰を降ろした。
「珍しいな、ルルーシュの弁当が大きい」
さっきから気になっていた事をシンヤが指摘する。
「そう言えば珍しいなぁ」
「ああ、実はナナリーが咲世子さんと作ったんだ。その……よければスザクと一緒に食べてほしいと、スザクはいつも食堂かパンだからな」
「ナナリーが一生懸命作ったんなら喜んでいただくよ」
「しかし……」
ルルーシュは視線をスザクが持って来たランチボックスに向ける。
「これは軍の上司がたまには食堂とかパンじゃなくお弁当をて言ってくれただけで……大丈夫! ナナリーが作ったのをもらうよ!」
「いいのか?」
「ナナリーが一生懸命作ってくれたんだから食べないと!」
スザクは内心では大喜びだ。今のスザクには間違いなくナナリーが天使に見えているだろう。
「俺も欲しい」
「ダメだ!!」
「イタッ! 何でだよぉ~……それに叩く事ないだろ」
リヴァルはルルーシュに叩かれた手を押さえながらむくれる。
「これは俺とスザクの為にナナリーが咲世子さんと一緒に一生懸命作った物だ! お前達になどやらん!!」
「ひでぇーなぁ。一つぐらい」
「ダメだ。お前達にやるなど勿体ない!」
「それは失礼だろ。なぁ、シンヤ」
「確かに失礼だな」
「だろ?」
「その弁当はナナリーがルルーシュとスザクの事を想って作ったんだ。そんな大事な物を俺が横取りすると思っているとは実に失礼だ」
「あれ? ……そっち?」
リヴァルと違っていやしい事はしないシンヤ。
「もしかして、俺だけ空気読めてない感じ?」
「そのようだな」
「ガックシ」
リヴァルはナナリーの作った弁当を諦めて焼きそばパンを食べ始めた。
別にリヴァルのフォローをするわけではないだろうが、シンヤが羨ましそうにルルーシュの弁当を眺めながらぼやく。
「でも手作りの弁当って羨ましいよなぁ」
「シンヤもそう思うだろ?」
「ああ、羨ましいな」
ルルーシュは眉をピクッと吊り上げ煙たそうな目で二人を(無意識に)見下す。
「だったら作ってもらえばいいだろ」
「「誰に?」」
「……リヴァルはともかく」
「ぬぁーっ!?」
あっさり切られた事が地味に効いたリヴァル。
「シンヤは邸の連中に作ってもらえばいいだろ?」
「それちょっと悲しくないか?」
「悲しいな」
シンヤとリヴァルの言葉をルルーシュが訝しんでいる。
「はぁ? 弁当が欲しいんだろ?」
「「ハァ~」」
「? スザク」
「なんだい、ルルーシュ」
「俺は何か変な事を言ったか?」
「ううん、普通だけど」
朴念仁ズに呆れつつ二人は話を進める。
「わかってないなぁ、君達。俺達は愛が篭った弁当が欲しい!」
「愛?」
ルルーシュは怪訝な表情で片方の眉を吊り上げて首を傾げる。
「大体、ナナちゃんの弁当。ルルーシュはともかく、なんでスザクの分があるんだよぉ。俺達二人の分はないのにぃ」
「へぇ? そう言えば……」
リヴァルの言葉にスザクは疑問を感じたようだが、シンヤは心の内でのみだがため息がこぼれる。
(察しろよ、お前等)
シンヤは心の中だけでツッコミを入れた。
「たぶん幼なじみだって言うだけじゃなくて、僕が一人暮らしだって知ってるから気を使ってくれたんだよ。ナナリーは優しいからね」
「………」
(さすが天然にして朴念仁ズの一人……)
何やらルルーシュ限定で不穏な空気になりそうな事を察したシンヤは話の方向性を変える。
「まあ、確かに羨ましくはあるが、俺達も欲しがってたと伝わってナナリーが無理しちゃいけないから我慢しましょう」
「へぇ~い……」
シンヤの言葉でリヴァルは渋々と諦めたようだ。そんな彼の言動にルルーシュは呆れる。
「そんなに欲しいのか、弁当」
「そりゃあそうでしょ。あっ、言っておくけど、精密には愛情の詰まった弁当ね」
「ナナリーの作った弁当なら間違いなく食べる人への愛情がたっぷり入ってるだろ?」
「当然だ!」
自信満々に(ポーズ付きで)言い放つルルーシュにシンヤは苦笑しながら返す。
「まあ、いつでも愛情のつまった弁当を作ってもらえる二人にはわからないんだろうが、愛妻弁当ならぬ曖妹弁当が羨ましいと言う意味だな」
「羨ましいよなぁ。大体、スザクなんて二人に作ってもらってるもんなぁ」
「しかも片方は食べないみたいだし」
何も知らない者達が制作者に同情する。
念のためにシンヤが確認する。
「それ作ってくれた人ってやっぱり女性?」
「え? うん」
「それってもしかして例の女(ヒト)?」
「エッ!?」
リヴァルの質問に、例の女が誰か知っているシンヤは『皇女様が手作り弁当?!』と驚愕して口に含んだサンドイッチを噴き出す。スザクは慌てて否定する。
「ち、違うよ! その方じゃなくて本当に軍の上司が!」
ちなみに、ナナリーに作って貰っているので「皇女様に手作り弁当を作ってもらっている」のだが、この時のシンヤはまだそんな事実は知らない事実である。
「フン、コイツは昔から年上の女をタラシ込むのが得意だからな」
「え? そうなの?」
「ああ」
幼なじみルルーシュにより唐突に浮上するスザクの年上キラー疑惑。
「昔の話じゃないか」
「昔じゃないだろ、現に今だってその弁当が事実を物語っているだろ?」
「違うよ! セシルさんは気を使って……」
必死に弁明するスザクだが、ルルーシュは『ナナリーがいながら!!』と心の何処かで思っているのか、追究が執拗である。ちなみに興味が無くなったのかシンヤは食事を再開した。
ルルーシュの追究が終わったのを見計らい、リヴァルがベタな質問をする。
「そのセシルさんって人は美人なの?」
「え? 綺麗だとは思うけど……違うんだ、リヴァル。セシルとはそういう関係じゃないんだ」
「お前がそう思ってなくても向こうはどうなんだろうな、お前は天然だからな」
「天然?」
「そうか! 年上の女性は天然に弱いのかぁ!!!」
何かに独りで納得するリヴァル。
(でも、ナナリーもユーフェミアも年下だけどな……)
的を射た指摘を口には出さず心の中に留めた。それは前者に対する優しさと後者に対する面倒くささからの行動である。三人が議論する中、シンヤはマイペースに食事をする事で沈黙を守った。
やはり彼は人の事だとちゃんと気付く。