scene02:総司令代行
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「――以上が俺の知るルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの今まで経歴だ」
「妹の……ナナリーの為にブリタニアを?」
「そっ! アイツが素直じゃないから色々と話が拗れに拗れているが、アイツの行動理念は至ってシンプルで感情的だろ?」
「…………」
「難しく考えるから根幹が見えなくなるだけであって物事の本質や真実なんてモノは至って単純だな」
「…………うん」
確かにそうなのかも知れない。そして、そう言う『余計な物を取っ払って物事の本質を見抜く才』についてはカレンの知っている人間の中では信也が突出して高いと言う事を何と無くだが知っている。故に、そこは今更全く気にはならないので、カレンはルルーシュの件で考え込んだ。
「どうしたの?」
「…………」
「少しはゼロではなくルルーシュが評価できる様になった?」
「…………」
「それとも少しはアイツに同情できる様になった?」
「あり得ない!!」
カレンは手で弄ぶ様にしていた落ち葉を握りつぶした。
「お母さんやナナリーの為って言うのは納得したし、私だって『ナナリーには幸せになって欲しいなぁ』て思うぐらいだから気持ちはわかるわ。けど、母親が殺された? 妹の身体が不自由になった?」
「…………」
「そんな事がたくさん起こる世の中だからアイツ等だけが特別じゃない。アンタだって知ってるでしょ?」
「ああ、知っている。そして、少なからず経験した事があるからこそブリタニアの支配する世界を変えようと戦っている」
「でしょ? だから私達は戦っている。なのにどうして『アイツにだけ特別に』同情しないといけないのよ?」
「――確かにその通りだな」
信也は此方の言葉に好意的な笑みを浮かべた。彼としてはかなり共感できる意見だった様だ。
「と・こ・ろ・でぇ!!」
「ん?」
「アンタはどうしてこぉ~~んなに大事な事を私に黙ってたのよ!!」
全力の殺気を飛ばしたが、彼には毛を逆立てている子猫程度にしか見えないのだろう。綺麗に流された。
「俺は『カレンにだけは話しておいた方がいざって時に協力してもらえるからいい』と何度か言ったんだがなぁ」
「だから、アンタが私へ教えるって事をなんで考えなかったわけ!?」
「ん? 考えはしたけど、教えるならルルーシュの素性にも触れないといけないから俺の独断で教えるのは不味いと判断した」
「……そう」
「それにいざって時に教えた方が俺にとっても有利かなぁと思って」
「え?」
「『真田信也』と『ゼロ』だとカレンの中でどっちが勝つか微妙だけど、『信也』と『ルルーシュ』だと十中八九俺が勝てるだろ? いざって時にここぞと言うタイミングで正体を教えたらカレンは間違いなく俺に味方してくれるだろうから。それってかなり美味しいかなぁ~~と思ってさぁ」
「ナッ!?」
つまりあの『信じてる』って言葉は――。真田信也は結構打算的で卑怯な乙女心を弄ぶ(?)ような切り札を用意していた男だった。
カレンは思わず正面に座る信也の右側頭部を左手で叩いた。信也は衝撃を受け止められずそのまま吹っ飛んだ。
「イテェ!?」
「サイテー!! アンタ、ずーっと! 腹の中でそんな事考えてたわけ?!」
「イタタ、仕方ないだろ。切り札って言うものは隠し持っておくものなんだから」
信也は髪に着いた落ち葉をはらいながら起き上がり、さも当然と言わんばかりにそんな事を言ったので更に腹が立った。
「アンタの心の中って一体何層構造なのよ!! 掘っても掘っても次から次へと隠し事ばっかり出てきて!!」
「そんな事言うけど、俺の本心や本質はカレンが一番知っているだろ?」
「それは!! …………そうだけど」
