そんなやり取りをしていると、生徒会室のドアが開き、人が入ってきた。
「こんにちわ」
「遅くなりました」
　ナナリーとスザク、そして、咲世子があらわれた。
「噂をすれば影だな」
「「えっ？　それはどう言う……」」
　信也とカレンの二人は意味がわからず首を傾げる。

　ルルーシュは（計算上）時速７２キロで走った女が咲世子だと気付いたのだろうか？

「噂って？」
「ちょうどお前の話をしてたんだよ。あの二人がお前みたいな体力バカはありえないとさぁ」
「「エエェェェェェッッ！？」」
「ナ、ナニ！？」
　驚愕の事実に叫ぶ二人にスザクは驚く。
「へ、へぇ～……コイツが……」
「ありえないわ」
　驚くよりも引き気味な二人。
「何が？　ルルーシュ？」
「コッチの話だ、気にするな」
「え……うん」
　スザクはわけがわからずとりあえず頷いた。

「で、そっちの噂の人は誰なんだ」
「えっ！？　えっと……」
「その……うん……」
「？」
　二人の返事は歯切れが悪くチラリと咲世子に視線を送っただけで黙り込んでしまった。
「え？　まさか？！」
　送った視線と先程聞いた、身近な細身の女性と言う条件から気付いた。
「ルルーシュ様、如何なさりましたか？」
「「ッ！？」」
　信也とカレンの二人は脅えてビクッ！と肩を震わせた。
「あっ！　いや、その……なんでもない」
　ルルーシュは歯切れが悪い感じで否定した。



　後日、ルルーシュに確認した所、慈愛に満ちた仏の笑みを浮かべている咲世子の後ろに阿修羅が見えたそうだ。



　とにもかくにも、今現在のナナリーは真偽はともかく身体能力が驚異的で凄いと言うか恐ろしい護衛二人に護られて居るのだと信也とカレン、そして、ルルーシュも理解した。

　信也とカレンの二人が、バケモノ二人のバケモノ振りをシミジミと想い知らされるのは、もう少し後の話である。