scene01:血の味
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その時、突然爆音が轟き、本陣からすると遠方ではあるがレーダーで視認できる位置にある壁がぶち破られた。
「なんだ?」
敵が出てきたのかと思い心の中で警戒しつつも、壁をぶち抜いた物の正体は直ぐにわかった。
「雷光のリニアカノン?」
一瞬、雷光が出てきたのかと錯覚したが、四機の無頼やグラスゴーがまるで御輿でも担ぐようにして雷光のリニアカノンを担いでいるだけのようだ。無頼なので敵ではないだろう。
「何処の所属だ?」
「IMFをはずしている様です」
敵ではないだろうが何処の所属か確認はできなかった。警戒レベルを登場時よりは下げたが、それでも警戒しながら眺めていると、リニアカノンを担いだ無頼達の後ろに見覚えのある大きな車両が走行している事がわかった。
「アレは黒の騎士団のアジトだな」
後ろの超大型居住空間付き車両はゼロが用意した黒の騎士団のアジトだった。敵でない事は確信したが何故あんな物がここに来たのか意味がわからない。そして、何よりも、
「誰だよ、アレ」
「さぁ……」
何処のどいつかさっぱりわからない。当然ながら問われた神楽耶もわからずに首を傾げている。
無頼達は本陣前まで来て停止し、車両は横滑りになりながら急停車してそこで通信が入った。
『どうもどうもぉ』
「その声、ファイナー?!」
『ええ、主の窮地に颯爽と登場しました、ファイナー・フロイスです。邸内の仕置きで遅参しましたが、後藤さんに運転してもらい助けに参りました』
何処の誰かと思えば自分の家(邸)の執事と運転手でした。
「て! お前、その車両は何処で?」
『頼んだら譲ってくれました』
「嘘つけ!!」
きっと何かまずい事をして奪ったのだろう、たぶん黒の騎士団から。
『そんな事よりじり貧状態では? 手駒が足りなくてお困りだろうと思い池田さん達と助けに参りました』
「色々と言いたい事はあるが、ともかく上がってきて手伝え」
『承知』
「後藤はその車両を後方に下げた後に通信用の機材を――」
『既にファイナーさんの指示で手配済みです』
「そうか、ではエナジーフィラーと爆薬などを少々積んでくれ」
『わかりました』
勝手な行動ではあるが、とりあえず負担が減りそうだ。
『本陣』
「どうしました、朝比奈さん」
『まずい! 藤堂さんの部隊が混戦状態になってる。このままだと――』
「チッ! わかった」
混戦状態で後退されてはせっかく先に下げて迎撃準備をしている朝比奈の部隊の援護が上手くできない。朝比奈の部隊まで巻き込んで混戦になれば繰り引きなどできない、ある程度敵軍と距離を取らなければならない。
(ギルフォード達の足を止める方法はないか……)
落とし穴、銃撃、爆破による封鎖、伏兵と考えてみたが混戦状態では効果は期待できないだろう。
「……要は距離さえとればいいんだよな」
そう独り言を言いながら戦略パネルを眺めているとある事に気づく。
「コーネリアは何処にいる?」
「はっ?」
「いや、だからコーネリアだよ。アイツは何処にいるんだ」
「戦場では確認されていませんので政庁ではないかと……」
「そうか」
小手先だけの小細工を思い付いた。
「藤堂将軍」
『ん? どうした?』
「今からデマを流します。合わせてください」
『流言か? しかし……』
「賭けですが、多少の効果はあります」
『一体どの様な……』
「『コーネリアはゼロと戦いで敗れた』と触れまわります。奴は戦場にいません。失敗しても大々的に流せばコーネリアを誘い出せます。なので此方が発表した後はそちらで上手くやってください」
『わかった。やってみよう』
「味方の全軍に報せろ! 『コーネリアはゼロと戦い負傷し戦線に出る事は不可能だ! 奴等の追撃はいずれ鈍る!』とな」
「えっ!? 本気で?」
「いいからさっさと報せろ」
「承知しました」
戸惑っているオペレーター達に再度命じた。そこにタイミングよくファイナーが駆け込んできた。
「ファイナー、『コーネリアがゼロとの戦いで敗れた。負傷あるいは戦死した』と言う情報を両軍にリークしろ」
「流言での撹乱ですか?」
「そうだ」
「わかりました」
ファイナーは必要最低限の質問だけで作業を開始した。
(我ながら情けない。小手先だけの策を試すなんて焼きが回ったかな?)