言っている事は理解できるし、彼の立場や言動も理屈の上では納得できる。隠す意味が無くなったと同時に自分へ教えてくれたのもある種の誠意や信頼のあらわれであると言うのもわかる。だが、モヤモヤして感情的に納得がいかない。これは理屈ではなく気持ちの問題である。
「人は誰でも目に見えない仮面を状況に応じて使い分けている。真田信也でありながらシンヤ・ハプスブルクでもある俺も例外ではない。ただそれだけの事だ」
シンヤ・ハプスブルクと言う学生でありながら真田信也としてキョウトに所属している日本人でゼロの同盟者、それが彼の正体である。
「ルルーシュだってそうだ。生まれは皇族であり、生徒会の副会長であり、黒の騎士団の指導者ゼロであり、C.C.の共犯者であり、そして、ナナリーの兄だ」
「理解しろと?」
「状況はね。でも別にルルーシュの考えや行動を理解して賛同する必要はないと思うけど?」
「…………」
「だが、ルルーシュの目的や手段あるいは行動がカレンの目的に不利に働くとは俺には思えないんだが? 『大切な家族の為』と言う最終目標だけで考えればカレンの目的は俺よりもルルーシュに近いだろ」
「アンタの最終目標はなんなの?」
「俺はもっと強欲だから二人とちょっと違う。家族も勿論守りたいと思ってるけど、俺の家族は基本的に『二人の父親』を筆頭に『俺なんかに守ってもらわなくても自分の身ぐらい自分で守れる』ってタイプばっかりだから」
「あっ、そう」
「うん。庇護の対象とか妹の環奈ぐらいだ。しかも父さんいるから大丈夫だし」
「…………」
「あっ、余計な事を言った?」
「気にしてないから大丈夫よ」
別に嫌味や自慢だとは思わなかったが、そんな風に無条件で信頼できる父親がいる信也の事が純粋に羨ましいと思った。
「それで俺の目的だったよね」
「うん」
「俺は、俺が守りたいと思う者全ての為に世界を変えたい」
「へ?」
ちょっと意外だったので間の抜けた反応をしてしまったが、彼はそれを咎めるでもなく笑みを浮かべている。
「大それた願いだろ?」
「ええ、傲慢ね」
「これ以上無い程のエゴだろ」
「確かに。だけど、一周回って逆に清々しく感じるわ」
「そう言って貰えると助かる」
「けど、それで納得した所もある」
「え?」
「アンタがルルーシュと手を組んだ理由」
「『弱くとも普通に幸せに暮らす事のできる世界を創る』と『戦うと決めたキッカケが憎悪や後悔から来る醜いだけの復讐だ』と言う二点は同じだからな」
信也の望みを聞きルルーシュとの共通点と共闘できた事を説明されたので、当然だが今度は逆にカレンが聞かれる番だ。
「で、ゼロではなくルルーシュを知った上で『紅月カレン』はどうするんだ?」
「……皆と……黒の騎士団と合流する。こんなんじゃ、死んでも死にきれない」
「助けるのか、ルルーシュを?」
「そんなはずないでしょ! 確かめるのよ!!」
「なにを?」
「ゼロと言う存在を、よ。それと自分の心をね。じゃないと死んでも死にきれない」
「確かにそうだな。もっともお前の事は俺が絶対に死なせないけどな……例えどんな手を使っても、な」
一瞬だったが彼は何かどす黒い殺気を放った様な気がした。
何か気にはなったが、ホンの一瞬でそんな気配は消えてなくなったので気のせいだと思った――と言うより思う事にした。
「黒の騎士団と連絡を取ると言うのは構わないが、撤退できた皆は今この島へ潜水艦で向かって来ているんだけどな」
「え? あれ? そうなの?」
「ああ、今頃深海で皆休んでるかもよ」
信也の言葉にちょっと驚いたし、確認したい事があったが此方が言葉を口にするよりも先に遮る様にして話題を変えられた。
「で、黒の騎士団と合流をするのは構わないが、その前にこの島で確認したい事がある」
「その状態で動くつもり?」
「…………」
眉を潜めて言った言葉に、信也は不可思議な表情を浮かべている。
「何よ」
「それ、突き飛ばしたり、ぶん殴ったお前が言うのか?」
「あっ」
「そう言う事だ、付き合って貰うからね」
そう言いながら彼は少し黒い笑みを浮かべた。
「妹の……ナナリーの為にブリタニアを?」
「そっ! アイツが素直じゃないから色々と話が拗れに拗れているが、アイツの行動理念は至ってシンプルで感情的だろ?」
「…………」
「難しく考えるから根幹が見えなくなるだけであって物事の本質や真実なんてモノは至って単純だな」
「…………うん」
確かにそうなのかも知れない。そして、そう言う『余計な物を取っ払って物事の本質を見抜く才』についてはカレンの知っている人間の中では信也が突出して高いと言う事を何と無くだが知っている。故に、そこは今更全く気にはならないので、カレンはルルーシュの件で考え込んだ。
「どうしたの?」
「…………」
「少しはゼロではなくルルーシュが評価できる様になった?」
「…………」
「それとも少しはアイツに同情できる様になった?」
「あり得ない!!」
カレンは手で弄ぶ様にしていた落ち葉を握りつぶした。
「お母さんやナナリーの為って言うのは納得したし、私だって『ナナリーには幸せになって欲しいなぁ』て思うぐらいだから気持ちはわかるわ。けど、母親が殺された? 妹の身体が不自由になった?」
「…………」
「そんな事がたくさん起こる世の中だからアイツ等だけが特別じゃない。アンタだって知ってるでしょ?」
「ああ、知っている。そして、少なからず経験した事があるからこそブリタニアの支配する世界を変えようと戦っている」
「でしょ? だから私達は戦っている。なのにどうして『アイツにだけ特別に』同情しないといけないのよ?」
「――確かにその通りだな」
信也は此方の言葉に好意的な笑みを浮かべた。彼としてはかなり共感できる意見だった様だ。
「と・こ・ろ・でぇ!!」
「ん?」
「アンタはどうしてこぉ~~んなに大事な事を私に黙ってたのよ!!」
全力の殺気を飛ばしたが、彼には毛を逆立てている子猫程度にしか見えないのだろう。綺麗に流された。
「俺は『カレンにだけは話しておいた方がいざって時に協力してもらえるからいい』と何度か言ったんだがなぁ」
「だから、アンタが私へ教えるって事をなんで考えなかったわけ!?」
「ん? 考えはしたけど、教えるならルルーシュの素性にも触れないといけないから俺の独断で教えるのは不味いと判断した」
「……そう」
「それにいざって時に教えた方が俺にとっても有利かなぁと思って」
「え?」
「『真田信也』と『ゼロ』だとカレンの中でどっちが勝つか微妙だけど、『信也』と『ルルーシュ』だと十中八九俺が勝てるだろ? いざって時にここぞと言うタイミングで正体を教えたらカレンは間違いなく俺に味方してくれるだろうから。それってかなり美味しいかなぁ~~と思ってさぁ」
「ナッ!?」
つまりあの『信じてる』って言葉は――。真田信也は結構打算的で卑怯な乙女心を弄ぶ(?)ような切り札を用意していた男だった。
カレンは思わず正面に座る信也の右側頭部を左手で叩いた。信也は衝撃を受け止められずそのまま吹っ飛んだ。
「イテェ!?」
「サイテー!! アンタ、ずーっと! 腹の中でそんな事考えてたわけ?!」
「イタタ、仕方ないだろ。切り札って言うものは隠し持っておくものなんだから」
信也は髪に着いた落ち葉をはらいながら起き上がり、さも当然と言わんばかりにそんな事を言ったので更に腹が立った。
「アンタの心の中って一体何層構造なのよ!! 掘っても掘っても次から次へと隠し事ばっかり出てきて!!」
「そんな事言うけど、俺の本心や本質はカレンが一番知っているだろ?」
「それは!! …………そうだけど」
言っている事は理解できるし、彼の立場や言動も理屈の上では納得できる。隠す意味が無くなったと同時に自分へ教えてくれたのもある種の誠意や信頼のあらわれであると言うのもわかる。だが、モヤモヤして感情的に納得がいかない。これは理屈ではなく気持ちの問題である。