当然だが信也はこの時点ではコーネリアが「本当に」負傷していると言う事を全く知らない。攻勢に転じたにも関わらず敵軍内にコーネリアがいない不自然さに気付き、「何等かの効果があれば儲け物」ぐらいの気持ちで通達させたのだが、偶然にもそれがブリタニア軍すら知らない事実だった。
嘘から出た真実とはまさにこの事である。
(こんな時、カレンがいてくれれば……)
彼女がいればギルフォード達主力部隊の相手をしてもらい戦果をあげたところで……と、考えたが、すぐに違うなと思いちょっと笑みを浮かべる。
(いや、違うな。カレンがこの戦場にいなくて本当によかった)
下手したら味方が全滅する可能性がある様な戦場だ彼女にはいて欲しくはない。
「なんだ?」
敵が出てきたのかと思い心の中で警戒しつつも、壁をぶち抜いた物の正体は直ぐにわかった。
「雷光のリニアカノン?」
一瞬、雷光が出てきたのかと錯覚したが、四機の無頼やグラスゴーがまるで御輿でも担ぐようにして雷光のリニアカノンを担いでいるだけのようだ。無頼なので敵ではないだろう。
「何処の所属だ?」
「IMFをはずしている様です」
敵ではないだろうが何処の所属か確認はできなかった。警戒レベルを登場時よりは下げたが、それでも警戒しながら眺めていると、リニアカノンを担いだ無頼達の後ろに見覚えのある大きな車両が走行している事がわかった。
「アレは黒の騎士団のアジトだな」
後ろの超大型居住空間付き車両はゼロが用意した黒の騎士団のアジトだった。敵でない事は確信したが何故あんな物がここに来たのか意味がわからない。そして、何よりも、
「誰だよ、アレ」
「さぁ……」
何処のどいつかさっぱりわからない。当然ながら問われた神楽耶もわからずに首を傾げている。
無頼達は本陣前まで来て停止し、車両は横滑りになりながら急停車してそこで通信が入った。
『どうもどうもぉ』
「その声、ファイナー?!」
『ええ、主の窮地に颯爽と登場しました、ファイナー・フロイスです。邸内の仕置きで遅参しましたが、後藤さんに運転してもらい助けに参りました』
何処の誰かと思えば自分の家(邸)の執事と運転手でした。
「て! お前、その車両は何処で?」
『頼んだら譲ってくれました』
「嘘つけ!!」
きっと何かまずい事をして奪ったのだろう、たぶん黒の騎士団から。
『そんな事よりじり貧状態では? 手駒が足りなくてお困りだろうと思い池田さん達と助けに参りました』
「色々と言いたい事はあるが、ともかく上がってきて手伝え」
『承知』
「後藤はその車両を後方に下げた後に通信用の機材を――」
『既にファイナーさんの指示で手配済みです』
「そうか、ではエナジーフィラーと爆薬などを少々積んでくれ」
『わかりました』
勝手な行動ではあるが、とりあえず負担が減りそうだ。
『本陣』
「どうしました、朝比奈さん」
『まずい! 藤堂さんの部隊が混戦状態になってる。このままだと――』
「チッ! わかった」
混戦状態で後退されてはせっかく先に下げて迎撃準備をしている朝比奈の部隊の援護が上手くできない。朝比奈の部隊まで巻き込んで混戦になれば繰り引きなどできない、ある程度敵軍と距離を取らなければならない。
(ギルフォード達の足を止める方法はないか……)
落とし穴、銃撃、爆破による封鎖、伏兵と考えてみたが混戦状態では効果は期待できないだろう。
「……要は距離さえとればいいんだよな」
そう独り言を言いながら戦略パネルを眺めているとある事に気づく。
「コーネリアは何処にいる?」
「はっ?」
「いや、だからコーネリアだよ。アイツは何処にいるんだ」
「戦場では確認されていませんので政庁ではないかと……」
「そうか」
小手先だけの小細工を思い付いた。
「藤堂将軍」
『ん? どうした?』
「今からデマを流します。合わせてください」
『流言か? しかし……』
「賭けですが、多少の効果はあります」
『一体どの様な……』
「『コーネリアはゼロと戦いで敗れた』と触れまわります。奴は戦場にいません。失敗しても大々的に流せばコーネリアを誘い出せます。なので此方が発表した後はそちらで上手くやってください」
『わかった。やってみよう』
「味方の全軍に報せろ! 『コーネリアはゼロと戦い負傷し戦線に出る事は不可能だ! 奴等の追撃はいずれ鈍る!』とな」
「えっ!? 本気で?」
「いいからさっさと報せろ」
「承知しました」
戸惑っているオペレーター達に再度命じた。そこにタイミングよくファイナーが駆け込んできた。
「ファイナー、『コーネリアがゼロとの戦いで敗れた。負傷あるいは戦死した』と言う情報を両軍にリークしろ」
「流言での撹乱ですか?」
「そうだ」
「わかりました」
ファイナーは必要最低限の質問だけで作業を開始した。
(我ながら情けない。小手先だけの策を試すなんて焼きが回ったかな?)
当然だが信也はこの時点ではコーネリアが「本当に」負傷していると言う事を全く知らない。攻勢に転じたにも関わらず敵軍内にコーネリアがいない不自然さに気付き、「何等かの効果があれば儲け物」ぐらいの気持ちで通達させたのだが、偶然にもそれがブリタニア軍すら知らない事実だった。
嘘から出た真実とはまさにこの事である。
(こんな時、カレンがいてくれれば……)
彼女がいればギルフォード達主力部隊の相手をしてもらい戦果をあげたところで……と、考えたが、すぐに違うなと思いちょっと笑みを浮かべる。
(いや、違うな。カレンがこの戦場にいなくて本当によかった)
下手したら味方が全滅する可能性がある様な戦場だ彼女にはいて欲しくはない。