「人は誰でも目に見えない仮面を状況に応じて使い分けている。真田信也でありながらシンヤ・ハプスブルクでもある俺も例外ではない。ただそれだけの事だ」
シンヤ・ハプスブルクと言う学生でありながら真田信也としてキョウトに所属している日本人でゼロの同盟者、それが彼の正体である。
「ルルーシュだってそうだ。生まれは皇族であり、生徒会の副会長であり、黒の騎士団の指導者ゼロであり、C.C.の共犯者であり、そして、ナナリーの兄だ」
「理解しろと?」
「状況はね。でも別にルルーシュの考えや行動を理解して賛同する必要はないと思うけど?」
「…………」
「だが、ルルーシュの目的や手段あるいは行動がカレンの目的に不利に働くとは俺には思えないんだが? 『大切な家族の為』と言う最終目標だけで考えればカレンの目的は俺よりもルルーシュに近いだろ」
「アンタの最終目標はなんなの?」
「俺はもっと強欲だから二人とちょっと違う。家族も勿論守りたいと思ってるけど、俺の家族は基本的に『二人の父親』を筆頭に『俺なんかに守ってもらわなくても自分の身ぐらい自分で守れる』ってタイプばっかりだから」
「あっ、そう」
「うん。庇護の対象とか妹の環奈ぐらいだ。しかも父さんいるから大丈夫だし」
「…………」
「あっ、余計な事を言った?」
「気にしてないから大丈夫よ」
別に嫌味や自慢だとは思わなかったが、そんな風に無条件で信頼できる父親がいる信也の事が純粋に羨ましいと思った。
「それで俺の目的だったよね」
「うん」
「俺は、俺が守りたいと思う者全ての為に世界を変えたい」
「へ?」
ちょっと意外だったので間の抜けた反応をしてしまったが、彼はそれを咎めるでもなく笑みを浮かべている。
「大それた願いだろ?」
「ええ、傲慢ね」
「これ以上無い程のエゴだろ」
「確かに。だけど、一周回って逆に清々しく感じるわ」
「そう言って貰えると助かる」
「けど、それで納得した所もある」
「え?」
「アンタがルルーシュと手を組んだ理由」
「『弱くとも普通に幸せに暮らす事のできる世界を創る』と『戦うと決めたキッカケが憎悪や後悔から来る醜いだけの復讐だ』と言う二点は同じだからな」
信也の望みを聞きルルーシュとの共通点と共闘できた事を説明されたので、当然だが今度は逆にカレンが聞かれる番だ。
「で、ゼロではなくルルーシュを知った上で『紅月カレン』はどうするんだ?」
「……皆と……黒の騎士団と合流する。こんなんじゃ、死んでも死にきれない」
「助けるのか、ルルーシュを?」
「そんなはずないでしょ! 確かめるのよ!!」
「なにを?」
「ゼロと言う存在を、よ。それと自分の心をね。じゃないと死んでも死にきれない」
「確かにそうだな。もっともお前の事は俺が絶対に死なせないけどな……例えどんな手を使っても、な」
一瞬だったが彼は何かどす黒い殺気を放った様な気がした。
何か気にはなったが、ホンの一瞬でそんな気配は消えてなくなったので気のせいだと思った――と言うより思う事にした。
「黒の騎士団と連絡を取ると言うのは構わないが、撤退できた皆は今この島へ潜水艦で向かって来ているんだけどな」
「え? あれ? そうなの?」
「ああ、今頃深海で皆休んでるかもよ」
信也の言葉にちょっと驚いたし、確認したい事があったが此方が言葉を口にするよりも先に遮る様にして話題を変えられた。
「で、黒の騎士団と合流をするのは構わないが、その前にこの島で確認したい事がある」
「その状態で動くつもり?」
「…………」
眉を潜めて言った言葉に、信也は不可思議な表情を浮かべている。
「何よ」
「それ、突き飛ばしたり、ぶん殴ったお前が言うのか?」
「あっ」
「そう言う事だ、付き合って貰うからね」
そう言いながら彼は少し黒い笑みを浮かべた。